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送電塔の代わりに太陽光発電所…都市市民たち、エネルギー自立に目を開いた

登録:2013-12-13 08:03
ソウル江北区(カンブック)三角山(サムカクサン)洞の三角山高等学校屋上でこの学校の生徒たちが町内太陽光発電協同組合の市民太陽光発電所1号機の前でポーズを取っている。 ソウル環境運動連合提供

"都市人、電力生産者に生まれ変われば
農村の原子力発電所・送電塔葛藤も
環境不平等問題も減らすことができる"

 去る2日<ハンギョレ>取材陣が訪ねたソウル江東区(カンドング)千戸洞(チョンホドン)の十字星の村。北半球の北斗七星のように南半球で方位を知る星である南十字星から名前を取ったこの村は、1974年に朴正熙元大統領がベトナム戦傷痍勇士のために作った。 この村で最も目につくのは、多くの住宅屋上に設置された太陽光発電機だ。

 この村の住民たちは昨年から電子機器を使わない時は電源を遮断するマルチタップを使い、ドアの隙間風を遮断するなど節電とエネルギー効率化に努める一方、新再生エネルギー生産を通じてエネルギー自立度を高める挑戦に乗り出した。 住宅用3kW級太陽光発電機を設置するには800万ウォン程かかるが、政府とソウル市が半分を支援してくれる。 1年間に46世帯中の10世帯が400万ウォンずつを投じて発電機を設置し、先月だけで6世帯が新たに申し込んだ。

 "1960年代、ベトナムでは銃刀で戦ったが、今は子孫に‘きれいな’地球を遺すためにエネルギー問題で奮闘しています。" 海兵隊出身のノ・ソンナム(68)氏は十字星マウル(村)会の理事であり、エネルギー自立の村広報担当でもある。 "日本、福島原発事故を見ながら皆がとても驚きました。 原子力発電所を減らしてエネルギーを節約することが愛国になると考えるようになりました。" こういう‘エネルギー転換’の種が、国内最大のエネルギー消費地域であるソウルと首都圏のあちこちで始まっている。 十字星マウルのようにソウル市の‘エネルギー自立村造成事業’に参加する住民共同体は、昨年7ヶ所から今年は11ヶ所に増えた。 地方自治体が以前より積極的にエネルギー危機および気候変化対処に乗り出していて、原発依存度を低くしようとする市民の実践が増えているわけだ。

 ソウル市は2020年までに電力自立率を20%に引き上げるという目標を立てた。 エネルギー効率化と節電運動で電力消費を減らし、新再生エネルギー普及を拡大するなどの支援策を行っている。 2011年現在のソウルの電力消費量は年間4万6903GWh(ギガワット時)で、全国電力消費量の10.31%を占めるが、電力生産比重は0.28%(1348GWh)であり自立率が2.95%にとどまっている。 昨年末、ソウル環境運動連合が主軸になって作った太陽光発電協同組合である町内太陽光発電協同組合のカン・ビョンシク事務局長は「ソウルの電力消費量は20年間で2.8倍に増えた。 6年ごとに原発1基分の電力をさらに使うことになったわけだ。 消費するエネルギーをほとんど外部から引いてくるソウルのエネルギー消費が増えれば、他地域に原発・送電塔建設の苦痛を与えるほかはない」と話した。

 自ら太陽光発電所建設・運営に参加して、新再生エネルギー事業者となった市民も増えている。 去る6月、ソウル江北区(カンブック)三角山洞の三角山高等学校屋上には‘市民太陽光発電所(20Kw)’1号機が竣工した。 市民が協同組合を設けて学校に作った最初の太陽光発電所であり、町内太陽光発電協同組合の1号機だ。 市民が共同所有する町内太陽光発電協同組合は、ここで作った電力を販売して組合員に配当する。 この発電所を作るのに三角山高の生徒・教師37人と地域住民35人など市民225人が組合員として参加した。

 11日、三角山高で会った組合員チョン・ミスク(49)教師は、市民太陽光発電所が‘生きた環境教育の場’になると説明した。 「2011年に革新学校に指定されてから汎教科プロジェクト授業で‘気候変化’科目を導入しました。 この時に参考にしたドイツの‘持続可能発展教育プロジェクト’のように、生徒たちに学校の授業を越えて実際の‘参加’を通じて地域社会の議題と連結される機会を提供することが良いと先生たちが自然に合意しました。」 学校は先例がないばかりか、学校施設の開放が難しかったが、教育効果と賃貸料収益などを期待して太陽光発電所を受け入れた。

 この組合のソン・ジョンウン(18)生徒理事は 「初めは地球のための日、環境のためだとして始めたが、活動をしながら更に勉強もすることになって、密陽(ミリャン)で起きていること見ながらソウル市民としての責任を感じるようになった。 ソウルが電気を多く使っているのに、なぜ私たちでなく他の地方の人が犠牲になるのか。 それなら自家発電をして私たちが使う電気は私たちが生産することが対案になりえると考える」と話した。

 1号機の敷地を探すのに8ヶ月余りかかったが、肯定的なうわさが立ちながら現在は4号機まで場所が決まっている。 来年4月竣工目標の江北区(カンブック)水踰洞(スユドン)の韓神(ハンシン)大神学大学院2号機は現在、新組合員を募集している。

 昨年末の協同組合法施行以後、ソウル市に登録した太陽光発電協同組合は10ヶ所だ。 町内太陽光発電協同組合の三角山高校発電所と蘆原(ノウォン)太陽と風発電協同組合の蘆原区庁駐車場発電所(30Kw)はすでに運営を始めており、許可・契約段階である発電所が8基だ。 ソウル市は‘ソウル型発電差額支援制度’により今年10ヶ所の太陽光発電所事業に668万5000ウォンを支援し、来年には170の事業者に1億400万ウォンを支援するとして予算案を組んだ。

 ソウル以外の地域でもエネルギー転換の動きが活発だ。 2011年、首都圏で初めて市民小株主が集まって民官協力株式会社である京畿道(キョンギド)始興(シフン)市民太陽光発電所を作り、去る5月には安山(アンサン)市民太陽光発電所1号機が営業を始めた。 大邱(テグ)・蔚山(ウルサン)・慶南(キョンナム)などでも市民太陽光発電協同組合ができている。

 福島事故と密陽をはじめとする全国の送電塔建設葛藤は、都市民が親環境エネルギー生産に参加する契機になった。 ソウル エネルギー自立の村の一つである銅雀区(トンジャクク)上道洞(サンドドン)のソンデコル村のキム・ソヨン子供図書館長は「2010年にはまだ‘脱核’という単語を使うことには慎重だった。 2011年福島の現場に行ってきた人と交渉して特講を開いたが、午前10時から始めた講演が住民たちの質問で午後3時30分まで続いた。 2年余りが経過しながら、住民たち自らが、自分たちが単純な電気節約次元を越えて脱核運動をしていると語り始め、密陽に連帯する住民たちが多くなった」と話した。

 江北区(カンブック)住民であるパク・ソンファ(46)町内太陽光発電協同組合組合員は、他地域の住民に対する負債感を打ち明けた。 「送電塔が必要なのは大量消費地であるソウルと首都圏、産業都市に電気を運ぶために他の地域を大容量生産拠点とするためでしょう。 他地域に環境不平等を産む事業をなくすには、都市民が立ち上がって消費生活を変え、直接親環境エネルギーを生産しなければなりません。 私たちは電気を空気のように気楽に消費することにばかり慣れてしまって電力生産者になるということに慣れていないが、一度始めてしまえばそんなに難しくありませんよ。」 キム・ヒョシル、イ・ジェウク、キム・ミヒャン記者 trans@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/615203.html 韓国語原文入力:2013/12/12 22:13
訳J.S(3312字)