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村がヒキガエルを生かし、ヒキガエルが村を生かした

登録:2012-01-21 09:16

原文入力:2012/01/20 20:59(2989字)
イ・スボム記者

[共に作る村共同体] 清州(チョンジュ)元興(ウォヌン)が‘ヒキガエルの村

←忠北、清州市、山南ヒキガエル生態村の自慢であるヒキガエル生態公園。この村に生態を見るために毎年探訪客3万人余りが訪れる(左側)山南ヒキガエル生態の村のあるアパートの壁に描かれたヒキガエルの絵。この村はすべてがヒキガエルの天地だ(右側上)。ヒキガエルの村の住民たちが村の畑で刈り取った稲をはたいている(右側中)。ヒキガエルの村住民たちの疎通メディアである<山南ヒキガエルの村新聞>(右側下) ヒキガエルの友人 提供

 私たちがあわただしく暮らす間に失った‘村’がよみがえっている。 通りと建物の集団を越えて、昔のように教育・環境・文化・福祉などを共有し疎通する共同体として注目をあびているのだ。 巨大都市ソウルから辺境の海辺の小さな漁村に至るまで、全国各地で村をよみがえらせようとする努力が活発だ。 このような試みが成功している所もあるが、生半可な推進のために試行錯誤を体験する所もある。 今日の村作りの努力を調べながら明日の村の姿を推測してみる。

 都心の真ん中に部屋の中でヒキガエルの鳴き声を聞きながら眠りにつくアパートの村がある。

 忠北(チュンブク)、清州(チョンジュ)の新しい住居地に成長した山南3地区だ。 2003年から本格的に開発されたこちらは今アパート団地8ヶ所5540世帯と一戸建て住宅562世帯が入居し、住民2万人余りが暮らしている。 外見だけ見れば通常の都心と違わない。 つんつんと聳え立つアパートのコンクリート建物、きらびやかな密集商店街、無表情な裁判所・検察庁舎と学校に至るまでかたい都市の村の風景だ。 こちらに生態を見るために毎年国内外から3万人余りが訪れる村だとは信じられない。

2003年ヒキガエルの棲息が知られてから住民たちが開発に対抗して保存湿地・生態通路などを作ると貴重動植物がますます増えた

 ヒキガエル路1道という表示板の案内に沿って村に入ると、そこはまさにヒキガエルの天地だ。 アパートの壁面にヒキガエルの群れが這い上がっている。 ヒキガエル食堂、ヒキガエル宝くじ売り場、ヒキガエル ビル、ヒキガエル マート、ヒキガエル図書館…。 すべてがヒキガエルの世の中だ。 明るい住民たちの表情にも大きなヒキガエルの目が伺われる。 人とヒキガエルが一緒に暮らす生態の村らしい。

 山南ヒキガエル生態の村住民協議会のパク・ワンヒ(40)事務局長と一緒に村を歩いた。 行く先々で住民たちと挨拶を交わす。 「いつ出馬しますか?」と言ったところ「私たちの村はもともとそうなんです。他のアパート村とは違って、知らぬ顔をして通り過ぎればすぐに言われます」として、パク事務局長は笑った。 昔の‘マシル(村に遊びに行くこと)’の思い出がよみがえる。

 住民たちは2007年初めに入居してからヒキガエル生態の村つくりを一緒にしている。 ‘都市の真中でどうして生態?’首をかしげる向きもあるが歴史とわけがある。 2003年3月、清州(チョンジュ)生え抜きの環境団体である‘生態教育研究所’が山南3宅地開発地区の中心部にある元興堤とこちらのヒキガエル集団棲息を知らせた後に市民運動が始まった。

 環境団体と住民組織など40ヶ所余りが‘元興ヒキガエルの村生態文化保全市民対策委員会’を設け、市民5万人余りはヒキガエル棲息地保存要求署名をした。 しかし事業主体である韓国土地公社は一顧だにせず工事を強行した。 市民は人間の帯、清州市内三歩一拝、大統領府前三千拝など体でヒキガエル棲息地のき損を防いだ。 2004年11月、土地公社と環境団体はヒキガエル生態移動通路の確保と生態公園造成等を含む共生合意に至った。 合意により代替湿地(4ヶ所),生態通路(4ヶ所),生態橋梁(3ヶ所)等ができ、元興堤と近隣の九龍山(クリョンサン)をつなぐ生態系も共に生き返った。 今はハヤブサ・オシドリなどの天然記念物とカルガモ・カイツブリなどの鳥類20種余りが訪れる。 北方産カエルなど両生類とタヌキ・ヘビ・ジモグリなどの爬虫類も現れている。

ソン・ヒョンジュン(49)山南アパート協議会長は「全国どの都市へ行っても私たちのように多くの動植物と共に暮らしている所はないだろう」とし「住民自ら生態の村つくりと維持に腕まくりして参加しているため」と説明した。

‘ヒキガエル新聞’作り疎通
市場を開いて農産物を育て
"共に汗を流すと情も芽生える"

 乱開発を阻み、ヒキガエルと生態を得た環境団体と住民たちはこれからも‘ヒキガエルが生きてこそ人が生きる’という同じ意の下に開発と保存という二つの均衡を賢く維持している。村は環境部選定‘自然生態復元優秀村’、国土海洋部指定‘暮らしたい都市’だ。

 元興堤周辺のアパート8ヶ所と住民たちが設けた‘山南ヒキガエル生態の村住民協議会’が生態の村作りの中心だ。 住民協議会には商人連合会、洞長(町長)連合会、婦女会などが皆参加している。 生態公園を維持・管理する環境会‘ヒキガエルの友人’も一つの軸を受け持っていて、清州市もヒキガエルの友人に生態公園の運営を任せるなど力を添える。 住民協議会とヒキガエルの友人、二本の軸は祭りと自然循環市場を運営するなど住民たちを一つにまとめる。 これらは韓国ナショナルトラストなどと共に行った‘ヒキガエル棲息地一坪買い取り’運動でヒキガエル核心棲息地1009㎡を買い入れ、親環境農産物栽培支援団体‘土の暮らし’の助けで親環境菜園に変えた。 ムン・ヒョンス婦女会長は「都市で住民たちが力を集めて共に土地を買い、農作業体験をしながら交わる村は私たちの村しかないだろう」とし「共に相談して、共に汗を流せば情もわかざるをえない」と自慢した。

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 協議会が創刊した<山南ヒキガエルの村新聞>は村作りメディアの役割をする。月に2回6000部ずつ、村の主な情報を加減なく盛り込み住民たちに伝える。 ほとんどすべての世帯と商店街などが受けとり読んでいる。子供記者学校を運営するなど生態教育の役割も果たす。 チョ・ヒョングク(45)住民協議会長は「新聞は協議会などの政策を住民たちに伝達し、住民たちの意をそのまま紙面に反映する疎通メディアとして村の誇りであり村を支える力」としつつ「朝中東など既存言論より影響力が飛びぬけて大きい」と話した。

 村は休まない。 農産物都農直取引、共同育児、村指定市場運営、村周回道造成などを推進している。 ファン・ヒヨン(61)忠北大教授(都市工学)は「環境保存運動から出発して協議会、新聞等を通して住民運動に昇華させ、市民団体・自治団体などの側面支援も円滑になされている成功した都市作りの手本」として「ヒキガエル生態の村は今より今後がはるかに期待される場所」と話した。 清州/オ・ユンジュ記者 sting@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/area/515740.html 訳J.S