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三星(サムスン)子会社を相手に…‘ダビデの訴訟’

登録:2012-10-05 07:46

原文入力:2012/10/04 20:19(2980字)

セクロンが装備特許技術を侵害
納品を受けた三星(サムスン)、子会社と取引
苦悩の末に法的争い…1審勝訴

"現在のように大企業が安心して中小企業の領域を侵すことが続いていけば国家経済には未来がない。"

 ハン・クンソプ ハンミ半導体経営支援本部長(常務)は「起業する人の立場で政界の議論に対して是非を言うつもりはない」としつつも、社会的な争点に浮上した経済民主化に対する所信を明らかにすることには躊躇しなかった。 先月25日、仁川(インチョン)西区(ソグ)、佳佐洞(カジャドン)にあるハンミ半導体本社で記者と会った席であった。

 半導体装備を製造する中堅企業、ハンミ半導体は三星電子の子会社であるセクロンを相手に特許侵害禁止訴訟を行い、去る8月末にようやく勝訴(1審)を引き出した。 担当裁判所であるソウル中央地裁は「セクロンが故意または過失によってハンミ半導体の特許権を侵害した事実が認められる」として「損失額218億ウォンの10%にあたる21億8000万余ウォンを賠償せよ」と原告一部勝訴判決を下した。 訴訟の相手側であるセクロンの78.1%は三星電子の持分になっている。

 問題の装備は半導体チップを最終製品化する工程で使われる‘ソーイング アンド プレースメント’というパッケージング装備だ。 この装備は半導体の集合体(半導体ストリップ)をそれぞれの製品に切った(ソーイング・sawing)後、不良有無を検査して最終使用のためのトラックに置く(プレースメント・placement)設備だ。 今回、裁判所はこの装備の作業処理順序と中間に半導体を一度ひっくり返す過程に関連したハンミ半導体の特許技術をセクロン側が侵害したと認めた。

 巨大企業の子会社を相手に訴訟を行う決定を下すまで、ハンミ半導体側の苦悩は大きかった。 2000年から三星電子にこの装備を納品してきたハンミ半導体は2006年1年間に28台を売った。 気流が変わり始めたのは翌年からだった。 注文量が9台に急減し、2008~2012年の間にはせいぜい1台の注文を受けるだけに終わった。 反面、セクロンは2006年から三星電子に同じ機能の装備を納品し始め、今年までに158台を供給した。 特許奪取疑惑がある子会社側に三星電子が取引先を移したわけだった。

大企業-ローファームがグルに… "訴訟費用を失うだけ" 雰囲気 拡散
"大企業に単価を激しく値切られても、取引を切られるかと思い口をつぐみ
公取委に不当行為として提訴しても簡単に露出するため敬遠
公正なルールを守って共生環境を作るのが経済民主化"

←仁川市、西区、佳佐洞にあるハンミ半導体工場全景. 韓米半導体は三星電子の子会社を相手に特許侵害関連訴訟を行い、1審で勝訴をおさめた状態だ。 仁川/リュ・ウジョン記者 wjryu@hani.co.kr

 ハン・クンソプ常務は 「2007年から気がついて口頭で抗議もしてみたが何の変化もなかった」として「むしろセクロンが問題の装備で世界市場まで伺い始め‘生存’のためには訴訟しかないという結論を下した」と話した。 ‘ソーイング アン プレースメント’はこの会社の売上の60%を占める主力装備であり、世界市場で70%ほどの占有率を持っているとハンミ側は説明した。

 訴訟戦も辞さないハンミの事例は実際非常に異例的なケースだ。 技術を奪取されるなどの不当な状況でも法的攻防を行う意欲を出せずに自らあきらめるケースが多い。 大企業依存度があまりにも高いためだ。 中小企業中央会の‘2011中小企業実態調査’を見れば、中小製造業者11万2424社の中で大企業または中小企業に委託を受けて納品する業者の比率は45.5%であった。 これら受託業者の委託企業依存度(受託企業の売上額に占める納品額比率)は81.2%に達する。

 電気分野の中小業者代表K氏は「大企業は中小企業を眼鏡レンズで見るように覗き見ている。 契約時から製品当たりニッケルが何グラム、銅が何グラム入っているか、職員の学歴がどうかまで要求して把握する」として「いくら苛酷に単価を策定しても取引を切ると言えば直ちに持ちこたえる余力もないので抗議することさえ不可能だ」と話した。 公正取引委員会に提訴する方法もあるが、提訴した相手がどこなのか簡単に露出するのでやはり敬遠するケースが多い。 中小企業中央会のある関係者は 「匿名の事例でもマスコミ等を通して外部に知らされた瞬間、問題の大企業が最後まで追跡して懲らしめた前例もある」と話した。

 最後の手段は法に訴えることだが、それもやはり容易でない。 8年にわたってLGU+を相手に特許侵害関連訴訟中であるソオテレコムのキム・ソンス社長は 「大型ローファームらと関係が深い大企業を相手に(訴訟で)勝つことは難しい」と話した。 ソオテレコムは訴訟費用だけで80億ウォンかかったという。 ハンミの場合、裁判過程で目につく不当な外圧を感じたことはないが‘大企業を相手に訴訟を行えば互いに難しくなり経費がかかるだけではないか’という周辺からの圧迫があったという。 キム社長は「中小企業の技術は‘持って行って使えるもの’という大企業の認識が問題」として「経済活動全体の活動性を阻害するこのような認識は結局大企業にも得にならない」と語った。

 年間売上2000億ウォン台の規模を備えたハンミ半導体のような中堅企業は、それでも法的な判断を受けてみる‘余裕’がある方だが、零細な中小業者にはそれ自体が‘贅沢’に近い。 工具関連の中小企業S社のD代表は「中小企業が大企業の依頼を受けてようやく開発した製品を他の会社が(横領して)納品するケースがある」として「法的対応をしたくとも莫大な訴訟費に耐えられず断念することになる」と話した。

 経済民主化が争点化しながら、このような状況でも微弱ながらも変化の気流は感知されている。 キム・ソンス社長は 「中小企業が考える経済民主化とは公正なルールを守りながら勝者一人占めではない共生の経済環境を作ろうということ」とし「その方向に進まなければならないという社会的雰囲気が形成されつつあると見る」と期待感を表示した。 先月キム・ドンス公正取引委員長の地方の素材中小納品業者懇談会に同行したある公取委関係者は「情報技術(IT)と流通業界では不当取引改善がまだ不十分なのが実状だが、製造・建設業では単価切り下げなどの慣行が緩和されている」と話した。

 ハン・クンソプ常務は「1983年三星が初めて64kDRAM開発に成功して新しい成長動力を切り開いた時、ハンミ半導体は技術中小企業として製造装備の国産化で協業した」として 「規模を備えていない中小企業が進出しにくい分野を大企業が先導して、中小企業は任された分野で技術革新を成し遂げる共生の精神が切実に必要な時」と話した。

クォン・オソン記者 sage5th@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/554358.html 訳J.S