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キム・チュンスの‘マイウェイ’…韓銀‘大統領府出張所’になるのか

登録:2012-02-20 07:33

原文入力:2012/02/19 21:50(2927字)

←キム・チュンス韓国銀行総裁が昨年開かれた金融通貨委員会定例会議の後、記者会見を行うため記者室に入っている。 キム・テヒョン記者 xogud555@hani.co.kr

物価よりマクロ安定重視…MBとコード合わせ 陰口も
副総裁の外部抜てき推進など人事を巡り内部でもグツグツ

 来る4月で就任2周年をむかえるキム・チュンス韓国銀行総裁が、この間内部構成員の間に重々積み上げられてきた不信の壁にぶつかった。 キム総裁は就任した後‘灯りが消えない韓銀’を作るとして、世界各国に事務所を新設するなど韓銀のグローバル化を試みてきた。 また、純血主義と年功序列が強い韓銀内部の組織改編のために職群制廃止・抜てき人事など多様な実験を試みた。 去る14日には韓銀史上初めて東南アジア中央銀行機構(SEACEN)センター所長(リュ・フギュ前金融安定分析局長)を輩出する結実をおさめもした。

 このような成果にもかかわらず、韓銀内部では不満の声が広がっている。 表面的には人事問題のためだ。 副総裁職にキム総裁の実家格である韓国開発研究院(KDI)出身人士を迎え入れるといううわさが出回った上に、その下職級である副総裁補候補群でも破格的な下馬評が出回っている。 調査局、政策企画局、金融市場局など韓銀の核心職務局長が全員排除されている。

 この部署は物価をはじめ経済懸案に対する現況を把握し金利と通貨政策を調整する韓銀の核心部署だ。 この部署の幹部が副総裁はもちろん副総裁補昇進候補の下馬評にさえ上がれずにいる現実に内部構成員は衝撃を受けている。 一段階下の人事である局・室長級人事でもやはり同様な流れが伺える。 そのために今回の人事が単純な幹部人事に絡んだ論議ではなく、韓銀の流れを変えようとする試みを巡る破裂音という解釈も出ている。

 この間の発言を見れば、キム総裁は中央銀行の責務である‘物価安定’より‘マクロ安定’を重視してきた。 ある中間幹部は「既存の総裁は物価成長率と実質経済成長率を比較し適正金利を決める、いわゆる‘テーラーの準則’に従ってきたが、キム総裁はちょっと違う」と評価した。金利がマクロ経済安定課題と衝突する場合、譲歩することがありうると判断するということだ。 実際、昨年初めから物価が高空行進を継続しているにも関わらず韓銀は昨年1月、3月、6月にそれぞれ0.25%を上げた以後、8ヶ月間にわたり3.25%である基準金利を上げられなかった。 キム総裁が政府の成長政策を意識しているという批判が出てきた。

 キム総裁のこのような動きは就任当初からある程度予想されていた。 既存韓銀総裁らと異なり、大統領府に対する‘忠誠の誓い’で任命初期から陰口が聞かれたためだ。 2010年3月、韓銀総裁に指名された直後に彼は記者たちと会って「物価と成長の間で最終選択は大統領がすることで、大統領から独立するということは正しくない」と話した。 キム総裁は大統領府などに経済懸案を報告する‘VIPブリーフ’を作るかと思えば、韓銀副総裁と企画財政部次官とが各種経済懸案を議論するマクロ政策協議会を昨年7月から毎月開いている。 このような韓銀に金融通貨委員は6人で充分だと考えたのか、大統領府は2010年4月から空席である金融通貨委員一人をいまだに任命せずにいる。金融通貨委議長であるキム総裁は、大統領府が処理することだという立場だ。 以前の韓銀が‘財務部南大門(ナムデムン)出張所’という嘲弄を聞いたとすれば、今は‘大統領府南大門(ナムデムン)出張所’という皮肉まで出ている所以だ。

 ある幹部は 「グローバル危機の時、韓銀の役割が不十分だったという点は否認しない」としつつも「その後に韓銀に来たとはいえキム総裁がこの程度だとは思わなかった」と話した。 また別の幹部は「核心業務で黙々と仕事をしてきた人々の代わりに、側近要人を重用し独立性を重視する韓銀の魂まで折ってしまうならばキム総裁の任期以後にも韓銀はずっと動揺させられる組織として残るだろう」と憂慮した。 キム・ホンボム慶尚(キョンサン)大教授(経済学)は「キム総裁が政府の短期的な見解に歩調をそろえるために金融通貨委や韓銀高位執行部を無原則に構成しようとする試みと見える」と診断した。 クォン・ウンジュン記者 details@hani.co.kr

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キム総裁は出張中

690日の内164日は国外に…金融通貨委会議の延期も
“国内市場無関心”“交流活発”評価交錯

 キム・チュンス韓国銀行総裁が2010年4月の就任以後、いつも強調してきたことの一つが世界化だ。金融危機が一つの国の力だけでは克服できないほど国際的であるのに加え、いつでも起きうるだけに国際共助が必須という趣旨からだ。 昨年の新年辞では‘グローバル BOK(BOK・韓国銀行の英語略字)’を主張することもした。

 世界化を強調する人物らしくキム総裁の国外出張は歴代のどの総裁より多い。 内部ではキム総裁の出張日数が歴代総裁数人分の出張日数を合わせたものより多いという話があるほどだ。

 19日、韓国銀行が国会企画財政委員会に提出した‘キム・チュンス総裁の海外出張目録’を見れば、キム総裁はこの日現在までに計34回の国外出張に行ったと集計された。出張日数だけ合わせれば何と164日に達した。

 キム総裁の就任日は2010年4月1日で、19日現在の在任日数は690日だ。 休日を含めても在任期間の23.8%を国外出張に使った。このように頻繁な出張のために2010年7月には金融通貨委員会会議が1週間延期になる事態が起きもした。

 出先はスイスが10回で最も多かった。 スイスに本部を置く国際決済銀行(BIS)関連年例会のためだ。 二番目が米国(6回)で主要20ヶ国(G20)財務長官・中央銀行総裁会議などに参加した。スイス以外のヨーロッパ地域と日本(それぞれ4回)が後に続いた。 来る23日にもキム総裁は主要20ヶ国財務長官・中央銀行総裁会議でメキシコを5泊6日の日程で訪問する予定だ。

 頻繁な国外出張について内部では賛否が交錯している。既存総裁らと異なり英語に堪能で積極的であるためベン・バーナンキ米連邦準備制度理事会議長やマリオ トゥラギ ヨーロッパ中央銀行総裁など主な中央銀行長らと円滑に意見を交流できるという肯定的な評価の一方で、本来取りまとめなければならない国内金融市場の流れには特別な関心を持っていないという批判を合わせ受けている。 韓銀側は「主要20ヶ国議長国であったし2009年金融安定規制を総括する国際機構である金融安定委員会(FSB)に加入したことにより国外出張が増えた」と説明した。

クォン・ウンジュン記者

原文: https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/519796.html 訳J.S