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[編集局から] 韓国に任天堂が生まれない理由

登録:2009-04-20 10:20

原文入力:2009-04-19午後08:23:15
パク・スンビン記者

←パク・スンビン経済部門編集長

“わが国は任天堂ゲーム機のようなものなぜ作れないか?”
イ・ミョンバク大統領が去る2月初め、知識経済部を突然訪問し非常経済対策会議を行う中で投じた質問です。唐突な質問だと思いながらも ‘そうだな,なぜ作れないのだろう?’ とじっくりと確認してみました。大統領の注文なので政府関連部署もあたふたとその理由を探しに出たし、自ら対策を出したと理解しています。しかし、とうてい任天堂のような創意的な商品が出てくることができない土壌を確認するこの頃です。

動画ポータル ユーチューブを運営するグーグルが韓国の法律により施行しなければならないインターネット実名制(制限的本人確認制)を拒否したために、政府が堪え難い立場に置かれたようです。ユーチューブに動画やコメントを上げる韓国人は皆実名と住民登録番号を確認する手順を踏むようにする規制を出したものの、グーグルが珍しくこの規制からすぱっと抜け出しました。ユーチューブ利用時、国家設定を ‘韓国’ とした場合に動画とコメント上げる機能を遮断してしまったのです。代わりに ‘全世界’ または他の国籍に設定をして入れば済むようにしました。このようにすれば利用者らは外国にサーバーがあるサイトに接続することになり、韓国で適用される規制を受けずに済むというのがグーグル側の説明です。

これに伴い暫時国籍を捨てさえすれば韓国のネチズンにユーチューブはそのまま生きています。大統領府もこの程度の自尊心毀損は甘受するとのことです。大統領府はユーチューブに ‘全世界’ として国家登録を行い大統領演説などの動画広報物を継続して上げることにしました。グーグルが親切に案内した穴を活用したわけです。とにかく変わったものは国家設定方式一つだけなのに、ユーチューブはインターネット実名制適用を受けないという現実、ここに世の中が移り変わる道理が含まれています。この道理を体得すれば無尽蔵な機会を得ることができる反面、正しく理解できなければ ‘グローバル危機’ に転落します。

インターネットに象徴されるデジタル経済は、既存経済体制(旧経済)とは違った作動原理を持っています。たとえば収穫逓減でなく収穫逓増の法則が適用されます。供給よりは需要、一人占めよりは共有、独自の内在価値よりはネットワークを通じた外部効果、一糸不乱な垂直的位階秩序よりは水平的互換をさらに重視するものがデジタル経済の先導者などです。収穫逓増はネットワークの大きさの関数です。ネットワーク参加者が増えるほど、そのネットワークを活用する事業者や利用者の利益も格段に大きくなります。

グーグルはインターネット実名制を拒否し、その理由として ‘匿名性に基づいた表現の自由の保障’ を前面に掲げました。一方ではデジタル経済に相応しい ‘先端商業主義’ を見せます。グーグルがわが政府に対抗するには、表現の自由に対する原則と信念より商業的利害がより大きく作用したのかもしれません。国内ポータルやインターネット コミュニティ事業者たちはグーグルとの競争で庭の畑の顧客まで譲り渡すことになりました。すでに ‘サイバー亡命’ の兆しがあちこちに現れています。こういう状況をむかえて政府はデジタル経済に逆行する方式で対応しています。この問題を集中的に扱った<ハンギョレ>報道に対して、放送通信委員会の最初の反応は以下の通りです。

「ユーチューブ韓国サイトで履行を拒否したインターネット実名制はノ・ムヒョン政府時期に施行された制度で、(ハンギョレ報道は)あたかもイ・ミョンバク政府が導入したものであるかのように誤認させかねません。」

インターネット実名制を巡るわが政府とグーグル間の争いを見れば、韓国版任天堂の夢が近づくどころかむしろ順次遠ざかっているという感じがします。

パク・スンビン経済部門編集長sbpark@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/350634.html 訳J.S