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エジプト革命の結実 ムスリムの手に…軍部と‘権力衝突’不可避

登録:2012-06-25 10:41

原文入力:2012/06/25 08:46(1919字)

←エジプト大統領選挙管理委員会が24日午後4時30分(現地時間)ムスリム兄弟団の候補であるムハンマド ムルシの勝利を宣言するとエジプト革命の聖地タフリール広場に集まった数千人余りの市民が大きな叫び声をあげて喜んでいる。 彼らはムルシの勝利を守るために去る19日から6日間 広場を離れなかった。 カイロ/APニューシス

エジプト大統領選挙 ムルシ当選
軍、権限委譲を明らかにしたが最高軍事委に強大権限
両勢力 葛藤起きれば混乱…解散した議会 再総選挙が‘峠’

誰のための革命だったか

 24日(現地時間)結局、ムハンマド ムルシ(61・自由正義党)の勝利と判定されたエジプト大統領選挙結果を見守った多くの人々の頭の中をよぎる疑問だ。 いずれにしても2011年春ホスニ・ムバラク独裁政権を倒すためにタフリール広場に集まった市民が夢見た結論ではないはずであるためだ。 民主改革勢力は求心点を失い散り散りになり、結局エジプトの大統領選挙はイスラム主義者の手へ渡った。

 カイロの政治工学者オマル エシアワーは 「民主主義に進む開始点としては災難に近い」と<ニューヨーク タイムズ>に今回の選挙結果を評価した。 今後も執権イスラム勢力と軍部勢力間の激しい権力争いが予想されるという意味だ。

 ムバラクの30年鉄拳統治以後、初めて行われた今回の大統領選挙は外観的には‘民主主義祭り’に近かったが、内容面では過去への回帰に過ぎなかった。 去る5月の大統領選挙1次投票でムスリム兄弟団の候補であったムルシとムバラク時期の最後の総理アフマド シャフィクが決選投票候補に決定され、すでにこのような破局は予定されていた。

 ムルシが率いるエジプトの未来がどうなるかは五里霧中だ。 すでに軍部実力者で構成された‘最高軍事委員会’はムスリム兄弟団が過半数を占めていた議会を解散し、立法権、予算権、新憲法草案を作る委員の任命権などを自分たちが持つと宣言した。 大統領の軍に対する監視・統制は排除した。 誰が大統領になろうが軍部がほとんど全ての権力を思うままにできる権限を持ったわけだ。 マムドフ シャヒン少将など軍部最高実力者は「軍は権力を望むものではなく、大統領にすべての権限を譲り渡すだろう」と主張しているものの、それをそのまま信じるエジプト人は多くない。

 ほとんどの力が最高軍事委員会へ渡った状態で、大統領の権限は非常に制限されている。 大統領は長官を任命し、法を批准したり拒否権を行使する程度の権限しかない。 ムルシが就任する以前から‘植物大統領’になる可能性もあるわけだ。 最高軍事委員会は新憲法草案を作る委員会を構成した後、再び議会選挙を再実施して、議会が構成された後にすべての権限を大統領に渡すと明らかにしている。 今週中に憲法委員会が構成されるという観測が出ていたが、選挙結果の公布が遅れて公布後にも深刻な混乱が予想される状況で予測どおりに今後の日程が進行されうるかは未知数だ。 エジプト政局が総選挙状況に入り再び混乱状態に陥ることもありうる。

 エジプト国民の動きもどうなるか予想し難い。 ナセルに集まった数千名のシャフィクの支持者は選挙結果を信じられないとし抵抗する意向を明らかにしている。 彼らの集団行動が続く場合、流血事態が起き、国内情勢全体が混乱に陥った昨年春の状況が再現されることもありうる。

 ムルシ当選で当分エジプトの権力はイスラム主義者に集中するものと見られる。 これは多くの民主主義活動家が憂慮した状況でもある。 ムルシが強力なイスラム主義政策を強行するならば、市民が再び街頭に集まる可能性を排除することはできない。 だが、予想外に今後の政局が安定を維持できるという分析も出てきている。 <AP>通信などは選挙結果の発表が大幅に遅れたことは軍部とムスリム兄弟団が権力を分けて行うための闇取り引きをしたためという疑いもエジプト市民の間では広まっていると伝えた。 タフリール広場の民主化デモを率いた民主改革勢力もそれぞれ‘イスラム主義台頭’、‘軍部政権への回帰’等を憂慮して散り散りになって各勢力と手を握った状態であり、大規模デモを率いるだけの求心点がない点もこのような観測を後押しする。

イ・ヒョンソプ記者 sublee@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/539380.html 訳J.S