原文入力:2012/02/05 22:52(2703字)
←<文化放送>(MBC)キム・ジェチョル社長退陣と公正報道を要求してストライキをしているこの放送の報道局記者たちが去る3日、ソウル、中区(チュング)明洞(ミョンドン)芸術劇場前でストライキ プログラムの一つとして開かれた‘フリーハグ’行事で "MBCを守って下さい" という字句が書かれた立て札を持って立っている。 文化放送労組提供
‘私はなぜストライキに参加したか’ MBC記者の手紙
"上層部の意図どおりに合わされた記事
何度も抗議したが黙殺され
これ以上退く余地がありません
<文化放送>(MBC)労組がキム・ジェチョル社長退陣のためのストライキに入って5日で1週間目をむかえた。報道局記者たちが公正報道を要求して製作拒否に入ってからは12日目だ。使用側はストライキ代替人材採用を公告するなど強硬方針で対抗している。 ストライキ解決の兆しが見られない中で、文化放送のある若い記者がなぜ製作拒否に出ざるを得なかったかを視聴者に告白する手紙を<ハンギョレ>に送ってきた。 人事上の不利益に遭いかねないため、匿名で手紙を掲載する。
失望したり、あるいは待っていらっしゃるあなたに
あまりに遅すぎたでしょうか? ‘あなた’という気立ての優しい名前で国民の皆様に手紙を書くには、現在のMBCはすでに多くのものを失ったかもしれません。 期待から失望へ、失望から怒りへ。 崩れたMBCを眺めるあなたの視線がいつのまにか本当に大きく変わったということを、私どもも骨身に凍みるほど感じているからです。
ニュース製作を拒否して12日、全面ストライキに突入して1週間が過ぎました。 今まで何をしていて、今頃になって立ち上がったという叱責を一番多くいただきました。初めはくやしかったんです。李明博政府の下の去る4年間、今回が5回目のストライキですから。 自ら力を尽くして戦ったし、最期は毎度無惨につぶされました。 解雇と懲戒を受けた先輩たちもいて、強硬分子という烙印が捺され、今も閑職を飛び交う同僚がいます。 数ヵ月分の月給より、懲戒の威嚇より、放送が壊れることを放っておくことができなくて悔しさを飲み込んで現業に復帰したが、その度に放送は更に深刻に壊れて行きました。 ‘電撃的人事措置’がいつもなされて、「誰それは強硬派だから敏感な席に置くことはできない」という言葉が当たり前のように流れてきました。
記者が書いた記事原本と部長の手を経た修正本をそれぞれ保存するのは放送ニュース デスキング手続きの基本なのに、‘わずらわしい’という釈然としない理由で政治部と経済部記事では一線記者の意図が込められた原本を別途残さなくなりました。 誰がどんな意図で記事を直したのか掘り出してみることができなくなったという意味です。 視聴率が上がるという理由でいわゆる‘生活密着型’アイテムを絶えず要求し、朝中東が書いた記事を書き写せとの取材指示が下される中で、MBCニュースの中から批判的な深層企画と発掘記事は自然に減りました。 毎日毎日指示を受けて記事を‘印刷する’ことより更に恐ろしいことは、記者たちがどんな方法で取材をしてこようが結局結果は上層部の意図どおりに合わされるということでした。 記事の末尾の "MBCニュース 誰それです" という一文をいっそのこと抜いてしまいたいことも少なくありませんでした。
一線取材記者が最初から最後まで思いのままに記事を書かなければならないという意味ではありません。 それのやはり無謀で危険なことですから。(いつだったかもはっきりしないほど遥か昔の)MBCのいわゆる‘良かった時期’にも取材記者とデスクが記事をめぐり衝突することは茶飯事だったでしょう。 しかし、この頃起きていることは互いに突き上がる‘衝突’ではなく、一方的に打ち下ろす‘追突’に近いものです。 昨年6月、半額授業料を叫ぶ学生たちの間に、昨年12月あなたが水大砲に撃たれながら戦われた韓-米自由貿易協定(FTA)反対集会の現場に、私どももいました。
"集会記事は差し戻し…MB内谷洞(ネゴクトン)私邸疑惑は釈明を中心に"
"MBCニュース 誰それです" 抜いてしまいたい時も多かった
今回は最後まで戦います
だが、取材を終えて戻って来ても‘他の記事が多くて入る場所がない’、‘昨日と大きく変わったことがないじゃないか’として記事が差し戻されたり、<ニュースデスク>から朝のニュースに押し出されます。 昨年10月李明博大統領内谷洞(ネゴクトン)私邸疑惑のように、到底投げ出すことのできない大きな論難は‘コンパクトに’大統領府と与党の釈明を中心に整理されました。
報道局内部で数えきれない程、問題を提起し抗議しましたが、一線の記者が編集と記事配置に関与する資格はないとし黙殺されました。そして放送されない記事を書くために現場に出て行った私たちには、あなたの鋭い批判が雷のように浴びせられました。“どうせ放送しないんじゃないのか”というあなたの言葉に何も言うことができませんでした。
組織内部の努力が徹底して崩れてしまってから、私どもは再び放送をあきらめ街頭に出てきました。 遅くなって申し訳ありません。 キム・ジェチョル社長をはじめとする使用側は今でも“不法ストライキ”としながら私どもを圧迫しています。 どんな方式であれ報復は避けられないことも覚悟しています。
“私たちは視聴者と恋をしている。”初めて入社した時に聞いたある先輩の話を覚えています。 MBCは受信料を受け取らない公営放送なので、視聴者との関係も全面的に信頼と愛情を基に結ばれているという意味です。どれほど強固で誇らしかったのか分かりません。 でも、その言葉が国民の信頼と愛情を失った時、MBCは存在理由を失うという意味を同時に抱いていたということを今こそ切々と悟りました。それで今この文は私どもに失望して背を向けたあなたにひざまずき、許しを乞う煩わしいラブレターにならざるをえません。
今回だけは最後まで戦います。最も大切な価値であるあなたの愛を失ってしまった今、私どもにはこれ以上失うものも、これ以上退く余地もないからです。見守って下さい。 MBCが本来の場所に帰るための闘争の証人になって下さい。伏してお願いします。
原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/media/517553.html 訳J.S