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[時論] 大型マートの営業の自由は神聖不可侵? /キム・ナムグン

登録:2012-02-23 08:44

原文入力:2012/02/22 19:48(1835字)

←キム・ナムグン弁護士 参与連帯副運営委員長

ヨーロッパではすでに半世紀前から行ってきた規制を
わが国では今になって部分的に始めているだけだ

 大型マートと企業型スーパーマーケット(SSM)に対し日曜日などに義務休業日を指定できるようにした流通産業発展法改定内容が違憲論争で熱い。 餅屋、パン屋、食材料納品など中小商人の生存基盤を片っ端から奪っている財閥に対する非難世論が強いが、事業を撤収するどころか憲法訴訟まで持ち出すとは厚顔無恥だという激しい反応も出ている。 大型マートの開店を出来ないようにすることでもなく、日曜日・公休日の営業を全部制限することでもないのに、中小商人に一ヶ月に1,2回程度の義務休業も譲歩できないのかということが国民大多数の情緒だ。 これに対し大型マートは営業の自由は資本主義社会の根幹をなす核心的な権利であり、それを制限することは憲法の自由、経済原理の根幹を揺るがすことだと主張する。 憲法裁判所は営業の自由を職業選択の自由の一種である職業実行の自由と見て、段階理論により職業選択の自由よりさらに広範囲な制限が可能だと見ている。 大型マートや企業型スーパーマーケットの営業自体を出来ないようにすることより、営業時間や休業日数を制限することはさらに広範囲に許されるということであり国民の法感情とも一致している。

 一部の保守的な人々はわが国の憲法の経済原理は当然に自由市場経済原理でなければとし、財産権や営業の自由は神聖不可侵と考えなければならないという願い(?)を公認された憲法原理であるかのように主張しているが、必ずしもそうではない。 憲法裁判所は憲法の経済原理を自由市場経済を土台にしながらも、国家が中小企業保護、経済主体間の調和を通した経済民主化、適正な所得分配などの公益を実現する義務を持つ‘社会的市場経済’と言っている。 大型マートの職業選択の自由それ自体も神聖不可侵なことではなく、憲法第123条の中小企業(商人)保護や経済民主化など公益的目的の実現のためには制限されることがありうる。 世界的にわが国の憲法裁判所だけが進歩的だと考えるなら大きな誤算だ。 わが国の憲法裁判所の法理は事実ドイツ連邦憲法裁判所などが早くから明らかにしてきた憲法原理だ。

 事実、ヨーロッパやオーストラリアなどの国家を旅行してみれば日曜日に商店が店を閉めていることを簡単に見ることができる。ドイツは1956年から商店閉店法で日曜日の営業を制限しており、フランスも原則的に日曜日の営業を制限するものの、食品流通売り場だけは午前まで営業できるようにする代わりに平日勤務の2倍の賃金を支払うように定めている。 英国は日曜日の営業を禁止するものの、地方自治体の許可を受ければ6時間の範囲内だけで営業を可能にしている。ヨーロッパではすでに半世紀前から行ってきた規制を中小商人保護のために私たちはいまやっと始めているということだ。それも部分的にのみ。世界各国は大型マートの営業制限にさらに積極的だ。ウォールマートがまだニューヨーク市内に進出できずにいて、少し前にシカゴに進出したことは良く知られている。 ドイツは住居・工業地域などには大型マートを開くことはできず、地域の規制を通過しても周辺商人の売上に10%以上の影響を及ぼせば開店が制限される。 ドイツの大型流通業者メトロがハンブルグの中心街に進出しようとしたが、周辺商人の売上に20%の影響を与えるという影響評価により開店計画が白紙化された。 フランスの‘ロワイエ法’も大型マート進出の際に交通・環境・商品積載などの影響評価を受けるようにしているので大型マートがパリの中心街に開店することはできない。

 大型マートが憲法訴訟を提起することは憲法上の基本権である裁判請求権を行使することであるからそれ自体は非難できないが、それを口実に地方自治体が法により委任された日曜日義務休業日指定の動きを止めてはならない。 特にソウル市でも議員発議されただけに中小商人保護のための大型マート営業制限条例を至急処理しなければならない。

キム・ナムグン弁護士 参与連帯副運営委員長

原文: https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/520344.html 訳J.S