本文に移動
全体  > 文化

11分、短いが響きの大きな慰安婦ハルモニの肉声

登録:2012-09-25 15:00

原文入力:2012/09/23 20:08(1511字)

ミン・ヨングンのディレクタースケッチ
3Dアニメーション「少女物語」


←ミン・ヨングン監督

数日前、日本で開かれた札幌国際短編映画祭に行ってきた。今年で7回目を迎えるこの映画祭は、通常の映画祭のように、競争と非競争の多くのセクションを設け、全世界の多様な短編映画を上映する映画祭だ。この映画祭には、アジアで作られた短編映画のみを集中特集する「アジアンタイフーン」という非競争セクションがある。韓国映画からはユ・デオル監督の「エチュード・ソロ」を含めて2本の映画が紹介されたが、個人的に一番印象的だった瞬間は、キム・チュンキ監督の「少女物語」(邦題:ある女性の生涯)が上映された時だった。

「少女物語」は日本軍の性奴隷として引かれて行ったハルモニの話を描いた3Dアニメーション映画だ。2004年、亡くなられた鄭書云(チョン・ソウン)ハルモニの生前の肉声インタビューをそのまま映画に用い、15歳の少女が経験することになる血なまぐさい経験をアニメーションで再現した作品だ。この映画の最大の特徴は、3Dアニメーションで具現されたハルモニの姿に、その実際の声を当てたところにある。映画のイメージはアニメーションだが、サウンドはドキュメンタリーで、ハルモニの実際の肉声とその個々の口の形まで細かく描かれたアニメーションとの出会いは、実写映画とはまた別の、妙な感じを受けた。

映画は鄭書云ハルモニの声に導かれ、1937年のあの時にさかのぼる。日本軍によって駐在所に連れて行かれたお父さんを釈放してもらうために、少女は町内の里長の勧誘で日本へ仕事をしに行くことになる。しかし、里長の言葉はすべて偽りで、少女はインドネシアのジャワ島にある日本軍の基地へ連れていかれることになる。そこで少女は15歳の年には耐えがたい血なまぐさい経験にあってしまう。映画はハルモニの成長を土台にして、8年の残忍な時間と、そこから劇的に脱出するまでの過程をアニメーションで再現する。11分という短い時間の間、向い合うことになるハルモニの苦しい記憶は、日本軍性奴隷に関する様々な映像と資料を見てきた私にも、非常に衝撃的だった。

映画を観る間、特に複雑な気がしたのは、おそらくこの映画が上映されている場所と観客のためだったようだ。歴史と領土問題で日韓関係が極度に悪化した時期に、日本の劇場、そして客席を満席にした約200人の日本人観客たちに、この映画が上映されているその瞬間は、特に意味深長に思えた。「少女物語」が上映された11分の時間の間、客席は特に静かだった。咳の音もすすり泣きも、はだしくは息の音もほとんど聞こえなかった。各個人がこの映画に対してどう感じたのか、細かく分からなかったが、映画が終わった後、客席から出た力強い拍手音を通じて、弱弱しくもその反応たちを感じることができた。感情にかたよらず、ハルモニの実際の肉声という否定することができない真実を土台に、冷静に過去のある瞬間を再現したこの映画の力が、日本の観客たちにもそっくりそのまま伝わったようだった。映画を作った製作陣の努力だけではなく, この映画を上映リストに加えた日本人主催側の心、そして映画を見て勢いよく拍手を打ってくれた観客たちの反応が、多くの恨みを抱いたまま過ごしているたハルモニたちに弱いながらも小さな力を与えられたらと思う。「少女物語」は現在インターネットを通じて4分の予告映像を見られ[訳注:こちらで見られます]、11分の本編映画は今年、各種国内外の映画祭で上映後、来年頃に一般公開する計画だとのことだ。

映画監督 ミン・ヨングン
原文:https://www.hani.co.kr/arti/culture/culture_general/552960.html 訳 M.S