原文入力:2011/12/27 20:22(1430字)
チョン・ウンジュ記者
ISDに巻き込まれた三星(サムスン)物産・韓電
現地人材・部品活用などオンタリオ州政府と契約
日本・EUに続き米企業も反発
カナダに進出した三星物産と韓国電力が投資家-国家訴訟(ISD)に巻き込まれる事態が起こり国内企業を保護するために同制度が必要だと言ってきた政府の主張に穴が開いた。外国投資家に強大な権限をあたえる投資家-国家訴訟制の特性上、一国家の公共政策はもちろん、その政策を信じて投資した国内企業も被害を被りかねないという事実が確認されたためだ。
三星物産などは昨年1月、カナダ、オンタリオ州政府と契約を締結し、2016年までに2500MW規模の風力・太陽光発電および生産複合団地を開発し、20年間運営することに合意した。 投資規模は新再生エネルギーでは史上最大規模である70億カナダドル(8兆ウォン)であった。 特に三星物産はカナダ グリーンエネルギー法(Green Energy Act)の発電差額制度(Feed-in Tariff)に従うことにした。 オンタリオ地域で生産された部品と人材を風力発電では25%、太陽光発電では40~50%以上使えば州政府が新再生エネルギーを一般電力より最高20倍高く買い入れるものだ。 オンタリオ州政府はこの事業で1万6000人分の直間接雇用が創出されると期待している。
このような制度に初めて問題を提起したのは新再生エネルギー分野で優越的な技術力を保有する日本だった。 日本の経済産業省は昨年9月「オンタリオ州政府は輸入品に対する関税や不公正な待遇を通じた差別を禁止した世界貿易機構(WTO)の規定に明白に違反した」として提訴した。ヨーロッパ連合(EU)も去る8月に公正貿易に反するとし争いに加わった。
提訴以後もカナダ政府が発電差額制度をゴリ押しするや今度は米国企業らが北米自由貿易協定(NAFTA)の投資家-国家訴訟制を持ち出した。 特に三星物産に刃を向け「三星物産が特典を受け取った」として「第3国投資家との差別を禁止した最恵国待遇違反」と主張した。三星物産は「事業には支障が発生しないだろう」と話しつつも、日本やヨーロッパ連合による世界貿易機構提訴や米国企業の投資家-国家訴訟請求状況を鋭意注視している。
去る1994年に北米自由貿易協定が発効した後、カナダ政府の政策が危機を迎えた事例はおびただしい。 投資家-国家訴訟を提起するとして外国投資家が仲裁意向書を提出したものだけで30件に達する。 例えば、2009年カナダ政府がデトロイト川に橋を新しく建設しようとするや既存の橋を所有・運営していた米国企業が損失をこうむるとし反対し始めた。 2006年にはカナダ、ケベック州政府が健康に害を及ぼすとし特定化学物質を芝に使用できないようにすると、その化学物質を生産している米国企業が投資家-国家訴訟制を提起した。 また、2001年にはタバコの箱に‘まろやかな味’という表記を禁止する規制を導入しようとしたが、米国企業が協定違反だと反発しこれを撤回した。
チョン・ウンジュ記者 ejung@hani.co.kr
原文: 訳J.S