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"MB, 査察報告書 徹夜で読むほど好んだ"

登録:2012-04-16 00:15

原文入力:2012/04/14 15:37(3436字)

←李明博大統領が去る4月3日午前、大統領府で開かれた国務会議を主宰して会議資料を調べている。 大統領府カメラマン団

支援官室以前にも‘迎浦(ヨンポ)ライン’秘線不法査察し‘政敵除去用’として活用の可能性

"夜を明かして読むほど好んだ" という証言が出てきた大統領が根本原因

 国務総理室公職倫理支援官室(以下、支援官室)をはじめとして国家情報院、警察などはなぜ超法規的な民間人不法査察を行ったのだろうか? ‘BH(大統領府)下命’ ‘VIP(大統領)憂慮’等の表現があちこちに登場するのを見れば、不法査察と李明博大統領が何らかの関連がないと見ることは難しそうだ。

 最大の問題になっている支援官室は過去政府では‘調査審議官室’という名前で存在したが、李明博政府になって廃止して2008年7月に復活させたのだ。 イ大統領はソウル市長在任時期である2004年9月、ソウル市監査班に自身の自動車のトランクを‘捜索’されたことがある。 公職監察を担当する調査審議官室が‘李市長が秋夕(チュソク)を控えて贈り物を受け取った’という情報提供を受けてこれをソウル市監査班に通知したのだ。 このような過去の歴史のために、調査審議官室が李政府に入って廃止されたことは李大統領の不快感のためという話が出回った。 だが、調査審議官室は米国産牛肉輸入再開反対ろうそく集会以後、支援官室としてよみがえった。

 セヌリ党のある議員の話はもう少し具体的だ。  「‘チラシ’水準の報告書だとしても、李大統領としては生まれて初めて見ることだと言ってとても好んだ。 ‘ヨンポ ライン’はこのような不法査察報告書でイ大統領の歓心を買った。」

当選直後から査察、随所で発見

 それでは支援官室が設置される前までは李明博政府では不法査察がなかったのであろうか? そうではなさそうだ。 代表的なのがチョン・ドゥオン セヌリ党議員、チョン・テクン議員(無所属)の査察だ。 2008年4月頃、二人を査察したのはパク・ヨンジュン当時大統領府企画調整秘書官の下で仕事をしたイ・チャンファ前行政官だ。 2008年総選挙を控えてイ大統領の実兄イ・サンドク議員の公認返却要求を主導したという理由で2人のチョン議員はイ前行政官に査察され、これを知ったチョン・ドゥオン議員がイ議員に抗議したことは広く知られた。 朴槿恵セヌリ党非常対策委員長、イ・ソンホン セヌリ党議員などをイ前行政官が査察したという疑いを受けた時期もこの頃だ。

 国家情報院出身であるイ前行政官はほぼ同じ時期にキム・ソンホ前国家情報院長、チョン・オクヒョン前国家情報院1次長の夫人などを査察したという疑惑も買った。 2010年11月イ・ソクヒョン当時民主党議員はこのような疑惑を提起して、イ前行政官が支援官室スタート後にそちらへ席を移したと主張したことがある。 これと関連して与党のある要人は「大統領選挙で500万票差で当選した李大統領は非常に自信にあふれていたが、ロウソクのあかりでおどおどすることになった。 ところで検察・警察・国家情報院は全て手を出せなかった。 政権核心は特にキム・ソンホ国家情報院長に対する不満が強かった。 その間隙にゲシュタポのような‘ヨンポ ライン’(慶北迎日()ヨンイル・浦項(ポハン)出身要人)が反対派を広範囲に査察して、政権の安危のために支援官室のような別動隊を作った」と話した。

 与党のある要人は、この頃、李大統領の側近K氏も査察にあったと主張した。 K氏は2008年総選挙に出馬して落選したが、与党の一部の人々が彼を大統領府に起用しようと推薦するや李大統領が「そのように問題が多い人をなぜ使おうというのか」として怒ったという。 この要人は 「分かってみれば選挙の時に相手側がした陰湿な攻撃内容を基に‘パク・ヨンジュン ライン’側から裏調査をし、大統領に悪意的に虚偽報告をした」として「結局、大統領がK氏に直接謝罪までした」と話した。 また、この要人は「支援官室ができる前には大統領府民政首席室公職規律チームも査察を行ったと理解する」と話した。 当時、公職規律チーム長は現在チャン・ジンス前支援官室主務官に口止め用に5千万ウォンを渡した疑惑を受けるチャン・ソンミョン公職規律秘書官で、それはやはりパク・ヨンジュン当時基調秘書官と近い。

報告ラインを無視してもMB 「そのまま置いておきなさい」

 不法査察問題で最も重要な内容はこのように収集された情報が誰に最終報告され、どのように利用されたのかだ。 上に述べた李大統領側近の事例は、査察情報が李大統領に報告され、事実上の‘人事資料’であり‘政敵除去用’に活用された可能性を示している。 大統領が人事を行う時、念頭に置いた人物の情報を収集して徹底して検証するのは当然のことだ。 だが、李明博政府の問題は、権限のない機関や個人がこのような情報を不法査察を通じて収集し、李大統領がこれを活用した可能性が高いという点だ。 また、支援官室を実質的に運営したイ・ヨンホ前大統領府雇用労使秘書官、彼と近いパク・ヨンジュン前秘書官などが李大統領に直接報告をしたという疑惑もまだ解けていない。

 ある与党関係者は 「やや誇張すれば李大統領は不法査察報告書を夜を明かして読むほどに好んだ」と言った。 セヌリ党のある議員の話はもう少し具体的だ。「‘チラシ’水準の報告書だとしても李大統領としては生まれて初めて見ることだととても好んだ。 ヨンポ ラインはこのような不法査察報告書で李大統領の歓心を買った。 ‘国家情報院も言うことを聞かず、社稷洞(サジットン)チームもないため統治権をがっちり守るために我々浦項(ポハン)が乗り出す’として不法査察を行い、支援官室を利用して各種利権と人事に介入した。」李大統領が好むからと不法を犯して情報を収集し、これを基に権力を掌握して専横を振り回したということだ。

 李大統領は査察が不法的になされて正式報告ラインを無視した報告がなされることに特別な問題意識がなかったと見える。 与党要人の話を総合すれば、クォン・ジェジン当時大統領府民政首席は去る2009年10月頃など二度にわたって李大統領に問題提起をした。 職制上、支援官室の報告ラインは民政首席室なのに、雇用労使秘書官室がこの組織を管理していたためだ。 だが、李大統領は「 そのまま置いておきなさい」と答えたという。 以後、支援官室の報告ラインに民政首席室が‘追加’されたりしたが、根本的な措置はなかった。 チョン・ウンチャン当時国務総理もやはり李大統領に支援官室‘正常化’を要求したが受け入れられなかった。

国家情報院長、機務司令官 単独報告も復活

 盧武鉉前大統領は代表的な情報機関である国家情報院長と機務司令官の単独報告を廃止した。 密室政治論難の根元をなくし、この機関を国内政治から独立して本来の任務にだけ忠実にさせようとする試みであった。 ところが李大統領は二人の機関長の単独報告を復活させた。 特に国家情報院の場合には専門性がないのに側近であるウォン・セフン院長を任命して直接関わった。 その結果は国家情報院の民間人不法査察疑惑だ。 機務司もやはり2009年8月、双龍(サンヨン)自動車労組ストライキ現場で民主労働党党役員など民間人を査察したという疑惑を買った経緯がある。

 これと関連してチョン・テクン議員は4月2日記者会見で「李明博政府下での不法査察の本質は‘国政を壟断した特定勢力の権力私有化’であり、これを放置した責任は李明博大統領にある」と主張した。 米国の革命理論家トーマス ペインの著書<常識>のある部分を連想させる。 「政府は最高である場合でも必要悪に過ぎない。 最悪はこらえられない政府だ。 政府によっていじめにあったり苦痛を味わう場合、私たちはいっそ政府のない国がよりマシと考える。 私たちを困らせる手段を我ら自らが作ったと考えれば私たちの不幸はより一層大きくなる。」

チョ・ヘジョン記者 zesty@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/528308.html 訳J.S