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「労働争議は公的領域に該当、私設暴力を呼び入れた企業主の責任を問わねば」

登録:2012-08-23 07:29

原文入力:2012/08/20 19:14(1650字)

←ヘルメット、盾、棍棒、保護帯等で完全武装してあたかも警察特殊機動隊のように見える外注警備職員が、去る2011年6月、会社に入ろうとする柳成企業の労組員らと対峙している。 牙山(アサン)/金属労連提供

外注警備暴力防止の根本対策はないか

 警察は最近、暴力前科者の警備業就労を制限する警備業法改正案を発表した。しかし全ての法には抜け道があるものだ。 いくら法を改正しても警察・警備業者・雇い主などの認識が変わらない限り実効性は落ちざるを得ない。外注警備暴力の市場がすでに形成された状態だという点もこのような憂慮をさらに高めている。

 このため学界・法曹界・市民団体などの専門家たちは労働争議現場に対する一種の“社会的ガイドライン”を設けることを提案している。 公益法務法人≪共感≫のユン・ジヨン弁護士は「労働争議現場をあたかも家の中の事のように私的空間として縮小して見ようとする企業主の認識が、外注警備暴力と警察の傍観を生む根本原因」と指摘した。 「自分の所有する施設から人々を追い出してどこが悪い」という誤った認識が私設暴力を引き込み、これに対して警察は「私的領域には干渉できない」という消極的姿勢で一貫させるということだ。

 ユン弁護士は「正当な労働権の行使を暴力で鎮圧する行為は当然、公的領域で起こったことと見て、公共の価値の次元で積極的に解決しなければならない」と指摘した。 都心で個人間の暴力が起きるのを公権力が介入して防ぐように、労働争議現場で発生した“外注警備暴力”も警察が事前に防ぎ、事後的にも強力に処罰しなければならないということだ。

 建国(コングク)大法学専門大学院のイ・ゲス教授は「憲法で言うところの財産権は他人を排除する民法上の所有権よりはるかに広い意味だ」として「労働現場に対する所有権は民法ではなく社会法的認識で見るべきだ」と指摘した。 事業主が自分の所有する工場から労働者を追い出す権利を行使する財産権ではなく、労働者が共に働いている公共の場所という“社会的権利”に注目しなければならないという意味だ。

 去る14日、民主統合党の暴力外注警備業者真相調査団と≪参与連帯≫が共同主催した討論会でも、参席者は雇用主に対する処罰を強化しなければならないと提案した。 不法暴力事態が発生した場合、当該外注警備業者を呼び入れた施設主または雇用主に法的責任を問わなければならないということだ。

 企業主の認識変化が私設暴力解決の根本的処方だとすれば、企業主がむやみに私設暴力を動員できないように封じ込めることも必要だ。 この日の討論会でキム・ナムグン弁護士(参与連帯副執行委員長)は警備業者の“グローバル スタンダード”を紹介した。

 韓国の警備業法が多くの部分を参考にした日本の警備業法の場合、刑事処罰を受けた前歴がなくとも、不法行為を行なう恐れがあるという判断だけでも警備員としての就職を原則的に禁止している。 これら警備員が個人や団体の正当な活動を妨害してはならないという条項も明確に規定している。

 米国の場合は初めから警備員免許制を導入している。 全体的に見て“自律規制”方式を採ってはいるが、免許を取り消す事後監督が非常に強力だ。 業務遂行中には常に免許証を所持していなければならず、自身の任務から外れた行為をとった場合は即時免許が取り消される。

 フランスでは警備業務の具体的活動事項を詳細に規定している。 施設を警備する職員が個人の持ち物を検査する時は“見ること”だけが可能で、“引っ掻き回して見ること”は禁止している。 身体を捜索することも警察官の統制下でのみ可能だ。

イ・ジョングク記者

原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/547884.html 訳A.K