フランス政府が、同性結婚合法化に反対するデモの最中に左派活動家を殴り死亡させた極右団体に対して、解散措置を下した。フランス政府は「共和主義的価値に脅威を与える極右勢力は相手にしない」として、極右勢力の暴力に非寛容対処を強調した。
ジャン=マルク・エロー首相は8日、左派活動家クレマン・メリク(19)の死亡に関与した「革命的民族主義青年」(JNR)を解散する即刻措置を取るよう、内相に指示した。マニュエル・ヴァルス内相は「悲しいことに、人種主義、反ユダヤ主義、反同性愛など、そのような動きが再び起きている」として、断固たる対処を約束した。これに先立ちヴァルス内相は、「極右勢力の特徴を示すこのような暴力を撲滅する、断固たる決意」を強調したことがある。メリクの死亡後、フランソワ・オランド大統領も「最も力強い口調」で、その攻撃を非難すると語り、強力な対処を示唆した。
フランス名門大学のシアンスポ(パリ政治学院)の在学生であり、反ファシズム活動家であるメリクは5日、パリ中心街で行われた同性結婚反対デモの最中に起きた極右団体会員と反ファシズム活動家の間の衝突騒ぎに遭い、亡くなった。パリ検察庁のフランソワ・モレン検事は、メリクの死亡に関連して5人が調査を受けており、エステバンという20才の青年が、殺人容疑で調査を受けていると明らかにした。
モレン検事は「エステバンが、メリクを素手で二回も殴って地面になぎ倒したと、警察に認めた」と伝えた。しかし、目撃者は、エステバンが手にブラスナックル(指関節に挟む金属武器)をはめていたと証言している。モレン検事も、エステバンの自宅でブラスナックルを発見したと明らかにした。
メリクの死亡に関与した「革命的民族主義青年」は、極右派運動団体である「第三の道」の暴力前衛組織だ。2010年、レバノン出身のセルジュ・アユーブ(49)が創立を主導した同団体は、会員たちの断髪と野球のバットで反対者などに加える暴力等で有名だ。この団体は、過去のイタリアファシスト運動のスローガンである「信じろ、戦え、服従せよ」を借用している。坊主頭のスキンヘッド青年たちとサッカー場乱闘勢力を主な構成員として募集している同団体は、「貪欲な資本主義とまぬけな左派」の間で第三の道を宣言して、反米・反共・反ユダヤ主義を掲げている。指導者であるアユーブは、同団体がメリクの死亡に関連していないと主張したが、検察は容疑者全員が「第三の道」に関係していると明らかにした。
メリクの死亡後、フランス南部ツールーズ市当局が、中世にイスラム勢力のヨーロッパ侵攻を阻止したツールーズ戦闘を記念する、右派主導のろうそく集会に対する禁止令を下し、左派団体は抗議デモを行うなど、フランス全域で反極右の雰囲気が熱くなっている。フランスでは、極右政党である国民戦線が、1986年に議会選挙で35議席を得て、2002年大統領選挙で決選投票に進出するなど、ヨーロッパで最も強力な勢力を誇示した。しかし、2007年以後、内部分裂と極端な右派政策で議会議席を全て失うなど、政界で力を失った。
フランスでは最近、同性結婚合法化以後、右派勢力の大々的な反対デモで、左右間に緊張が高まってきた。最近、極右歴史学者ドミニク・ベネット(79)が同性結婚合法化措置に抗議して自殺し、極右勢力が活発な反対デモを繰り広げた。
チョン・ウイギル先任記者 Egil@hani.co.kr