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リツィットで拘束…国家に殴られた‘患者’パク・ジョングン

登録:2012-01-14 07:17

原文入力:2012/01/13 17:19(3947字)
パク・スジン記者

←パク・ジョングン氏ツイッター.

風刺リツィット102件と作成ツィット103件で拘束されたパク氏に会う
"先軍政治に否定的見解、見れば冗談だということが分かるのに…抜粋して誤解"
弁護士 "なぜツィットをしたかに答える状況自体が表現の自由侵害"
一連の捜査ですでに大きな傷…精神と "急性ストレス性障害" 診断
"私もどうしたらいいのか分からない。拘束されるとは本当に分からなかった…"

 去る12日午後2時。水原(スウォン)南部警察署留置場面会室のガラスドアの向こう側でパク・ジョングン(24)氏が両親に会った。 低い声で口を開くパク氏の顔は土気色だった。 両手で顔をしばしばはさむと顔はすぐにうす赤く変わった。

 "薬もみな無くなったが、薬を飲んでいる人間を拘束し"

 パク氏が小さな声で話した。パク氏は急性ストレス反応で精神科治療薬を飲んでいた。 昨年9月、警察が国家保安法違反容疑で彼の写真館を押収捜索した後から服用し始めた薬だ。 彼は拘束される前、ツイッター(@seouldecadence)で「どうもこの頃飲み薬のために急に太っているようだ」「夕方の薬だけが3日分残ったので朝・昼は薬を飲まないことにする」等のツィットを上げた。

 彼の両親はひたすら「早く出てこなければいけない」「お前が心を謙虚にもって、姿勢を低くしなさい」と何回もパク氏に言い聞かせた。パク氏は一方で「そうだ、出て行くことが重要だ」と口ずさみながらも 「私が何を間違ったのか、本当に…」と漏らした。 二十四才、初めて留置場に閉じ込められた彼は混乱しているように見えた。

"金日成は息子が死んだと…笑わせた家族であった"

 パク・ジョングン氏はソウル、岩寺洞(アムサドン)で写真館を営んでいる。昨年9月21日の押収捜索を起点に5回にわたり警察の調査を受けた後、国家保安法違反容疑で立件され検察に事件が送られた。 以後1ヶ月余り、1件の便りもなかった検察は出頭通知や召喚状発給の代わりに拘束令状を請求した。 水原(スウォン)地裁令状専門担当判事は「令状請求された犯罪の事実、再犯危険性、証拠隠滅の憂慮が疎明された」として拘束令状を発行した。

 パク氏は2010年3月21日から今年1月3日まで自身のツイッター(@seouldecadence,@dprkdecadence)を通じて北韓のインターネット媒体‘我が民族どうし’が運営しているツイッターのツィット102件をリツィットし、‘我が民族どうし’がユーチューブなどにあげた革命歌など30件余りをツイッターを通じて流布し、国家保安法7条に違反した容疑で拘束された。 パク氏が直接作成したというツィット103件も国家保安法上の称揚.鼓舞の疑いを受けている。 検察の主張によればこれらのツィットは全て「大韓民国の自由主義体制を否定し赤化統一を達成しようとする北韓社会主義体制が主張する宣伝内容に同調して扇動するために配布されたもの」だ。

 しかしパク・ジョングン氏は「そうではない」と主張してきた。 パク・ジョングン氏は去る11日、水原地裁で開かれた令状実質審査で‘なぜリツィットし、なぜ文を載せたか’という判事の質問に 「冗談だった」と答えた。 パク氏は「先軍政治に対して否定的見解を持っていたし、直接行ったツイッターを見れば冗談だということが分かる」として「特定部分だけを抜粋して誤解が生じた」と説明した。しかし判事は再び‘冗談だと言うことがどのように具体的に現れているか根拠を示せ’と質問した。 パク氏の弁論を担当しているイ・グァンチョル弁護士は「パク・ジョングン氏が‘なぜそのようなツィットをしたか’という質問に答えなければならない状況自体が憲法が保障する表現の自由を侵害することだと考えており、そのような状況自体を受け入れることが困難」と説明した。

←パク・ジョングン氏がリツィットした‘我が民族どうし’ツィット

ニューヨークタイムズ "風刺芸術家も抜け出せない網"

 パク氏は自身のツイッターで北韓世襲を馬鹿にするツィットを上げたこともある。 「昨夜の夢で北韓に行ってきた。 ところが金日成が死ぬ前の北韓であったのに意外にも権力委譲直前に金正日が先に死んでしまった。 皆大騷ぎが起こって特に金日成は息子が死んだ悲痛さに私も死にそうだとし高いところから飛び降りようとするのを私が止めた。 笑わせる家族であった。"

 検察が拘束令状で問題視したパク・ジョングン氏のツィットは384件。これはパク氏が2010年にツイッターアカウントを開設して今までにしてきた7万2051件のツィットの中の0.5%に過ぎない。 パク氏と長期にわたってツィットをやりとりしてきた友人は「ほとんどがばかにするための趣旨であり、この部分に対して国家保安法違反容疑が適用されると‘表現の自由’を守るために強度が少し高まった」と指摘した。 米国の<ニューヨークタイムズ>もパク氏事件を報道して「風刺芸術家も抜け出ることはできない網」としながら韓国の国家保安法の旧時代性を皮肉った。

 2010年9月‘周り盤事態’の時からパク氏を知るようになった友人カン・ジンウォン(32)氏は「ジョングンは写真が好きで写真を撮る人」とし「北韓の社会主義リアリズムに関心強く北韓に対する関心もそういう次元だったようだ」と話した。 カン氏は「パク・ジョンクンに‘なぜそのようなツィットをしたのか’と尋ねるのはゴッホがひまわりをなぜ黄色で塗ったかを問うようなものだと考える」と答えた。 ‘私的表現’をしただけで、なぜ他人に説得と理解を求めなければならないのか反問したわけだ。

学者“国家保安法を適用するのは無理”

 学者は現行法上パク・ジョングン氏のツィット活動に対して国家保安法を適用するのは無理だと指摘した。

 ホン・ソンス淑明(スンミョン)女子大教授(憲法)は「家保安法が適用されるには‘国家の存立・安全や自由民主的基本秩序を危険にするという点を知りながら’という目的が重要だ」として「しかしパク・ジョングン氏がツイッターで‘我が民族どうし’ツィットをリツィットし、それに対するコメントをしたことがそのような目的を持ってしたとは見難く、犯罪の構成要件自体を満たすことができない」と指摘した。

 ソン・キチュン全北(チョンブク)大教授(憲法)も「団体活動家でもなく、個人がツイッターでパロディ次元でツィットしたことを‘国家を危うくする目的’がある目的犯と解釈するのはあまりに時代錯誤的な考え」と話した。

 パク・ギョンシン高麗(コリョ)大教授(憲法)は「今、最高裁判例はもちろん憲法裁判所が国家保安法7条を合憲だと決めながら、条件として掲げたことも‘国家秩序の威嚇に対する害悪を立証しなさい’ということ」としながら「パク・ジョングン氏のツイッター活動がそのような害悪を及ぼすと見ることはできないので無罪が出てくるほかはない事件」と話した。

 法適用さえも論難が大きいが、公訴が提起される前である捜査過程で拘束令状が請求されたことに対する関連者の惨憺たる思いはより一層強い。

 イ・グァンチョル弁護人は拘束令状が発給された11日夜、自身のフェイスブックに‘惨憺かつ凄然たる思いだ’と吐露した。 彼は「パク・ジョングンの令状が発給された。 自由民主的基本秩序が何かを考えてみる。 話と文で成り立ったことには話と文で対応するべきで、'臭い飯'で対応することがあなた方の言う自由民主的基本秩序なのか? 戦場に一緒に進んで同僚をなくし自分だけが生き残って帰ってきた感じだ。惨憺且つ凄然たる思いだ」と書いた。

 パク・ギョンシン教授も「国家の従者である捜査機関が国家の主人である国民を刑事処罰しながら、十分な根拠もなしで拘束という手段を使ったという事実が世界的にも恥ずかしいこと」と話した。

“押収捜索された自身の部屋と写真館に行くことを敬遠し…”
一連の捜査でパク・ジョンクン氏はすでに大きな傷を受けた。

 カン・ジンウォン氏はインターネット媒体<レディアン>に昨年11月、警察捜査中のパク・ジョングン氏の状態に対して書いた。 (‘国家保安法違反容疑パク・ジョングンに対する中間報告’報告)

 “(パク・ジョングンは)押収捜索で漁られた自身の部屋と写真館に行くことを敬遠し始めた。 私の部屋に入り浸り3日、4日酒を飲んで眠りを誘い、調査を受ける日には水原へ向かうことが日常のようになった…。 10月中旬になるとパク・ジョングンは友人の助言を得て、精神科に行き診断および治療を受け始めた。 パク・ジョングン自らは押収捜索による外傷後ストレス障害(PTSD)と考えていたが“急性ストレス性障害”が精神科医師の診断名だった。 24才、国家保安法違反、離別、急性ストレス性障害、不眠、憂鬱。 これがパク・ジョングンに起きていた。…パク・ジョングンは国家によって殴られた患者であった。”

 ‘私的表現’を理由に犯罪者に追いやられているパク・ジョングン氏は彼の言うとおり、‘国家によって殴られた患者’だ。

パク・スジン記者 jin21@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/514651.html 訳J.S