原文入力:2012/07/04 22:51(1890字)
カン・キフン氏‘遺書代筆冤罪’
闘病中嘆願 "道は遠い…"
21年前、遺書代筆捏造事件
無念な獄中生活 3年 服して
18年経って高裁 "再審せよ"
最高裁、3年にわたり決定先送り
1991年遺書代筆捏造事件で獄苦を体験したカン・キフン(写真)氏の弁護人が4日、最高裁に意見書を出した。 肝臓癌手術を受けたカン氏の健康が悪化しているため、法廷に立てなくなる状況が来る恐れがあるとして、再審決定を3年にわたって先送りしている最高裁に急いでほしいと訴える内容だ。 苦痛の中で21年を過し、身体の健康まで失った50才のカン氏にとって最後の嘆願になるかもしれない。
弁護団は意見書でソウル高裁刑事10部(裁判長 イ・カンウォン)が2009年9月15日にカン氏に対する再審開始を決めた後、検察が最高裁に即時抗告をしてから既に2年10ヶ月が経過したとし、「本案に対する実体判断をするわけでもないのに、いったい何の理由で最高裁の決定が遅れているのか、とうてい納得できない」と明らかにした。 弁護団は「最高裁が意図的に事件を遅延させているのではないかという疑問を拭えない」として裁判の進行を協議するための裁判所との面談を申請した。
弁護団はカン氏の健康状態から見て、これ以上再審決定を先送りすることはできないと強調した。 カン氏が5月23日、肝臓癌手術を受けた後に深刻な合併症で再入院し治療を受け、肝臓癌が再発するなどより一層悪化する可能性も排除できないということだ。 弁護団は「2007年11月真実和解委員会が遺書代筆事件が捏造である可能性を明らかにした後にも、カン氏の父親と母親は再審を通じて息子の汚名が晴れるのを見届けられずに肝臓癌で死亡した」として「真実の門が開かれそうでも開かれないまま最高裁で3年近く事件が放置される間にカン氏の精神的苦痛とストレスが続き、結局これが肝臓癌につながったのだろう」と指摘した。
←カン・キフン氏遺書代筆捏造事件日誌
弁護団は 「何よりもカン氏が自身に残された時間が長くないこともありえるという思いから、法廷で自身の無念さに対して述べる機会さえ来ないかもしれないということに誰よりも苦しがっている」として「万に一つ、カン氏の健康がより一層悪化してまともに法廷で弁論できない状況が起きるならば裁判所もやはりその責任から決して免れ得ないだろう」と明らかにした。
カン氏はこの日<ハンギョレ>との通話で最高裁の再審決定が延ばされていることに対して「道が遠い…」として残念がった。 彼は「誤った判決を再審を通じて正すことだけでも時間がおそろしくかかり、私がその時間まで生きていられるかさえ分からない」と話した。
カン氏は全国民族民主運動連合(全民連)総務部長だった1991年5月8日、盧泰愚政権に反対して西江(ソガン)大で焼身自殺したキム・ギソル(当時25才)全民連社会部長の遺書を代筆した容疑で獄苦を体験したが、その後 新しい証拠があらわれて2009年に再審開始決定を受けた。 しかし検察は最高裁に即時抗告し、最高裁は現在まで再審開始の有無を決めていない。
最高裁関係者は「法律的争点が多く色々な側面で検討中であると理解している」として「まだ決定宣告期日は決まっていない」と話した。 最高裁は2部(主審ヤン・チャンス最高裁判事)に配当されたこの事件を、最高裁判事全員が参加する全員合議体で審理する方案も検討中と伝えられた。 これに伴い、この事件の再審決定宣告は早くとも7月末か8月以降になるものと見られる。
ヨ・ヒョンホ先任記者 yeopo@hani.co.kr