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風の通り道・風車・小川…賃貸住宅の再発見

登録:2012-02-13 08:26

原文入力:2012/02/12 20:20(1850字)

←1997年に再開発された日本、東京、世田谷区の深沢賃貸住宅は住民と区庁の2年3ヶ月にわたる協議の末に高齢者と障害者に配慮して環境と共生する住宅団地として新たに出発した。10日昼に訪ねた深沢共生賃貸住宅団地の様子  ソウル市提供

‘ニュータウン反面教師’東京深沢団地に行ってみた
風力発電で街灯を点け、清掃・トイレは雨水リサイクル
開発前に2年を超えて意見調整…自然親和・住民共生の魂を込めて

静かな住宅街にひょっこり風車が空に聳えている。 住宅団地の中に入ってみると小川の流れる音が聞こえてくる。 地下水を引き上げた小川が団地の中心に向かって流れていた。風車は装飾用ではなく団地内の小川を循環させる電力を生産する風力発電機の役割をしている。

 建物の廊下の壁には大きな穴があけられていて風が循環できるようにした。風の通り道を考慮した団地配置で、冬には冷たい風を防ぎ、夏には涼しい風が通るようになっている。

 水と風と日光がたえず流れる所、去る10日に訪ねた東京、世田谷区、深沢環境共生賃貸住宅団地の風景だ。 環境共生住宅というのは周辺環境との調和を考え、人が元気で快適に暮らせるように考案した住宅だ。

 東京都世田谷区の深澤賃貸住宅は日本の代表的親環境住居団地だ。 1952年、東京都が都営賃貸住宅として建設した35世帯の木造住宅を1997年に世田谷区が70世帯の親環境住宅として再生した。‘元気で快適な居住空間、住民たちが交流する居住空間を居住者自ら実現する’という目標を持って作った賃貸住宅団地は塀をなくし、居住者だけでなく近隣地域住民にも安らかな憩いの場として位置づけられている。‘賃貸住宅’といえば思い浮かぶ否定的イメージを脱し、反対に地域住民が歓迎する住居団地として再出発したのだ。

 こちらは各建物の屋上と壁面の一部に植物を植え、外部断熱効果を出し冷暖房費用を減らした。屋根などあちこちに設置した太陽光発電パネルと2基の風力発電機は団地内の12本の街灯を点ける電力を供給している。 開発される前の木造住宅を分解して残った木資材も花壇を作るために再使用した。 資源リサイクル努力と同時に前に暮らした人々の大切な思い出を残すという意味がある。

 住民たちは雨水リサイクルにも積極的だ。 各家庭に設置した100リットル容量の雨水受けタンクに集まった雨水は、花壇に水をやり、清掃するために使われている。団地内の透水層から入り込んだ雨水は貯留槽にためてトイレ用水としてリサイクルする。

 開発過程では既存居住者の意見を積極的に反映した。 7400㎡の敷地に作った3~5階建ての建物5棟には17世帯の老人住宅と3世帯の障害者住宅を作り、老人と障害者が生活する上で不便がないよう敷居をなくし家のあちこちにてすりを設置した。 居住者の中には障害者家庭がなかったが、わざと‘共生’の意味をこめて障害者に配慮した専用住居空間も作った。

 開発前からこちらで60年余り暮らしてきたタグチ コハチ(87)氏は「昔からの住民19世帯と区庁が2年3ヶ月かけてお互いの主張を調整した」として「その結果ほとんどが高齢者である住民たちが希望した敷居をなくすこと、手すり作りなどの要求がとても多く反映された」と自慢した。

 去る8日から始めた2泊3日の日本出張の最後の日程で、この日団地を見てまわったパク・ウォンスン ソウル市長は 「任期が終わる2014年までに賃貸住宅8万戸を作ると公約したが、世田谷区の賃貸住宅は住宅がどのように住民たちと共生し自然と共に生きていくことができるかを見せている」と話した。彼は「日本の賃貸住宅作りの過程を見れば、長い時間をかけて住民と官庁が相談し合理的結論に至っている」として「ニュータウンは(一方的に)追い込んだために今のような状況が起きた」と指摘した。

 ソウル市は環境を保護してエネルギーを節約する深沢賃貸住宅団地の構造をソウル、江西区(カンソグ)、麻谷(マゴク)地区賃貸住宅に導入し、既存住民を配慮した事業推進過程を公共賃貸住宅だけでなく民間住宅再開発事業にも適用する計画だ。

東京/オム・ジウォン記者 umkija@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/518646.html 訳J.S