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ある検事の辞職願 "良心に照らして理解できない捜査"

登録:2012-01-05 08:04

原文入力:2012/01/04 21:04(2191字)

←パク・ソンス検事

 参与政府で大統領府法務秘書官として仕事をしたパク・ソンス(48)蔚山(ウルサン)地検刑事1部長検事が検察を去り、検察内部掲示板に‘辞職の弁’を上げた。 パク部長検事はこの文で李明博政権になって無理な捜査を行った検察の自己反省と偏向捜査論難の中心に立った最高検察庁中央捜査部の廃止を主張した。

 パク部長検事は‘愛される国民の検察として出直すことを希望して’という題名の文で "相次ぎ火を噴く検察関連問題を見て見ぬふりをして検事の職分を守ることが容易ではありませんでした。 どうせここまで来たのだからもう少しこらえてみようかとも考えてみましたが、柿が熟して落ちるのただ待つのも恥知らずなことで丈夫として取る態度ではないように見えます" と暗示した。 彼は "検察も今や、政治的是非や国民的批判を物ともせず冷酷に疾走していった執権初中盤期の姿をやや見直しているようです。 力を失った実力者関連捜査や貯蓄銀行不正・財閥関連不正など国民からそれなりに点数を得られる事件を進めながら、民心をなだめることをしているのを見れば現政権が任期末に入り込んだことは明らかであるようです" として現在の検察の姿をこのように診断した。

 パク部長検事は政界と世論が支持している‘検察改革’の動きと関連して "いつもそうしてきたように‘とんでもないこと’として国民と国家の将来のためだという一念で組織の命運をかけてこれを阻まなければならない状況に再び直面するかも知れない" とし、先ず国民の信頼され愛されるための検察の自主的な努力が必要だと助言した。 そのために彼が挙げた最初の方策は、‘検察権が無理に乱用された’事件に対する検察の自己反省だ。

 "法律家の良心に照らしてみてもとうてい理解しがたい捜査と起訴が行われ、裁判所ではっきりと無罪が宣告されたにも関わらず、上訴権を行使することによって当事者はもちろんで国民にさえ継続的な苦痛を与えている事件はなかったかを考えてみる必要があります…人間なのでミスや誤認はありえます。 しかしそれによって当事者に洗うことのできない苦痛と被害を抱かせたとすれば、当然に反省して謝ることが道理ではないでしょうか?"

パク部長検事は最高検察庁中央捜査部の廃止も主張した。

 "(中央捜査部が)政治権力や市場権力の不正腐敗を効率的に制御できる肯定的機能があることは認めるが、この間、万能検察権力の象徴としてその政治的偏向性是非によって検察全体として見ればむしろ負担として作用する側面が多かったことを否定することはできない" とした。 彼は "検察総長に集中した捜査権を分散させることによって権力の私有化および政治権力の介入誘惑を防止し、政治的中立性を確保することがより容易になるだろう" と主張した。

 彼は "正義の回復と改革推進の基盤は人事から出発" するとし "この間の検察人事が文字どおり透明で公正になされてきたのか、地縁や学閥などによって過度に偏重された人事ではなかったのか、政治的偏向性は帯びていなかったのかなどに関して冷静な評価がなされるべき" と書いた。 その一方で検事長に対する人事は大統領が、検事の人事は大統領の委任を受けた法務長官が行使する現実を想起させ "大統領が恣意的人事権を通じて検察を掌握しようとしてはならないが、反対に検察権が乱用される場合、人事権を通した牽制は主権在民の原理により当然のこととして受け入れるべき" と見た。 それと共に "執権者として捜査不介入・不干渉原則を守ることによって検察の政治的中立性と独立性が保障され、選出された権力の人事権と立法権を通した民主的統制を受け入れることによって検察権の乱用が牽制されることに同意できる人物が選択されることを" 望むと付け加えた。 人事を通じて検察を掌握しようとする人を大統領に選ぶことは止めようという話だ。

 後輩検事たちには "‘政治検事、不公正検察’という言葉の代わりに‘国民検事、概念検察’という言葉が国民の胸の中に席を占めるように皆が力を合わせて渾身の努力をつくして欲しい" と助言した。  "正しいものを得て正しく見れば成し遂げられないことはない(拿得定見得透事無不成)" という中国のことわざを引用して "今からでも、大変でもむやみに検事職を投げださずに、夢と希望を持って勇気を出して、‘犯罪から国民を保護し法の支配を通じて人間の尊厳と権利を保障することによって自由で安定した民主社会を実現(検事倫理綱領)’という検事本来の姿勢を守って行って下さい" と付け加えた。

 パク部長検事は1994年に司法研修院を修了(研修院23期)し検事として任官し、水原(スウォン)地検で勤めた2005年に大統領府法務行政官に起用された。 参与政府任期末である2007年には大統領府法務秘書官に‘昇進’し、2008年検察に復帰した。

キム・テギュ記者 dokbul@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/513338.html 訳J.S