本文に移動

"女性差別は存在するのか" 黒人は "黒んぼう"

登録:2012-06-13 00:10

原文入力:2012/06/12 15:35(2126字)

ヒョン・ビョンチョル人権委員長の反人権的発言集

←大統領府が再任を決めたヒョン・ビョンチョル国家人権委員会委員長 ハンギョレ資料

ヒョン・ビョンチョル人権委員長 再任 論難
大統領府・保守陣営 好みどおり
任期中 重要事案にぬるま湯的

北韓内人権だけに積極的態度
独断的運営で委員ら続々辞退
職員が委員長を陳情する事態も

 11日大統領府が再任を決めたヒョン・ビョンチョル(68)国家人権委員会委員長は‘人権感受性が顕著に不足した’委員長として何度も批判の俎上に上がった。 ヒョン委員長の去る3年の任期中、人権委は‘人権無視委員会’あるいは‘北韓人権委員会’という皮肉まで受けなければならなかった。

 ヒョン委員長は2009年7月の就任時から人権関連経歴が一度もなく資格是非論難にまきこまれた。 漢陽(ハンヤン)大法科大学教授であったヒョン委員長は漢陽サイバー大学長と漢陽大行政大学院長など学内職務に従事したのが主な経歴の全てであった。

 就任後には反人権的発言と行動を見せた。 2009年12月に開かれた常任委員会で多数の人権委員が龍山惨事事件裁判に人権委が意見を出さなければならないと言ったのに会議を強制的に終えて「独裁といわれても仕方ない」と話して口端にのぼった。 2010年7月には人権委にインターンとして来た司法研修生らと茶を飲みながら、黒人を‘黒んぼう’と表現して顰蹙を買った。また 「我が国にまだ女性差別が存在するのか」という話で女性界の荒々しい反発を招きもした。 人権分野で人種と性差別に反対することは最も基本的な良識に挙げられる。

 主な人権関連事案に対しては無視したり保守的な態度で一貫した。 これに伴い、人権委の国際的地位は墜落した。 2010年5月に訪韓したフランク ラルィ国連報告官が龍山惨事、ミネルバ事件などを調査しながら人権委員との個別面談を要請するとヒョン委員長はこれを断った。 ラルィ報告官は以後スイス、ジュネーブで開かれた国連人権理事会で韓国政府に表現の自由保障、報道機関の独立性と多様性保護、国家人権委の完全な機能的独立などを勧告した。 ヒョン委員長は2009年7月人権関連国際機構である国家人権機構国際調停委員会(ICC)次期議長国が有力な状況だったが候補を出さなかった。

 ヒョン委員長は龍山惨事と<PD手帳>事件、ミネルバ事件などに対しては常任委回付さえしなかった。 そのためにムン・ギョンナン常任委員(ハンナラ党推薦)とユ・ナムヨン常任委員(盧武鉉前大統領推薦)が2010年11月ヒョン委員長の独断的な人権委運営に反発して任期途中で辞退した。 ヒョン委員長体制で辞退した政策諮問委員と専門委員は70人余りに達する。

 代表的な人権侵害法案である国家保安法にはむしろ寛大だった。 去る1月2期国家人権政策基本計画(NAP)勧告案を用意し、2006年1期勧告案で核心課題として明示した‘国家保安法廃止’を削除した。

 反面、北韓人権に対しては積極的に介入し大統領府とコードを合わせた。 就任直後の2009年7月から‘北韓内人権侵害事例’を問題視し、2010年12月には‘北韓人権法制定要求および北韓住民情報接近権関連勧告’を出した。 昨年3月には北韓人権侵害申告センターと北韓人権記録官を設置した。

 国内の人権向上に寄与した団体に授ける‘大韓民国人権賞’を3年連続で北韓人権団体に集めることもした。 北韓民主化ネットワーク(2009),北韓人権市民連合(2010)に続き、昨年はハ・テギョン セヌリ党議員が代表を務める開かれた北韓放送が賞を受けた。

 キム・トクチン天主教人権委事務局長は「ヒョン委員長は在任期間中、人権懸案に対して政権の好みに合う決定だけをした」として「とても低水準の人権基準も符合させることができず、退陣要求をしたが再任決定をするとはあきれる」と話した。 大統領府が北韓人権問題を国際世論化したことを再任理由に選んだことに対して彼は「我が国にある人権委が脱北者の人権でもない北韓人権だけに注力するということは話にならない」と批判した。

 人権委内部でも問題が多かった。 労組核心幹部として活動した女性人権担当調査官カン・某氏との契約を一方的に解約し、人権委職員が人権委員長を相手に‘報復性雇用差別’陳情を人権委に提起する前代未聞の事態が起きた。

 ある人権委職員は「人権の危機を招いた張本人がヒョン委員長なのに、大統領府では人権委をよく運営してきたと評価するとはあきれる」として「最悪の人選なので職員もとまどっている」と話した。 また別の人権委職員は「人権を絶えず無視してきたヒョン委員長体制で再び3年を過すと考えると目の前がまっ暗だ」としてため息をついた。

チン・ミョンソン、チョン・ファンボン記者 torani@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/537149.html 訳J.S