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"秘線(秘密ライン)通じて心を一つに忠誠" …‘査察の胴元=大統領’暗示

登録:2012-05-17 06:37

原文入力:2012/05/16 22:40(2610字)

←国務総理室公職倫理支援官室が作成した業務推進指揮体系文書

支援官室チン・ギョンナク文書を見れば
野党政治攻勢 負担減らすため
"形式的には総理室所属
特命事項は秘密ラインで総括指揮"

実際の指揮体系どのように切り回したか
イ・ヨンホ、チェ・ジョンソク、イ・インギュなど
‘迎浦(ヨンポ)ライン’人脈で構成
公企業役員・政治家 裏調査
文書内容は ほとんど100% 実現

 16日に公開された国務総理室内部文書は民間人不法査察と証拠隠滅という‘国家基本紊乱’事件の震源地である国務総理室公職倫理支援官室が李明博大統領が直轄する‘大統領保衛機構’だったことを自ら暴露している。文書は "VIP(大統領)に心を一つにして忠誠をつくす別途の秘密ライン" などの刺激的表現を用いて大統領1人のために服務する組織であることを明確にした。 この文書を入手して支援官室の背後に大統領府があったという事実を確認した検察は、李明博大統領を含む大統領府の人々が‘政権保衛’のために支援官室を活用した具体的な糸口を追跡中だ。

 ソウル中央地検特別捜査チーム(チーム長 パク・ユネ)はキム・ギョンドン前支援官室主務官(現、行政安全部所属)が所持していた移動式保存装置(USB)から‘公職倫理支援官室の業務推進指揮体系’という支援官室の内部文書を確保したことが16日確認された。 キム前主務官はチャン・ジンス前主務官の前任者で、2008年7月の支援官室創設時から庶務担当者として執務した。 この文書はチン・ギョンナク前支援官室企画総括課長が作成したことが分かった。

 この文書には、支援官室の‘胴元’はイ・ヨンホ前大統領府雇用労使秘書官ではなく李大統領であることを察しさせる項目が多い。 まず、支援官室を総理室所属として設けながら、別途の指揮・報告ラインを検討する理由として「VIPの意中が①正確に伝えられ②セキュリティーを維持しながら③不必要な摩擦を起こさずに④密度高く推進」するためのものと明らかにしている。 李大統領の意向に合わせて自由自在に動く‘親衛組織’として運営するための指揮体系を置くが、通常の機構として‘偽装’する必要があるという話だ。

 文書では総理室所属の支援官室が実際に総理の指揮を受ける場合「指揮体系が法令に符合」するという点と「野党の政治攻勢とVIPの負担緩和」等を長所に挙げたが、「力があまり与えられず相対的にVIPの国政哲学との接続に限界」があると指摘した。 反面、大統領府民政首席が支援官室を統制する場合 「公職社会を含む各界の高級情報活用」が可能で「VIPの国政哲学の実現に一層有利」だが、「政治家である民政(首席)秘書官が監査機関を動員して政治査察をするという認識」のために「標的司正論難、活動上の制約」があると見た。 結局文書では、「通常の公職規律業務は総理が指揮するものの、特命事項はVIPに絶対忠誠をつくす親衛組織が秘密ラインで総括指揮」しなければならないという結論を出している。

 また 「過去の社稷洞(サジットン)チームがそっくり大統領府攻撃ルートになったため、外観を総理室所属として敏感な事案は絶対忠誠心が保障されている非公式ラインを活用する必要」があると付け加えた。 大統領下命事件を処理した過去の政権時期の社稷洞チームを、政治的論難を受けずに より洗練された姿で復活させようとする意図だ。 それと共に「政府のすべての権限は大統領が委任するので正当性を持つことになり、形式的な業務分担にこだわる必要がなく秘密ラインの活用は今後のレイムダック防止のためにも緊要」として違法的運営を正当化した。

 支援官室の指揮体系は実際に文書内容どおりに構成された。 ‘大統領に心を一つにして忠誠をつくす別途の秘密ライン’には李大統領と同郷である浦項(ポハン)出身のイ・ヨンホ大統領府雇用労使秘書官が抜擢され、イ秘書官はチェ・ジョンソク行政官、イ・インギュ支援官、キム・チュンゴン点検1チーム長、キム・ファギ チーム員など‘汎迎浦ライン’で支援官室を設けた。 支援官室を指揮する組織は大統領府雇用労使秘書官室だったので、彼らに支援官室業務推進費として月に280万ウォンが‘上納’されたのも当然のことだった。 すでに拘束されたイ前秘書官、チェ前行政官は検証された‘忠誠心’に相応しく依然として大統領府の関連性を否認しているという。

 文書では支援官室業務が‘高度な保安性’が必要で「指揮・報告体系以外のラインが関与することになれば業務推進力が下がり保安維持ができない」というだけに、「大統領室長が民政秘書室で(支援官室に)資料要求など業務関与できないよう報告ラインの整理」をして欲しいと建議した。 実際、チョン・ドンギ民政首席(2008年6月~2009年8月)支援官室業務に何の問題提起も出来ずに後任のクォン・ジェジン民政首席が‘報告ライン正常化’を要求してイ・ヨンホ秘書官と葛藤を生じさせたというエピソードは、この建議が実際に作動したことを示している。

 また、文書では 「前政権末期に打ち込まれたコード人物の中で、MB政策基調に相応できなかったり抵抗する人物に辞表提出誘導(9月、公企業役員39人)」を‘当面課題’として提示している。 実際、支援官室職員は‘監察’という名分を掲げて参与政府時期に任命された公共機関役員を間引きしたし、李大統領

を誹謗する政治家たちに対しては裏調査がなされた。 李大統領1人のための親衛組織の役割をしなければならないという文書の内容がほとんど100%近く実現されたわけだ。

 この文書を作成したチン・ギョンナク前課長は査察と証拠隠滅、特殊活動費横領の疑いで2度も拘束され収監中だ。 チン前課長は知人たちに「自分が口を開けばMBが下野しなければならない」と話したことが分かった。 チン前課長は支援官室の‘胴元’が李大統領であることを早い時期に知っていたことになる。

キム・テギュ記者 dokbul@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/politics/bluehouse/533244.html 訳J.S