本文に移動
全体  > 文化

[論争] 国立中央博物館 晩餐、どう見るべきか?

登録:2012-03-30 07:38

原文入力:2012/03/29 20:58(3563字)

←ファン・ビョンウ韓国文化遺産政策研究所長

 核安保首脳会議に参加した首脳たちの配偶者晩餐会が国立中央博物館で開かれて論難が起きている。 ある歴史学者が 「きちがい沙汰」としてツイッターに文を載せたのが論争に火を点けた。 否定的に見る側は温度・湿度・臭いに敏感な国宝級文化財を保管している博物館で各種飲食を接待するのは道理に合わないと主張する。 だが、文化財保護を前提に、外国首脳が集まる席で韓国の文化を知らせる重要なイベントを開くことを必ずしも悪いとは見られないという声も出てきている。 両者の意見を聴いてみる。

礼儀も格もなかった

 筆者は私たちの文化遺産を収蔵庫や密閉された場所に保存だけでいることを絶対に望まない。 むしろ積極的に活用して我が国の人々だけでなく、全世界の人々が韓国文化の特徴と東北アジア文化の多様性を享有することを願うばかりだ。 ただし文化遺産の活用と享有は万人に平等に提供されなければならない普遍的享有権(文化権)が土台になるべきであり、身分や経済力によって享有権が制限を受けてはならないということだ。 また、文化遺産を公開し享有する場合には原則と格(礼儀)がなければならない。 だが、3月26日の外国首脳配偶者のための晩餐会を国立中央博物館企画展示室で開催したことは文化遺産に対する礼儀もなく国の品格を地面に叩きつけることで、韓国人として顔を上げられないほどの羞恥と恥辱を感じる。

 最初に、大切な文化財が晩餐をする食堂を整えるためのインテリア小道具に転落したということだ。 収蔵庫にあった国宝級陶磁器と絵、木家具をいわゆる特殊な身分を持つ‘彼らだけの晩餐’のムードを盛り上げる用途にしておき、ガラスの展示館内に置いたので安全だと詭弁をならべるのは、あたかも19世紀ヨーロッパで広がった‘サラ バートマン’に対する持てる者の蛮行に他ならない。 サラ バートマンはアフリカ東部で拉致された原住民女性で、ロンドンの真中で半裸で踊り歌うアフリカ稀貴種として展示された。 亡くなった後にはフランス自然博物館で彼女の脳と生殖器を標本処理し永久保管して、全身は蜜蝋模型を作り見せものにした。 サラ バートマンが19世紀に続き2012年3月26日韓国の国立中央博物館企画展示室でも再現されたのだ。

他の空間もあるのにあえて企画展示室の改造まで…
外国の博物館での晩餐行事は運営基金が目的

 第二に、国立博物館には最上ホールや企画展示室の入口に広い前室がある。 いくらでも他に使える空間があるにも関わらず、食後の公演のために天井が低いところを選び、小道具に転落させられた遺物が食卓からすぐに見えるようにするために無理に企画展示室を改造までしたというのは意図的計略というものだ。 これは一般観覧客には飲み物も飲ませないようにしておきながら万人に平等に提供されなければならない文化享有権を拒否し国立中央博物館が未だ前近代的な博物館体系をそのままに踏襲しているということを証明している。

 第三に、国立中央博物館側の苦しい弁明だ。 たとえ上級機関に言われてやったにしても「それはできません!」と勇気を持って応対した学芸士がただの1人もいなかったということなのか? そのような人々に国家の宝物を安心して任せることができるかということだ。 また、外国の博物館数ヶ所を取り上げて彼らは晩餐をしているのに我々はなぜできないのかと言って詭弁を弄するが、外国の場合には、展示室を食堂に改造したりインテリア小道具として遺物を展示したりはしない。 特に晩餐を行う外国の博物館は博物館の運営が厳しくて運営基金を用意する行事であり、必ずしもそのような晩餐が正しいと評価されているわけではない。 我が国の国立中央博物館の運営経費は全額国民の税金で賄われている。 外国の博物館に習うべきことは習わずに、悪いことだけを習う貴族中心の韓国、国立中央博物館側があわれにさえ思える。

 第四に、参与政府時期に景福宮(キョンボックン)・昌慶宮(チャンギョングン)で挙行された行事もほとんどが批判の対象だった。 慶会楼(キョンフェル)世界検事大会 酒宴、昌慶宮の世界鉄鋼協会・新聞協会の晩餐も酒宴と無秩序のために厳しく批判を受けた。王宮を活用して開放することが問題なのではなく、どのように活用するのかが重要だ。

 今回の博物館展示室内での晩餐は室内展示館であるために一層問題が大きく礼儀も格もなかった。

ファン・ビョンウ韓国文化遺産政策研究所長

------------------------------------------------

←イ・ウォンボク国立中央博物館学芸研究室長

世界的博物館も全てしている

 去る26日、国立中央博物館企画展示室では核安保首脳会議に参加した各国首脳の配偶者たちと国際機構首長の配偶者が参加した配偶者晩餐文化行事が開かれた。 世界50余ヶ国の首脳が参加した今回の国際会議は、外国の主要言論に韓国文化を紹介できる重要な機会だったために我が国歴史文化の代表的機関である国立中央博物館が積極的に立ち上がり今回の配偶者行事を行ったのだ。 外国首脳配偶者の影響力を考慮する時、国内最高の文化機関としての主導的な役割が必要だった。

 今回の首脳配偶者晩餐行事は単純に晩餐に留まらず、展示と公演が同時にできるようにして短時間に私たちの文化の優秀性と多様性を効果的に知らせ、次世代の若い演奏者も紹介して未来の人材を育成する複合的な内容で行事を構成した。 また、行事会場内の国立中央博物館の所蔵品は単純な背景や装飾品ではなく、私たちの伝統文化の美しさを見せる役割も果たした。

 一般国民が憂慮するかもしれない遺物の安全については行事会場内に密閉されたショーケースの内部に遺物を安全に展示したし、また行事会場内部の空気も循環させ続け、行事終了後には遺物の燻蒸作業と遺物展示休止期間を置くなど遺物に対する安全管理を徹底させている。 また、国立中央博物館最高の保存科学チームと学芸士が展示遺物を徹底して管理した。

 特に一部では博物館の休憩空間や最上ホールなどを使わずに、何故あえて企画展示室で行事を行ったかという意見があるが、一国を代表する首脳配偶者を相手に品格ある文化外交の一環として推進された今回の国際的特別行事の性格には博物館休憩空間などの施設は相応しくなかった。 一般観覧客が観覧する常設展示館とは別に離れていて、現在特別展示がなく空いた空間として残っている企画展示室を活用して、一般観覧客の常設展示観覧にも全く不便が無いようにした。

所蔵品は装飾品ではなく、伝統文化を見せる役割
空いている展示室を活用しただけで遺物の安全にも異常はない

 全世界の主要博物館は展示の他に公演、晩餐、行事など各種の活動が活発に行われる複合文化空間を指向している。 博物館展示室内部で晩餐を予約できる英国のブリティッシュ博物館や米国メトロポリタン博物館、ナショナルギャラリーなど世界の主要な博物館は博物館遺物と施設などを活用した多様な文化マーケティング活動をしており、博物館を複合文化空間に変貌させようと努力を傾注している。 一部の博物館は運営費充当などを考慮しているが、全体的に観覧客増大など博物館マーケティング次元で活動が成り立っている。 世界首脳の配偶者たちと関連した行事はマーケティング中でも最上のマーケティングと見ることができるので、このような機会は最大限十分に活用する必要があると考える。

 2010年の主要20ヶ国(G20)首脳会議業務晩餐(Working Dinner)と今年度核安保首脳会議首脳配偶者晩餐行事を国立中央博物館で開催して世界の主要国家首脳と配偶者が私たちの文化の美しさにはまり韓国を愛する最高位級韓流愛好家が生まれるようにした。

 博物館首脳配偶者晩餐行事に対する種々の意見が出てきているが、私たちのきらびやかな文化遺産を通じて世界首脳の配偶者が私たちの歴史・文化に対する理解の幅を広げることができた機会として理解して下さるように願う。 今後も私たちの博物館は自主的に保有している多様なコンテンツと施設・情報・人材を最大限に活用して国内外的に世界の文化の流れを主導できる博物館空間になることができるよう最善を尽くしていくだろう。

イ・ウォンボク国立中央博物館学芸研究室長

原文: https://www.hani.co.kr/arti/opinion/argument/525892.html 訳J.S