朴正熙政権の‘緊急措置9号’被害者6人が、国家から受け取る補償金を集めて‘アジア民主主義と人権基金’を作ることにした。 逆境を越えて成し遂げた韓国民主化の成果を、アジア諸国と分かち合うという意からだ。 1975年に公布された緊急措置9号は‘維新憲法の否定・反対・歪曲・誹謗・改正および廃棄の主張や請願・扇動または、これを報道する行為を一切禁止して、違反者は令状なしで逮捕する’という内容であり、以後4年間の拘束者1200人余に及んだ。
チョ・ヒヨン聖公会(ソンゴンフェ)大教授など、緊急措置9号被害者6人は23日午後、ソウル中区(チュング)のタルケビ カンファレンスルームで美しい財団と5億5000万ウォン規模の基金協約式を開き、「相対的に民主主義先進国と評価される韓国が、国境を越えてアジア民主主義と人権を支援することに乗り出すために緊急措置世代がその呼び水を用意しようと思う」と明らかにした。 チョ教授の他に、キム・ジョンス図書出版‘ハンウル’代表、キム・ジュンムク前スポーツソウル会長、ピョン・ジェヨン ハンソル教育代表理事、ハ・ソクテ前慶煕(キョンヒ)大教授、一人の匿名の寄付者などが基金造成に参加した。 キム・ジョンス代表は「金銭的補償を受けるために民主化闘争をしたわけではない。 アジア諸国の民主主義を増進するために補償金が使われるならば、それで満足だ」と話した。
これらの他に、イ・ピルリョル放送通信大教授、シム・サンワン昌原(チャンウォン)大教授、キム・テヒョン民主労総政策研究院長、チャン・ジョンス前<ハンギョレ>編集者、チョ・ホンソプ<ハンギョレ>環境専門記者など14人の緊急措置9号被害者も基金募金に追加で参加する意向を明らかにした。 美しい財団はさらに民主化運動世代と一般市民に募金対象を拡大していく計画だ。
基金造成を最初に提案したチョ・ヒヨン教授は、1978年 "維新憲法を撤廃しよう" という内容の印刷物を製作・配布して緊急措置9号違反容疑で懲役2年・資格停止2年を宣告されたが、去る7月再審で無罪判決を受けた。 チョ教授は「当時民主化運動をする時、ドイツ・日本など外国の団体から多くの支援を受けたが、今はその支援を他の国にまわす時になった。 文化韓流が言われているが、韓国の民主化経験こそ色々な国家と分かち合わなければ歴史的・国際的なインフラ」と語った。
基金の運用・執行は美しい財団が寄付者らと議論して務める。 美しい財団はこの基金を△アジア諸国の政治難民支援△各国市民社会発展のための教育支援△代案言論支援△公益出版とIT支援を通した民主主義教育などに使う方針だ。 ビルマ・タイなど民主化闘争が広がっていたり人権が劣悪な国に優先的に支援される。
イェ・ジョンソク美しい財団理事長は 「厳しい境遇にある隣国の国民のための寄付はあったが、より一層根本的な民主化と人権増進のための寄付はなかった。 このような動きが我が国が真の意味で先進国へ進む出口を開く一粒の麦になるだろうと考える」と話した。
一方、最高裁全員合議体(主審 イ・サンフン最高裁判事)は去る4月 「緊急措置9号は憲法上保障された国民の基本権を過度に制限したり侵害したもので、維新憲法はもちろん現行憲法にも違反しており無効」と判決した。 これに伴い、緊急措置9号違反で有罪判決を受けた被害者および遺族の再審と刑事補償請求が続いている。
ソン・ホギュン記者 uknow@hani.co.kr