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"大統領府の指示という事実は口外するな"

登録:2012-03-18 07:09

原文入力:2012/03/17 16:42(4906字)

←民主統合党‘MB政権 不正および不法秘密資金 真相調査特別委’のイ・ジェファ弁護士(左)とパク・ヨンソン議員が3月5日午後、国会で記者懇談会を開き、民間人査察関連証拠隠滅を大統領府が指示したというチャン・ジンス前国務総理室公職倫理支援官室主務官の証言録音収録を説明している。 <ハンギョレ>イ・ジョンウ

[ズームイン] チャン・ジンス前総理室主務官 "チェ・ジョンソク前大統領府行政官が捜査・裁判などすべての状況をコントロールして証拠隠滅と逃避を指示した" 証言

 国務総理室公職倫理支援官室(以下、支援官室)の民間人不法査察関連証拠隠滅をチェ・ジョンソク前大統領府雇用労使秘書官室行政官が指示したという証言(901号 カバーストーリー ‘大統領府が民間人不法査察への介入を釈明する番だ’参照)に続き、今度はチェ前行政官が証拠隠滅にかかわった支援官室職員に検察の捜査を避けるよう指示したという主張が出てきた。

"大統領府指示というファクトは口外するな"

 "チェ行政官が‘検察捜査が始まったので、何日か休暇を取って出かけ避けていなさい’と話した。 当時チン・ギョンナク(前支援官室総括支援)課長はすでに検察の調査を受け始めていた時であった。 私を含め支援官室主務官3人が全員その話を聞いて何日か休暇を取って出かけた。" チャン・ジンス前支援官室主務官が3月6日<ハンギョレ21>との電話通話でこのように明らかにした。 検察がチン前課長を召還したのは2010年7月29日であり、チャン前主務官は8月中旬になってから検察の調査を受け始めた。 チャン前主務官は「私は5日程度休暇を申請したと記憶しているが、その時に検察が出頭を要求した。(避けていろとのチェ前行政官の言葉通り)電話も受けずに休暇に出かけた後に出頭した」と語った。 チャン前主務官の言葉通りならば、チェ前行政官は真実が明るみに出ないように検察の捜査に先立ち対策を用意する時間が必要だったと推定される。 また、証拠隠滅を指示しただけでは足りなくて、実行当事者であるチャン前主務官らを‘逃避’させ、捜査を遅延・妨害しようとしたと見ることができる。

 チェ前行政官はチャン前主務官が検察で事実を打ち明けられないよう、捜査初期から2審裁判が終わる後まで色々な方法で彼を懐柔した。 チャン前主務官は「捜査と裁判を受ける過程ですべての状況をチェ行政官がコントロールした」と話した。 弁護人を選任したのもチェ前行政官だった。チャン前主務官の話はこうだ。 チャン前主務官が捜査を受け始めるとチェ前行政官は弁護士らと共にチャン前主務官に会った。 その席でチェ前行政官は「どのみちコンピュータ ハードディスクを消したのは君がした仕事だから仕方ないが、証拠隠滅を大統領府が指示したというファクトは口外するな。 それを話せば刑量が増えるだけで、君だけが悪×になる」と話した。 彼は「‘上’に全て話しておいたので、裁判所で刑量を下げる。 我々も人脈があるから努力する。 だが、事実を全て話した場合には我々も君を見てあげられない」という話もした。

 裁判の進行過程でもチャン前主務官が口を開かないようにするチェ前行政官の懐柔は続いた。 「私が君を一生養う。 職場を斡旋する事もできるし、私が公務員を辞めた後に公認労務士をすることになれば一緒に仕事をすることもできる」と言ったということだ。 「よく知っている大企業の副社長に話してその会社に入れる」とか「上の方にお願いして年俸の高い政府傘下の協会の働き口を探してみる」という提案もしたという。

もう一つの証拠隠滅指示疑惑も

 チン・ギョンナク前課長は検察の調査に備えた詳細な‘コーチ’としてチェ前行政官を助けた。 先に検察に行ってきたチン前課長はチャン前主務官など支援官室職員3人を車に乗せ、ソウル、通義洞(トンウィドン)派出所裏の路地に移動した。 車を停めたチン前課長が見せたものは自身の検察調書のコピー1部であった。 訊問調書のいくつかの内容を読んで彼は検事の追及を避ける要領を知らせた。「具体的な物証が出てくる前までは無条件に否認しろ。 物証が出てくればその時はよく分からないと言え。」 避ける方法がない時は「誰かの指示を受けたといえば組織的な犯行になる。 裁判所は‘組織的’という単語が入ればより重刑を下すから、刑量を低くするには単独犯行が良い」という話もした。 これと関連してチン前課長は「時間が経てばみな分かること」としつつ「まだ裁判中なのに、確認されていない話が増えることは望ましくない」として電話を切った。

 チャン前主務官はまた別のメガトン級証言もした。 チェ前行政官がキム・某行政安全部主務官にも証拠隠滅を指示したということだ。 キム主務官は慶北(キョンブク)、安東(アンドン)出身で支援官室設置の時から2009年7月まで派遣されたチャン前主務官の前任者だ。 チャン前主務官の主張によれば、チン・ギョンナク前課長は2010年7月3日夜、総括支援課職員に「専門家がきてすることがあるから部屋を空けなさい」と指示した。 事務室から出て行こうとしていたチャン前主務官に電話がかかってきた。 キム主務官からだった。 二人は業務引継のために顔見知りの仲だった。キム主務官は「事務室に行くから待っていてくれ」 と言った。 チン前課長の指示のために出て行かなければならないと言うチャン前主務官に対し彼は「私が行く。他の職員はみな送り出し、君はそのままいるように」と言った。 夜11時を過ぎてキム主務官が事務室に到着した。 彼は持ってきた携帯用USBメモリーをチン前課長のコンピュータ2台に順に挿しプログラムを実行した。何をするのかと尋ねるとキム主務官は「チェ・ジョンソク行政官の要請できた。 以前に消したファイルを復元が難しくなるように確実にセキュリティー措置をするのだ。 これは問題にならない」と言った。チャン前主務官は「正確な名称は分からないが、イレーザー(Eraser)のようなファイル削除プログラムだった」と話した。 こういう‘措置’のためにチャン前主務官は2日後の7月5日朝、支援官室のコンピュータ ファイルを削除する時、チン前課長のコンピュータには手をつけなかった。

 キム主務官がチン課長のコンピュータ ファイルを削除したのは、彼が支援官室を去って1年も過ぎてからだ。チェ前行政官に業務‘指示’を受ける関係ではなかった。 チャン前主務官は「キム主務官が行政安全部に復帰した後、その日以外には支援官室の仕事を手伝ったり、事務室に来たことはなかった」と話した。キム主務官がチェ前行政官から個人的に‘要請’を受けてこういう仕事をしたとすれば、彼はチェ前行政官の深い信任を受けていたためと見ることができる。 チン前課長はチェ前行政官など大統領府と緊密に接触して支援官室の運営を実質的に引き受けた人物だ。 検察捜査が目前に迫った状況で一番最初になくさなければならないことがチン前課長のコンピュータであったわけだ。これと関連してキム主務官は<ハンギョレ21>と交わした電話通話で「それに対しては何も言えないし言う立場んいもない」として「(私も)その件については忘れたい人で、これ以上言うつもりもない」 と返事を拒否した。 駐米韓国大使館で派遣勤務中のチェ前行政官は電話を受けなかった。

パク・ヨンジュン当時総理室国務次長の影

 チャン前主務官の主張には民間人不法査察と証拠隠滅の‘上層部ライン’の存在を察するようにする具体的な内容も出てくる。 総理室所属の支援官室の公式報告ラインは大統領府民政首席室だ。 しかし支援官室の設置・運営を主導したのはパク・ヨンジュン当時総理室国務次長の核心側近であるイ・ヨンホ前大統領府雇用労使秘書官だという疑いが依然消えない。 検察はこれをまともに捜査しなかった。チャン前主務官は「雇用労使(秘書官)がこの組織(支援官室)を動かしていたことは公務員ならば皆が知っている」として「私が支援官室に発令を受けて初めて挨拶しに行った人もイ・ヨンホ秘書官だった」と語った。「支援官室に初日出勤したところ、チン・ギョンナク課長が私を大統領府に連れて行った。 建物の名前がヨミン館(訳注:秘書棟)だったようだが、その建物の3階に行くと廊下を挟んで片側に雇用労使秘書官室、他方に民政1室があった。 チン課長は‘私たちのラインは民政ではなく雇用労使だ。 今後、民政側に対しては秘密を守りなさい’と言った。そう言って雇用労使秘書官室に入ってイ・ヨンホ秘書官に挨拶をさせた後、チェ・ジョンソク行政官を紹介した。」チャン前主務官の証言だ。

 彼が前任者であるキム主務官から初めて引継を受けたのもイ前秘書官のための運転だった。チャン前主務官は「前任者は‘EB’は性格がせっかちなので君は運転を上手くしなければならない。 車が詰まって速く進めなければ怒鳴られる’と伝えた」 として 「イ前秘書官を示す‘EB’という言葉もその時に初めて聞いた」と話した。チン前課長を通じて‘大統領府に何時までに車を回せ’という指示を受ければ、彼は総理室官の用車を運転してイ前秘書官を‘迎え’に行った。 一週間に2~3回は市内のホテルなどイ前秘書官の約束場所や彼の家の前に下ろして帰ってきた。

 このようにイ前秘書官の運転手の役割をしながらチャン前主務官はイ前秘書官がパク・ヨンジュン前次長を‘お兄さん’と呼ぶという事実も知ることになった。 通話も多かった。 イ前秘書官とパク前次長が会った場所であるソウル市内のあるホテルを予約して、政府購買カードで決済をしたこともあった。 民主統合党の‘MB政権不正および不法秘密資金真相調査特別委’がチャン前主務官に会った後に公開した録音収録には「2010年4~5月頃、Bホテル5階会議室を捕えた。 後ほど分かったのだがパク・ヨンジュン次長がイ・ヨンホ秘書官と会合をする席であった。 私が翌日(ホテルに)行って政府購買カードで決済した」という内容が出てくる。

 チャン前主務官の主張どおりならば、イ前秘書官は公式業務とは全く関連がないことに国家財産と人材を私的に使ったわけだ。 しかし前任者と上司、支援官室職員全部が上級部署を雇用労使秘書官室だと考えていたので、チャン前主務官もやはり疑問を抱かなかった。

民主党 "検察 縮小捜査に終始すれば特検"

 チャン前主務官は「雇用労使秘書官室に報告しなければならない業務が書かれた業務分担表もあった」と話した。ある業務は雇用労使秘書官室に丸印がつき、またある業務は民政首席室に丸印、また別の業務は両方に丸印がついた表だという。 チャン前主務官は「‘EBは(支援官室から)身を引きなさい、やめろ。 民政がする’と上から指示があった。 それでチン・ギョンナク課長が業務分担表を作った」と話した。 支援官室の運営実態が明確にあらわれたこの業務分担表を検察は押収捜索の時に持っていかなかった。 チャン前主務官は「押収捜索に誠意がないように見えた」と話した。 検察が初めから‘上層部ライン’を明らかにするつもりがなかったという疑いであるわけだ。

 民主党は「(‘上層部ライン’を明らかにする)決定的証拠が出てきた以上、検察は直ちに再捜査をしなければならない。縮小捜査に終始するなら特検によって解決される問題」と明らかにした。 検察は直ちに再捜査に出るよりは、民主党などに告発してもらうことを待っている。 依然として検察は真実を積極的に明らかにするつもりがないようだ。

チョ・ヘジョン記者 zesty@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/523947.html 訳J.S