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ノ・ジンファン前ソウル新聞社長が明らかにしたMB政権の‘言論 間引き’

登録:2012-01-18 08:14

原文入力:2012/01/17 21:53(2650字)

"シン・ジェミン辞退 脅迫 数ヶ月後…検察が捜査"
‘MB側近’からの電話 "恥をかきたくなければ…"

←ノ・ジンファン前ソウル新聞社長

シン前次官の電話
"自ら退いた方が良いだろう、数日後 何かが起きる事を覚悟しておけ"

‘見えざる手’チェ・シジュン
ハンナラ党議員 食事の席で "チェ顧問が良く言いませんでした"

そして始まった検察捜査
スポーツソウル21売却など関連公示義務違反容疑で起訴

1・2審に続き最高裁も無罪
実際担当検事は栄転したよ ‘お兄さんへの手紙’私の救命運動とは無関係

 2008年3月6日朝8時25分、ノ・ジンファン(66)当時ソウル新聞社長の携帯電話に電話がかかってきた。

"シン・ジェミンです。"   "オー、次官就任 おめでとう!"   "はい、社長!"
"いや、先輩だから先輩だろう、何が社長なの?"  "主務部署次官として電話することなのでそうです。"   "そう?"   "社長、もう去就を決めて下さいますね。"  "何? 何の話なの?"   "恥をかかれるより自主辞退で止めるほうが良くないでしょうか?"   "私は社長推薦委で選任されて株主総会を経て、任期が来年6月末までだ。 新政府の意向だって? お前たちはクーデター軍なのか? 占領軍なのか? 腕章を巻いたか?"   "もう一度申し上げますが、自ら辞退されるのが良いでしょう。"

 15日<ハンギョレ>記者と会ったノ前社長は<韓国日報>で永く後輩記者として一緒に仕事をしたシン・ジェミン当時文化体育観光部2次官の電話を受け、しばらく興奮が静まらなかったと述懐した。 「それは明白な脅迫でした。」

 数日後の3月9日夜9時7分、再びシン次官が電話をかけてきた。鋭い言い争いの後、シン次官は「数日後に何かが起きるということは知っておいて下さい。それを知らせるために電話したのです」と話した。

 ノ前社長はこの話を‘踏みとどまればケガをする’という警告として受け止めた。 実際、その後しばらくして国税庁が自身に対して関心を示したという便りが伝えられた。 「2007年にソウル新聞が保有していたスポーツソウル21の株式を買収した人が大統領府下命事件を担当したソウル地方国税庁調査4局で他の事件で調査を受けたが、その場で国税庁職員が‘ノ・ジンファンに関連してしたことだけをしゃべれ’と言ったということです。" 検察もその頃、スポーツソウル21の株式と経営権譲渡経緯を調査中だという便りが聞こえてきた。

 記者出身で与党内に知り合いが多かったノ前社長も経緯把握に乗り出した。「検察が私を引っ掛けようとしているという話を聞いて(検察出身である)パク・ヒテ前議員(現国会議長)等に話し調べてみました。 すると検察首脳部も私の事件について‘それは話にならないことではないか’として防いだということでした。」 実際、当時検察ではノ前社長問題を巡り反転が度重なったという。 ノ前社長に対する本格捜査方針が決まる時も‘しないことにした事件ではないか’という制動があったが、捜査チームが‘あちらでやれというからやる’という姿勢を守ったと伝えられた。 ‘あちら’とは大統領府民政首席秘書官室などを指したと見られる。

 ノ前社長は6月末ぐらいに起訴方針が決まったようだと話した。「大統領府に知っている人がいたが、その頃‘検察の報告では社長が証券取引法上の公示義務違反に該当すると言うので、備えておかれた方が良いです’と知らせたのです。 首席秘書官会議でも当時民政首席が起訴方針を報告したんだそうです。」

 彼は 「そんなことの背後には政権次元の‘大きな絵’があったのだろう」と話した。 彼はその年の6月30日、ソウル、麻浦(マポ)のあるホテルの日本料理店で高麗(コリョ)大の後輩であるハンナラ党のある議員から「チェ・シジュン顧問(現放送通信委員長)に一度会ってみて下さい。 その方がノ先輩を良く言いませんでした」という話を聞いたと伝えた。 しかし17日、この議員はノ前社長に会った事実すらも否認した。

 ノ前社長は「チェ委員長が退任圧迫に関与したかを示す明白な証拠はない」と話した。 ただしこの議員の話と当時の状況などを総合すれば、政府の言論問題を事実上総括したというチェ委員長が直間接に関連したと見ざるを得ないというのが彼の考えだ。

 ノ前社長はその年の10月22日、ソウル中央地検金融租税調査2部(部長 ウ・ビョンウ)により証券取引法違反容疑で不拘束起訴された。 2007年5月ソウル新聞が保有したスポーツソウル21の株式と経営権を譲渡する契約を公示しながら重要な‘付属合意書2’を抜いて提出したことが公示義務違反だというものだった。 だが、彼は1審で無罪を宣告され、昨年7月には最高裁で無罪が確定した。 「3年近くいじめにあって無罪を受けたが、担当検事は栄転したのです。」

 ノ前社長は自身が盧武鉉前大統領の時に任命されたりしたが、李明博大統領とは大学の先後輩の間柄で遠くないと話した。「李大統領の就任前に30分程度単独面談したこともあります。高麗大出身をあまり多く使うなと話し、シン・ジェミンについても周辺で使えと薦めましたよ。」

 2008年10月には大統領の実兄であるイ・サンドク議員に送ったという‘お兄さんへの手紙’が公開され、辞退しろとの荒々しい批判も受けた。 彼は「その手紙はソウル新聞に対する政府の増資を支援してほしいとお願いするために‘イ・サンドク擁護論’という題名のソウル新聞3月1日付コラムと共にその日ファクシミリで送ったもの」とし「救命運動とは関係ない」と主張した。

 そのように与党とも近かった自身でさえ検察・国税庁・文化体育観光部が総動員した‘言論間引き’は避けられなかった。 彼にとってはチョン・ヨンジュ前韓国放送社長とハン・ミョンスク前総理の無罪宣告で新たによみがえった悪夢だ。

文 ヨ・ヒョンホ先任記者 yeopo@hani.co.kr
写真キム・ポンギュ記者 bong9@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/515139.html 訳J.S