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‘冷戦時代にもなかった’米-露 軍事正面衝突の危機

登録:2014-03-02 22:52

2008年ジョージア事態と類似
当時もロシア強行策
米・EU 全面戦争甘受を放棄

不凍港を備えたクリミア半島は
露 利害 更に大きく
米 強力介入するは未知数

ウクライナ 国家不渡り 直前
戦争になれば露経済も打撃
劇的妥協の可能性も

ロシア軍が実質的にウクライナのクリミア半島を掌握したというニュースが伝えられ、ロシア議会が軍事介入を承認し、米国が軍の撤収を要求し国際法違反と非難するなど、米国とロシアが前例のない正面対決の危機に駆け上がっている。 バラク・オバマ米国大統領とウラジミール・プーチン ロシア大統領は90分間の通話で舌戦を行ったが、合意点を見出すことは出来なかった。 国連安全保障理事会の緊急会議が開かれるなど国際社会が解決法を探しに出たが、局地戦の可能性をはじめとして米-ロシアの衝突危機が最悪の状況に高まっている。

米・ロ 正面対決の危機

 ロシア軍はすでにクリミア半島を掌握したものと見られる。 <BBC> <ウォールストリートジャーナル>等の外信は先月28日、ロシア ヘリコプターがウクライナ国境を越えて飛行し、クリミア半島内の黒海艦隊兵力が事実上駐留基地外に出てきて、軍事作戦に入ったと伝えた。 ロシアはまた兵力6000人も増派した。 以後、プーチン大統領は1日にロシア議会(ドゥーマ 連邦議会下院)にウクライナでの軍事行動承認を要請し、全員一致で通過した。

 ウクライナ全人口の25%はロシア系住民であり、彼らは主にドニエプル川の東側とクリミア半島など南部に集中している。 また、ウクライナで自治共和国の地位を持つクリミア半島にはロシアとの条約によりセバストポリとフェオドシヤの海軍基地、カーチャとグヴァルディスコイエ空軍基地にロシア軍が駐留している。 この基地の営外に兵力を動かせば、直ちにクリミア半島を掌握できる。 親ロシア指向のクリミア自治共和国総理は1日声明を発表して、プーチン大統領に住民保護を要請するなどの対外的名分も蓄積された状況だ。 ロシアは親ロシア指向のヴィクトル・ヤヌコビッチ大統領が2010年に就任した後、クリミア半島の軍基地さえも協約を17年延長して2042年までの駐留根拠を整えた。

 米国はロシアに軍の撤収とウクライナ緊張緩和努力を要求してきた。 1日午後、プーチン大統領と90分間にわたり直通電話通話を終えたオバマ大統領は声明を出して 「ロシアにクリミア半島駐留基地領内に兵力を撤収させ緊張を緩和させるよう要求した」と明らかにした。 ロシアは兵力移動が駐留協定に従うものとし、軍事行動を公式には認めなかったものの、議会の承認により事実上戦争のための法的手続きを終えた状態だ。 ウクライナ過渡政府のアルセニー・ヤツェニュク総理もやはり国際社会に外交的支援を要請する一方、全軍警戒令を下し、クリミア半島の戦雲はすでに濃厚に垂れ込めている。

クリミア半島戦争シナリオ

 米国とロシアは第2次世界大戦以後、長い冷戦時期にミサイル対立と核競争などを繰り返したが、軍事的正面衝突の前例はなかった。 1960年代のベトナム戦争や1970~1980年代のアフガニスタン戦争、最近ではシリア内戦で代理戦形式で間接衝突をしてきた。

 現在のウクライナ事態と最も類似している事例としては、米国とヨーロッパの警告と反発にも関わらず2008年8月にロシアがジョージア共和国(旧グルジア)を侵攻した事態だ。 当時ジョージアは2004年‘バラ革命’で親ロシア権威主義政府を押し倒し、新たに執権した政府が親西方政策を主張し、ヨーロッパ連合(EU)と北大西洋条約機構(NATO)加入を推進した。 これに対しロシア系住民が多数を占め、ロシア平和維持軍が駐留中の親ロシア指向であるアブハジアと南オセチアが分離独立を推進し、流血の衝突も繰り返された。 結局ジョージア政府は米国など西側の後援を信じて南オセチア電撃侵攻に出たし、ロシアがロシア系住民と駐屯軍保護を掲げて全面戦争で対抗した。 これはジョージアの親西方政府がイラクに兵力を派遣し、米国からNATO加入の約束を取り付けるなどロシアを刺激する歩みを継続するや、ロシアが見せしめに動いた性格が強かった。

 今回のウクライナ事態はジョージア事態と似ている点が多いが、地政学的意味がはるかに大きい。 ロシアの黒海艦隊が駐留する不凍港があるクリミア半島は、ロシアの核心利益がかかった地域だ。 ロシアのジョージア侵攻時も米国とヨーロッパ連合はロシアを荒々しく非難したが、結局は全面戦争を甘受することはできなかったが、ロシアがはるかに強力に対応しているクリミア半島問題に全面介入出来るかは未知数だ。

 米国はロシアを荒々しく非難しながらも、利害関係を尊重するという異なる姿になって国際機構の仲裁の下でウクライナ過渡政府との妥協案を探すことを勧告している。 オバマ大統領は「我々はロシアが歴史的文化的にウクライナと緊密な関係があるという点と、ウクライナ内のロシア系少数住民の権利を保護する必要も認識している」と話した。 また、ロシアに対する制裁も‘政治的・経済的’威嚇についてのみ言及している。 だが、ロシアはヨーロッパに石油と天然ガスを供給する主要エネルギー供給者であるため経済制裁も容易ではないと見られる。

国際社会の緊迫した動き

 国際社会は前例のない米・露 正面衝突の危機を迎えて緊迫感を持って動いている。 国連安保理は1日緊急会議を招集して、ウクライナ事態の解決方案を議論した。 この日の会議はウクライナが 「すべての手段を動員して(ロシアの)軍事行動を阻んでほしい」として安保理に緊急会議を要請して用意された。 パン・ギムン国連事務総長もプーチン大統領と通話して、現状況に深刻な憂慮を伝えた。 ナトーも2日に緊急会議を開いてウクライナ状況を議論することにした。 ヨーロッパ連合も3日緊急外相会議を招集した。

 すでにロシア軍と親ロシア武装勢力が行動を開始したクリミア半島などでは、物理的衝突や流血事態が続く恐れがある。 こうなる場合、すでにクリミア半島営外に進駐したロシア軍との直接介入を排除することは難しい状況だ。 <BBC>は現在の状況を「モスクワのウクライナ賭博」と言及しながら「ロシアとウクライナが全面戦争を繰り広げることになるならば、ウクライナの悲惨な戦争、ヨーロッパ国境での不安定性はもちろん、シリア内戦交渉からイラン核問題まで西側とロシア間で解決しなければならない国際イシューにも深刻な波紋が広がるだろう」と指摘した。 だが西側言論は、国家不渡り直前の状況にあるウクライナが戦争まで行う場合、ウクライナと緊密に連結されたロシア経済も耐えがたい打撃を受けかねないという点を挙げて、劇的妥協の可能性を排除せずにいる。

チョン・セラ記者 seraj@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/626503.html 韓国語原文入力:2014/03/02 21:15
訳J.S(2982字)