"公益" 応急医療・伝染病に対処
民間より30%安い診療費のため
年平均19億の "避けられない赤字"
公共医療比重10%にもならず
「自治体1ヶ所当たり1つに増やし
中央・地方政府が赤字補填を」
2011年基準で地方医療院の平均負債は約151億ウォンに達している。 その年だけで平均19億ウォン程の赤字を記録した。 金泉(キムチョン)・清州(チョンジュ)医療院などいくつかの医療院は黒字を出したが、多くの地方医療院は赤字幅が大きかった。 専門家は地方医療院が収益の残らない応急医療や伝染病対処など公益目的の医療事業を遂行する一方、民間病院とは違って利益を残す診療をせず平均診療費が低いところにその原因があると指摘する。
慶尚南道が晋州医療院を閉鎖するという理由の一つは、毎年約40億~60億ウォンの赤字を出し、300億ウォンに近い負債が溜まっているということだ。 だが、これは晋州医療院だけの問題ではない。 2011年の全国地方医療院経営現況を見れば、借金のない所はない。 全体の65%が100億ウォン以上の負債を記録している。 300病床以上の総合病院級地方医療院の場合は借金が平均261億ウォン程で、320病床の晋州医療院の借金(約253億ウォン)とほとんど同じだ。 これに比して黒字を記録している地方医療院は金泉(キムチョン)医療院など7つ程度だ。
地方医療院はなぜこのように赤字を記録するのだろうか? チョン・ベックン慶尚大医学専門大学院教授は「収益が生じはしないが住民たちの健康向上および病気治療に必須の応急医療、伝染病隔離病床設置、ホスピス緩和医療などを担当しているためだ。 また、入院および外来診療費も同じ規模の民間病院より30%ほど低い」と説明した。 まず、地方医療院の85%は応急医療センターや応急医療機関に指定されている。 病院級医療機関の中でこのような応急医療を担当するセンターなどを設置している比率は32%に過ぎない。 また、地方医療院の診療費は同じ規模の民間病院に比べて入院診療費は71%水準、外来診療費は74%水準と低い。
このために自然に健康保険患者よりは医療給付に該当する患者をはじめ低所得層が多く訪れる。 地方医療院の入院患者のうち、医療給付患者の比率は41.8%で、民間病院の13.2%より大幅に高い。 低所得層患者に低い診療費で公益的目的の医療を遂行するために、年平均30億ウォンの赤字を地方医療院が記録しているという報告書もある。
専門家たちは地方医療院の公益事業に対する中央及び地方政府の支援を拡大し、地方医療院を一基礎自治体(訳注:各市・郡・区の自治体)当たり一ケ所程度に拡充しながら地域住民の参加を活性化しなければならないという解決法を対案として出している。 チョン教授は「地方医療院が収益のために診療するならば公共病院の機能を果たせなくなるのは当然なので、公共病院としての役割遂行により生じた赤字は中央及び地方政府が補填すべきだ」と指摘した。
イ・ジュホ全国保健医療産業労働組合戦略企画団長は「他の病院に移ることができなくて入院している患者にまで強制的に退院を推進している状況を防ぐには、地域住民が病院運営に積極的に参加する道を開かなければならない。 また、我が国の公共医療比重は10%にもならないが、80~90%のヨーロッパは別にしても、米国の公共医療比重である30%にも大きく及ばない。 朴槿恵(パク・クネ)大統領の公約でもある公共医療拡大の約束を守らねばならない」と話した。
現在全国に34箇所ある地方医療院では、距離的アクセシビリティの限界から250余りに及ぶ基礎自治体の地域住民の要求を満足させられていない。 イ団長は「地方医療院が各広域自治体にせいぜい4つか5つしかないので、医療院のない地域では普段利用もできない医療院に対する予算投入に反対することになる。 基礎自治体ごとに地方医療院を置いてその運営に地域住民の要求を反映させるための参加通路を作るならば、公共性を生かしつつ地域事情に合った医療院経営が可能だ」と語った。
キム・ヤンジュン医療専門記者 himtrain@hani.co.kr