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"オンドル敷いてくれて嬉しいが…働き口がなければ何の希望も持てない"

登録:2012-01-11 08:42

原文入力:2012/01/10 22:41(2591字)
オム・ジウォン記者

‘ソウル市 希望オンドル プロジェクト’集中点検
現場 ソウル、東子洞(トンジャドン)の箱部屋街

←ソウル、龍山区(ヨンサング)、東子洞(トンジャドン)の箱部屋に暮らすホン・キソク氏が去る6日午後、2坪の部屋でテレビを見ている。 基礎生活受給費42万ウォンで一ヶ月を暮らすホン氏は今月はお金がすっかりなくなって来る20日に給付が入ってくるまで半月をずっと部屋の中で過ごさなければならない境遇だ。 障害者である彼は貸し漫画屋、ネットカフェを経て箱部屋に入居して7年目だ。 リュ・ウジョン記者 wjryu@hani.co.kr

事情に精通している活動家たちと疎通したおかげか
冷たい部屋ががなくなり、家賃の心配はなくなった
部屋が広と言う理由でオンドルパネルを半分だけ敷く
"まだ考えが足りなくて、それだけ直せば満点"

 ソウル市は昨年11月、企画と実行に市民が直接参加する越冬対策である‘希望オンドルプロジェクト’を打ち出した。 昨年10月27日、出勤初日に永登浦(ヨンドンポ)の箱部屋街を訪ねたパク・ウォンスン ソウル市長が「ソウルの空の下では冷たい部屋で眠る人が無いようにする」と約束した後に出てきた庶民保護対策だ。 昼間の気温も零下圏に留まるほどに寒さが厳しいこの頃、冷たい部屋で寝なければならない人々の体感気温は何度ぐらい上がったのだろうか? 50日余りが経った希望オンドルプロジェクト現場を訪ねてみた。

 箱部屋は蜂の巣のように頑固だ。 廊下を間に挟んで2坪余りの10ヶの部屋が2列横隊で立ち並んでいる。 ペンキがすっかり剥げた灰色の建物は、その部屋の主人を10年とか30年は置いてくれない。 冬には築40余年の建物の細い骨組みの間から隙間風が吹き込む。 上・下水道がなく、温水の一滴も使えない所で、箱部屋に暮らす人々は板戸をしっかり閉めて寒気に耐える。

 ソウル駅の向い側の龍山区、東子洞の箱部屋に住むホン・キソク(44・仮名)氏は貸し漫画屋、サウナ、ネットカフェを経て箱部屋に入庫し7年目だ。 聴覚障害3級に結核保菌者でもあるホン氏が働ける所は多くない。 日雇いで建設現場に出てみても追い出されるのが常だ。 そうした仕事も冬季には完全に切れて42万ウォンの基礎生活受給費で一ヶ月を暮らす。

 昼間の最高気温が零下をかろうじて抜け出した1度であった去る6日. ホン氏の財布に残ったお金は現金3万5000ウォンと1万ウォンの伝統市場商品券一枚だ。 来る20日になれば基礎給付が入ってくるが、今月の箱部屋家賃16万ウォンも払えなかった。 このように早い時期にお金がすっかりなくなれば「じっと半月を部屋のすみにいる」としてホン氏は苦笑いした。

 ところがこの日、ホン氏が暮らす箱部屋の家主の口座には今月分の家賃16万ウォンが入金された。 箱部屋草の根団体である‘東子洞(トンジャドン)サランバン(広間)’が送った応急救護費だ。 ソウル市は今冬から箱部屋や考試院など、冬季脆弱階層に応急救護費を支援している。 現場事情に精通する活動家が複雑な行政手続きなしで箱部屋住民たちの切羽詰った生活費を支援した後に送金内訳と箱部屋契約書を後から市に提出すれば良い。 希望オンドルプロジェクト箱部屋支援対策の一つで、ホン氏が4人目の受恵者だ。

 市は箱部屋の電気オンドル(パネル)とボイラーも修理・交換している。 希望オンドル事業に参加する韓国熱管理施工協会は、箱部屋の電気オンドルが故障すればいつでも無料で交換する。昨年10月、電気オンドルが故障したキム・ウォンホ(74)氏も支援を受けた東子洞住民11人の中の1人だが 「物足りなさが残る」と言った。 他の箱部屋より部屋が広いという理由で、電気パネルを半分だけ敷いたので、からだを少しだけ動かしても冷たい側に転がるのだ。 隣の住民が「公務員たちの考えが足りないからだ」として加勢し、キム氏は「それさえ直せば満点差し上げる」として笑った。

 希望オンドルプロジェクトと既存越冬対策の違いは民間と協力するという点にある。 現場をよく知っている民間との疎通は不通との差異をくっきりと示す。 オム・ビョンチョン東子洞サランバン代表は「市がこの間、受給者に月5万ウォンの暖房費を支給してきたが、故障したボイラーや電気オンドルを直すことができなくて冷たい部屋で寝る人々が多かっただけに、これまでの一括的な暖房費支援より効率的な対策」と評価した。続けてオム代表は「希望オンドルプロジェクトを通じて冬季箱部屋温度が5度ぐらい上がったようだ。 一時的越冬対策だが持続的に支援される道が開かれることを願う」と付け加えた。

 東子洞箱部屋路地では不満の声も出てきた。一時的な支援より自立のための対策がさより重要だということだ。 箱部屋住民であるユン・ジョンワン(59)氏は「希望オンドルをしてみても、働き口がなければ何の希望もない」として「ソウル市が公共勤労働き口をたくさん作るのが本当の対策ではないだろうか」と話した。

 希望オンドルプロジェクトの特徴である民・官協力に対する評価はまだ第一歩であるだけに、大きな期待よりは可能性を見守らなければならないという意見が多い。 社会福祉に従事するある関係者は「希望オンドル初期にはソウル市が一方的に事業計画を発表し、自治区に一斉に公文書を回すなど推進過程自体に旧態依然な点があったが、以後に地域草の根団体と会い対話しながら長い目で信頼を積んでいる」と話した。 また別の市民社会関係者は「市民団体間でも互いに協力してみた経験が少なく、共通点を探して行くことが課題」と伝えた。

 ソウル市は希望オンドル事業が終わる2月にはプロジェクト内容を整理・評価する白書を出し、今回の経験を基に地域共同体中心の支援体系まで含んだソウル市福祉伝達体系の基本枠組みを作る計画だ。 オム・ジウォン記者  umkija@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/area/514245.html 訳J.S