蔚山(ウルサン)市には2種類の訪問看護師がいる。最近セヌリ党出身の区長(中区・南区)が集団解雇した訪問看護師と、統合進歩党の区長(北区・東区)により無期契約職に転換された訪問看護師だ。
「今まで働きながら保健所や区に待遇改善を要求したことはありません。 昨年、政府の「無期契約職化指針」によって無期職化を推進した区があるから、平衡性を合わせてほしいと意見を出しただけなのに解雇されました。」
2010年から蔚山中区保健所の訪問看護師として働いてきたチョン某(48・女)氏は、先月末、失業者となった。23ヶ月の契約職、12ヶ月の契約職と短縮されてきたと思ったら、その契約さえも終ってしまったからだ。 同僚6人も一緒に追い出された。中区では代わりに、4人の看護師を11ヵ月契約で新たに採用している。
蔚山南区も昨年末、保健所訪問看護師9人を解雇して、5人を新たに採用すると公告した。蔚山市に接する蔚珍郡では、解雇の代わりに10人余りを11ヵ月の期間制として再雇用した。いずれもセヌリ党出身の区長が当選した自治体だ。
一方、北区と東区では、既存の訪問看護師7人及び9人を、昨年7月及び今年1月に、無期契約職に転換した。両区とも統合進歩党出身の区長の決定だった。
同一の立場の市民の運命が、奇しくも区長の党籍によって分かれたわけだ。しかも、セヌリ党の政策を統合進歩党がより忠実に執行したことにもなる。
朴槿恵(パク・クネ)大統領が「公共部門の正規職化」を公約に掲げ、昨年4月、政府が「公共部門の非正規職対策」を下達した。2015年までの常時継続業務の正規職化が核心だ。当初は雇用創出事業として始められ期間制法の適用を受けていなかった訪問看護師も、2年以上勤続した場合、2015年から無期契約職転換の対象になった。
しかし、多くの自治体では財政難などを理由に既存の人員を解雇したり超短期で契約して、2015年無期契約職の対象を最小化することに力を注いでいる。 昨年保健福祉部が統合健康増進事業を施行する中で、既存の訪問保健事業が区長の裁量に任されたためだ。
これにより、南区(ナムグ)の保健所は訪問看護師を、当初週当たり15~35時間の時間制雇用に転換しようとしたが、看護師たちが反対して隣の区のように無期契約職化を要求すると葛藤が生じた。
一方、北区保健所は2012年末、7人の看護師のうち5人を6ヵ月契約にして再契約し、2人を解雇したが、昨年無期契約職に転換された。この保健所のある訪問看護師は「統合進歩党の区長が地域社会の請願を受け入れ、解雇された2人まで昨年7月に無期契約職へと転換された」として、「私たちがセヌリ党出身の区長の区で働いていたら同じように解雇されただろう」と述べた。
一ヶ月に140万ウォンほどを給与として受け取っていた中区保健所のチョン氏は「訪問看護師1人当たり脆弱階層500余世帯を担当し、担当した1人当たり22万ウォン程度の診療費を節約した。 対象者の現況把握、関係形成などに多くの時間と努力が必要なのに、新規採用はそれ自体が予算の無駄遣いだ」として「血圧を測って薬を飲ませてもらうために私たちだけを待っていたそういう人たちが、最も被害を受けるだろう」と述べた。
現在、全国の訪問看護師は2500人余りで、このうち、無期契約職転換者は5~7%水準に過ぎないものと把握される。全国民主労働組合総連盟(民主労総)一般連盟のクォン・ヨン組織局長は「2015年まで大半が再契約で持ち堪えているのに、解雇までするというのにはあきれるばかりだ。 6月の地方選挙以後、自治体長によって期間制に対する大量解雇が生じる可能性も大きい」と述べた。
イム・インテク記者 imit@hani.co.kr