原文入力:2012/07/111:38(1906字)
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[朝の陽射し] チャン・ジャヨンと‘もう一つの死’ /チョン・ジェグォン
#1.2011年3月9日付<朝鮮日報> 12面。 ‘チャン・ジャヨン事件’に対する警察の再捜査結果発表が差し迫ったその時、この事件の主要関心事である‘朝鮮日報社長’に対して新聞社が口を開いた。 2009年初捜査当時の検察不起訴決定文を引用して、チャン・ジャヨン文書に出てくる‘朝鮮日報社長’は 「朝鮮日報の系列会社である<スポーツ朝鮮>の前社長○○氏であることが明確に確認された」と明らかにした。 チャン・ジャヨンの所属会社代表であるキム・ジョンスン氏が普段○○氏を‘朝鮮日報社長’と呼んでいたことが誤解を産み、実際のパン・サンフン<朝鮮日報>社長はチャン・ジャヨンに会った事実がないことが立証されたということだ。
#2.去る6月25日ソウル中央地裁刑事合議37部法廷。イ・ジョンゴル民主統合党議員がチャン・ジャヨンを自身と結び付け名誉が毀損されたとし、パン・サンフン社長が提起した訴訟の公判が開かれた。 この席に<朝鮮日報>が‘朝鮮日報社長’として断定した○○氏が証人として出てきた。 彼の発言要旨はこうだ。 「朝鮮日報報道は意図的人格殺人だ。私は警察で単純な参考人調査を受けただけだ。 検察調査さえ受けなかった。 チャン・ジャヨン文書内容とは何の関係もない。 キム・ジョンスン氏とチャン・ジャヨンに同時に会ったことがあるが、その場にはパン・サンフン社長の弟であるパン・ヨンフン コリアナホテル社長もいた。」
○○氏の主張は特に新しいものではない。 チャン・ジャヨン事件が起きた後、彼はチャン・ジャヨンとの関係をこのように明らかにした。 捜査当局も彼の説明に頷いている。 それでも○○氏の法廷証言に新たに注目が向かったのは、1年余り前の<朝鮮日報>報道のためだ。 この報道の後、彼は‘チャン・ジャヨンを死なせた人’という世間の視線に苦痛を受けてきた。
ほとんど消えかけていたチャン・ジャヨン事件の火種はこのようにして法廷でよみがえっている。 この法廷攻防の観戦ポイントは2点だ。 まず依然として霧の中にある‘朝鮮日報社長’の実体だ。 検警の捜査によりパン・サンフン社長はチャン・ジャヨン文書の‘朝鮮日報社長’という疑いを取り除けたようだ。 <朝鮮日報>が断定した○○氏もやはり‘朝鮮日報社長’とは距離が遠く見える。 それではチャン・ジャヨンが血の涙で書いた‘朝鮮日報社長’は単なる蜃気楼だったのだろうか?
法廷で<朝鮮日報>と関連のある‘第3の人物’が議論されはした。 パン・ヨンフン社長だ。 <朝鮮日報>株式を10%ほど所有している彼は○○氏がチャン・ジャヨンを初めて見た2007年10月のある中華料理店での晩餐の席に一緒にいた。 計9人が参加したその場を主宰し、食事代も払った。 このような事実を○○氏と数人の参考人が捜査の際に述べた。 もちろんこのような情況だけでパン・ヨンフン社長をうかつに‘朝鮮日報社長’に結びつけることはできない。 彼を徹底的に避けた検警の捜査に疑問が残りはするが。
もう一つのポイントは<朝鮮日報>の態度だ。 2011年3月9日付報道を通じてパン・サンフン社長が問題の‘朝鮮日報社長’ではないという点はそれなりに説明したが出すぎた。 ‘朝鮮日報社長’を<スポーツ朝鮮>の前社長である○○氏だと断定したことは性急だった。 社主であるパン・サンフン社長の無辜を証明するために○○氏を‘犠牲の羊’にしたという感じを拭い難い。 パン・ヨンフン社長がチャン・ジャヨンに会った事実に知らぬふりをしたことも疑いを大きくしている。 もしもその報道に社主や社主一家を保護しようとする意図が介入していたとすれば、問題は次元が違ってくる。 言論の生命である公正性を私的利害のために傷つけたという論難を避け難い。
まだ真実は不明だ。 だが、法廷攻防の中で少しずつ実体は明らかになっている。 チャン・ジャヨンのマネジャー キム・ジョンスン氏が証人として出てくる7月23日が待たれる理由だ。(○○氏の証言の数日後にはパン・サンフン社長も証人に採択された。)
チョン・ジェグォン論説委員 jjk@hani.co.kr
原文: https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/541895.html 訳J.S