本文に移動

「国家情報院が選挙戦でサイバービラ121万枚 撒いた」

登録:2013-11-22 08:14 修正:2014-09-05 20:08

"選挙戦術的によく考えられた2万6000種の‘サイバービラ’を数十から数百枚ずつコピーして計121万枚を作った後に世論形成の場であるツイッター空間にばら撒いたのだ。 このサイバービラは一般ビラとは違い、それを受け取った人だけが読んで終わるのでなく、読んだ人々のフォロアー アカウントに無数に広がる。"

ファン・ギョアン法務部長官が去る19日午後、政治分野対政府質問のために国会本会議に出席し、ハンカチで汗を拭いている。 民主党は21日、ファン法務部長官の解任建議案を国会に提出した。 イ・ジョンウ先任記者 woo@hani.co.kr

 ある検察関係者は国家情報院が昨年の大統領選挙に介入する目的でツイッターに上げたり転送した文が121万件余りに達するという検察発表が出てきた21日、このように話した。 選挙当時、社会関係網サービス(SNS)であるツイッターに大量配布された文の意味と影響力をよく説明する言葉だ。 専門家たちはリツィットを通じて拡大再生産されるツイッターの特性上、121万件の不法ツイッター文がどれほどの規模に広がったのか推定すら難しいと指摘する。

■ "ツイッター文 121万228件、全て違法"

 国家情報院による大統領選挙世論操作および政治介入疑惑事件を捜査してきたソウル中央地検特別捜査チーム(チーム長 イ・ジョンフェ)がこの日明らかにしたウォン・セフン(62)前国家情報院長の起訴状変更許可申請書内容を見れば、国家情報院職員はツイッターアカウント2600ヶ余りで大統領選挙関連文64万7443件、政治および総選挙関連文56万2785件など合計121万228件をツイッターに上げた。 検察はこれらの文がそれぞれ公職選挙法と国家情報院法に違反したと見ている。

 特に121万228件の中で86.1%にあたる104万2116件のツイッター文は、国家情報院心理戦団職員が直接書いたり第三者の文をコピーしてきた2万6550件の‘原文’を自動複写・伝播プログラム(bot または teck)でリツィットしたものだ。 国家情報院職員は1回当たり20~30ヶのアカウントを設定し原文が一秒も違わずに同時リツィットされるようにした。 母胎となった2万6550件の原文は先月18日、検察がウォン前院長に対する起訴状を1次変更する時に追加したツイッター文5万5689件の一部だ。 検察はこのようなプログラムを利用したことが、国家情報院次元で組織的に動いたという情況をより一層濃厚にさせると見ている。

 これに対して国家情報院は 「121万件の文の内容がすでに既存のものと類似しており、自動プログラムで数字だけが急激に増えた。 検察の起訴状変更は3通りの印刷物に過ぎないものを、あたかも100万通りの印刷物のように包装すること」と主張した。 これに対して検察関係者は「プログラムを利用してツイッター文を大量リツィットした事実を認める解明だ。 国家情報院次元の組織的行為であることを自白したわけ」と話した。 ユ・スンチャン ソーシャルメディア コンサルタントも「この程度の規模でなされたことならば、単に文書を生産して伝播するのでなく、これをどれほど広く伝えるか組織的に研究した結果だろう」と話した。

 検察はこのような内容をウォン・セフン前国家情報院長の起訴状に追加してほしいと20日夜、裁判所に要請した。 ウォン前院長の裁判を受け持っているソウル中央地裁刑事21部(裁判長イ・ポムギュン)は22日午後4時、予定になかった裁判期日を追加で用意し検察の2次起訴状変更申請書について議論することにした。

■ 実際の波及効果は?

‘121万’という数字は氷山の一角という評価が支配的だ。

 まず121万件余りのツイッター文は‘原文’2万6550件からリツィットされ派生してできたものだが、この原文の規模がより大きくなりうるためだ。 検察は先月18日起訴状に追加した5万5689個のツイッター文の中で、国家情報院職員本人でない外部助力者が作成したと見られる文2万7000件余りを除いて、残りの文だけを原文としてリツィットを分析した。 外部助力者の文は裁判で立証過程が複雑になり、裁判の進行が遅くなりうるという理由であった。 したがって除外されたツイッター文2万7000件余りを含め、これらの文を原材料とみなしてリツィットされた結果まで分析するならば、実際の国家情報院による大統領選挙・政治介入関連ツイッター文は数百万件になるという推定が可能だ。(<ハンギョレ> 8月19日付1面参照) また、ツイッター文121万件だけを見ても、これらの文が以後にどこまで広まったのかは予測の範囲を越える。 各文をフォロワーが10人ずついるツイッター使用者がリツィットしたと仮定すれば、1000万件以上に広がったという計算が出てくる。 検察関係者は「ツイッターは上げて置けば勝手に流通する。 121万件余りという数は国家情報院が職員のアカウントを利用してツイッターネットワークに投じた数字を意味するに過ぎない」と話した。 121万件余りは国家情報院職員が作成したりばら撒いた数値であるだけで、実際にこのようにしてまかれた文を誰がどれくらい見たかは確認できないという意だ。

 社会関係網サービス(SNS)専門家たちも‘121万件’という数字だけでも影響力を無視できないと診断した。 チャン・トクチン ソウル大教授(社会学)は「検察が自信を持って起訴状に追加した部分が121万件余りならば、明らかにならなかった文はそれよりはるかに多いだろう」と話した。 ツイッター活動を活発に行っているいわゆる‘パワーツイッターリアン’らを通じて無限に拡大再生産された可能性を排除できないためだ。 チャン・チュンヒョク大邱(テグ)大コンピュータIT工学部教授は 「SNSに上がってきた文の中で身辺雑記を除く公共に関する文が通常一日10万~20万件水準であることを勘案すれば、国家情報院職員が書いた文120余万件は極めて多い」と評価した。 情報通信政策研究院のある関係者は「研究結果を見れば、半分以上のツイッター文が8分以内にリツィットされて平均4600人に伝えられる。 ツイッターは情報を伝播するにたやすく、拡散速度も社会的なイシューをすばやく伝播する特徴を有している」と説明した。

 国家情報院の途方もないリツィット行為は‘露出最大化’のための戦略と見るべきだという分析も出ている。 ツイッター空間ではそれぞれ違う内容の文100個より、99回リツィットされた1個の文の方がはるかに影響力が大きいためだ。

 結局、国家情報院職員が上げたインターネット掲示文・コメントとツイッター文の影響力は微小だったというセヌリ党と保守言論、国家情報院の主張は力を失うことになった。 彼らは去る6月の検察捜査結果発表直後に 「わずか73件に過ぎない」として、掲示文・コメントの影響力を矮小化し、以後に不法ツイッター文5万5689件が追加で明らかになるや「国内で4ヶ月間に生産されたツイッター文の0.02%に過ぎない」として意味を縮小してきた。

 国家情報院のこのようなツイッター活動は、結果的に選挙で市民の公論の場を破壊する役割をした。 ユ・スンチャン コンサルタントは「国家情報院が書いたツイッター内容を見れば、人身攻撃をするなど政治嫌悪を煽る内容が多い。 ソーシャルメディアの信頼度を低下させ政治的混濁を作った。 ソーシャルメディア使用者は信念と一致する情報は受け入れ、そうでない情報は無視する、いわゆる‘確証偏向’を持っているので、野党圏候補に拒否感を持っている人には確証偏向を与えただろう」と説明した。 チャン・トクチン教授は「極右的な主張など、あえて書けないような文でも、自動複写・伝播プログラムを通じる場合には自信を持って伝播できるようになる付随的な効果が起きうる」と話した。

 botプログラム 国家情報院職員がツイッター文を自動転送する用途で活用した‘botプログラム' はあらかじめ作っておいた数十ヶのツイッターアカウントに特定サイトやツイッターアカウントの文を自動で上げるプログラムだ。 国家情報院職員は、特定報道機関の大統領選挙・政治関連インターネット記事や保守論客のブログ・ツイッター文を30分または1時間ごとに20~30個のアカウントで転送するようbotプログラムを設定していたという。

 ツィットteck 国家情報院職員が活用した‘ツィットteck’というプログラムは、国家情報院職員が直接作成した文や保守論客の文をあらかじめ用意しておいた数十個のツイッターアカウントで一気に上げられるプログラムだ。 botプログラムのように特定サイトや特定アカウントに連動させておき自動で文を載せるのではなく、上げる文や拡散する文をその都度選択しなければならない。

キム・ウォンチョル、パク・ユリ、パク・スンホン、キム・ヒョジン記者 wonchul@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/612205.html 韓国語原文入力:2013/11/21 23:00
訳J.S(3923字)

関連記事