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10歳女子への性犯罪者に初めて「化学的去勢」

登録:2012-05-22 17:19

原文入力:2012/05/22 16:21(1453字)

性暴行前科4犯…3ヶ月に1回注射剤投与
「化学的去勢で性犯罪を減らすことはできない」との反論も


児童を相手にした性暴行犯罪者に対する性衝動薬物治療(いわゆる「化学的去勢」)が初めて実施される。去年7月、「性暴行犯罪者の性衝動薬物治療に関する法律」施行後も、人権侵害と副作用、犯罪予防効果の不十分などを指摘する反対論が相次いでおり、 論難が予想される。

←性犯罪者のイメージ。


 
法務部治療監護審議委員会(委員長 ギル・テギ法務部次官)は、児童性暴行犯の朴某(45)氏に対して、国内初の性衝動薬物治療命令を下したと22日、明らかにした。朴氏は強制わいせつ容疑で刑を終えて出所した2ヶ月後の2002年8月、10歳の女子に対して強制わいせつを行うなど、16歳未満の児童などを相手にした性暴行の前科が4回あり、先月、治療監護所の精神鑑定の結果、小児性嗜好者と診断された。

朴氏は7月に仮出所した後、自宅で生活しながら、3ヶ月に1回、性衝動治療薬物を注射剤などで投与される一方、心理治療プログラムによる治療を同時に受けることになる。法務部は朴氏に対して、今後3年間、集中保護観察を行い、電子タグを通じて位置を監視する事にした。

朴氏に投与される薬物は性腺刺激ホルモン拮抗制(GnRH)などで、黄体形成ホルモンの分泌を減少させ、結果的に男性ホルモンであるテストステロンの生成を抑制する方式で性的衝動や幻想を減らし、勃起力を一時的に落とす。法務部はこれらの薬物が、前立腺癌などの治療剤として病院から長く使用されており、副作用も検証されていると明らかにした。

性衝動薬物治療は、16歳未満の児童を対象に性犯罪を犯した、19歳以上の性倒錯症患者かつ再犯の危険性のある人が対象になり、有罪判決または治療監護を同時に宣告された場合や、仮釈放要件を満たした受刑者が治療に同意した場合に、検事の請求で裁判所が最大15年まで薬物を投与できる。朴氏の場合のように、治療監護や保護監護途中に仮出所する場合には、法務部治療監護審議委員会が、保護観察期間の3年間まで、治療命令を下すことができる。

治療対象者が薬物治療を受けずに逃亡したり、他の薬物により治療効果を無くす場合には、7年以下の懲役などに処するようにしている。また対象者を監視するためのホルモン数値検査などを拒否する場合にも、3年以下の懲役などに処するようにしている。年間1人当りの治療費用は薬物治療180万ウォン、ホルモン数値及び副作用検査50万ウォン、心理治療270万ウォンなど、約500万ウォンだと法務部は明らかにした。

これに対してキム・トクチン天主教(カトリック)人権委員会事務局長は、「個人の欲求を強引に制御するという発想自体に人権侵害の素地がある」、「化学的去勢で性犯罪を減らすこともできないのに、ひたすら犯罪の責任を個人にのみ向ける政策」と述べた。

イ・スジョン京畿大教授(犯罪心理学)は、「患者に治療拒否権があるように、当事者の同意なしに強引に薬物治療が可能な現行法は、修正されなければならない」と述べた。国家人権委員会も去年、当事者の同意を受けなければならないとの内容を、法律に明示することを勧告した.

ヨ・ヒョノ先任記者、イ・キョンミ記者 yeopo@hani.co.kr

原文:https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/534053.html 訳 M.S