原文入力:2012/02/28 21:34(2357字)
1人当り費用 54万ウォン…25~26才までに効果
製薬会社など広報のために高所得層の中年も接種
"30~50代の女性たちには予防効果立証されず
高くて受けられない10代女性に支援対策が必要"
←ある20代の女性が病院を訪れ、子宮頸部癌予防ワクチンの接種を受けている。 最近では富裕層を中心に医学的に効果が証明されていない30~50代女性の間でもこの予防ワクチン接種が流行している。
パク・某(46・ソウル、松坡区(ソンパグ)、蚕室洞(チャムシルトン))氏は最近17才の娘と共に町の小児科医院を訪ねた。 数日前に行ってきた小学校の同窓会で子宮頸部癌予防ワクチン接種を必ず受けておくべきだという話を聞いたためだ。 この日の集いに出てきた女性同窓は15人ほどだったが、この内5人がこのワクチン接種をすでに受けたと言った。 パク氏は以前にも子宮頸部癌予防ワクチンについて聞いたことがあり、娘には必ず受けさせるつもりだったが、自身は受けるつもりがなかった。 このワクチンが結婚する前に接種を受けてこそ効果があるという話を聞いたことがあるためだ。 しかし今回同窓会で会った友人の話を聞いて考えが変わった。
予防接種費用は一人当たり18万ウォンずつ計36万ウォンかかったし、今後2回さらに打たなければならないとのことだった。 計画どおり接種を全て受ければ一人当たり54万ウォンずつ計108万ウォンがかかるわけだ。パク氏は「費用が馬鹿にならないが、40~50代のおばさんにも子宮頸部癌の予防効果があると言われて気休めだとしても接種を受けた」と話した。 共稼ぎのパク氏夫妻の一ヶ月の所得は1500万ウォン程だ。パク氏は「子宮頸部癌予防ワクチンを受けた後にアパートで会った同じ年頃のおばさんたちにこの話をしたところ、相当数がすでに接種を受けたと言ってたよ」として「事実、ほどほどの暮らしをしているなら癌予防にその程度のお金を節約する人がどれほどいるか」と話した。
子宮頸部癌予防接種は政府が認める必須予防接種ではないため、どれくらい多くの人がこの接種を受けたのか、正確な統計はない。しかしパク氏のように30~50代で、子供を持つ女性たちの中で所得水準が高い階層では子宮頸部癌予防ワクチンを接種した人々がかなり多いと推定される。 ソウル、城内洞(ソンネドン)のある小児科医院院長は「このワクチンが出てきた時には主に10代以下の少女が接種を受けた」として「しかし最近では富裕層を中心に30~40代の接種者も増えて、多い時には一日10人程が接種を受ける」と話した。 彼は「接種が増えたのは、この製品を作る製薬会社の宣伝と言論の報道で30~50代女性の間にうわさが広がったためと推測される」と付け加えた。
現在、国内には子宮頸部癌予防ワクチンを二つの製薬会社で供給しているが、このうちのある製薬会社関係者は「2007年に国内に入ってきて以後、約100万~120万人がこの予防接種を受けたと推定される」として「だが、この結果は政府の接種勧告基準である25~26才以下だけを調査したもので、30~50代女性たちも接種を多く受けていると承知している」と明らかにした。
しかし庶民にとってこの予防接種は依然として‘他人事’だ。 8才、12才の娘をもつイ・某(40・ソウル 道峰区)氏は二人の娘に子宮頸部癌予防接種を受けさせなければならないという思いは持っているが、値段がとても高いのが悩みだ。町内の小児科医院に尋ねると長女は接種を受けなければならない適正時期であり、費用は50万ウォン程と言った。夫の月給の4分の1ほどにあたる金額だ。 専業主婦であるイ氏は「夫の月給を受け取り生活費を賄って子供たちの塾費を払えば事実上何も残らない」として「それでも子供たちが将来、子宮頸部癌にかからないのであれば他の費用を減らしてでも受けさせたい」と話した。 イ氏は「40~50代もこのワクチンを打てば効果があるという話を小児科で聞いたが、そっちは夢見ることも出来ない話」と語った。
ビル清掃の仕事をしているパク・某(39・ソウル、麻浦区(マポグ))氏は「12才の娘がいるが、幼い時に保健所で行う予防接種しか受けていないが今まで元気に良く育った」として「今後、暮らしが楽になればともかく、今は50万ウォンもする予防接種を受けさせることは難しい」と話した。
ソ・ギョン延世(ヨンセ)大医大教授は「現在までの研究結果では、30~50代の女性がこのワクチンを接種することは不必要な医療利用と見られる」として「医学的に接種が必要だが費用のせいで受けられない10代女性の接種率を高める対策を用意しなければならない」と指摘した。
キム・ヤンジュン医療専門記者 himtrain@hani.co.kr
※子宮頸部癌=女性の子宮内で膣に連結された頚部に発生する悪性腫瘍で、所得水準の低い国で多く発生する。1990年代まで国内女性癌の中で最も多かったが、2000年代からは大幅に減り最も最近の統計である2009年には3700人余りが新たに診断され7位(全体女性癌の4%)に下がった。
※子宮頸部癌予防ワクチン=子宮頸部癌の主な原因である人体乳頭腫ウィルス(HPV)の感染を予防するワクチンで、国内では2種類が出ている。 推奨される接種年齢は11~12才だが、ワクチンの種類によって25~26才までも効果がある。
原文:
https://www.hani.co.kr/arti/society/health/521229.html 訳J.S