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【イ・ガングク教授の経済散歩】冬、残念な死に関して

登録:2011-12-21 06:12

原文入力:2011/12/18 18:26(1450字)


  冷たい風が吹く冬はどうも人々をより一層優しくさせるようだ。 貧しい誰かはこの寒さの中で明らかにより一層震えているだろう。 その上、誰でも自身と隣人をもう一度かえりみるようになる一年の終わりの12月ではないか。 年末になると人々は本当に雪のように純粋な心になって寄付をし、キャロルを聴きながら救世軍の鍋にお金を入れる。 ニュースの終り頃にはアンカーも一言は隣人に対する関心について話す。 そういえばサンタクロースの起源も貧しい人々のために慈善を施した司教セント ニコラスだった。

  しかし、寒さのためにより一層つらい死に方をした死に関する便りは、複雑な気持にさせる。 命は誰にでも平等で、時には断ち切ろうとしても容易に断ち切れないと言うが、冷酷な市場と効率の論理の中であまりにも簡単に倒れていったりもする。


  一つの死。 9日の午前0時半頃、空港鉄道で身を切る寒さの中で耳カバーと厚い服を着て作業していた労働者たちが汽車に轢かれ線路に倒れた。 被害者全員が180万ウォン程度の月給で徹夜作業をするコレイル空港鉄道の下請け会社所属の非正規職だった。 しかしその一人一人が、家族にとってはかけがえのない父親であり夫であったはずだ。


  施設運営部門の民営化と外注化過程で推進された無理な費用削減が事故の背景の一つであり、事故当時現場に管理監督員も配置されていなかったというから、より一層いたたまれないことだ。 1990年代に英国は鉄道産業を分割し民営化したが、以後安全事故と鉄道大乱が絶えないため、結局2002年に線路を再び国有化した。 誰かは民営化により大きな利益を上げたけれども国民の大部分は被害を被ったこの経験が、いまや他人事でない私たち自身の事になりつつあるのだ。


  もう一つの死。 12日、障害者パク・某君が認知症の祖母と一緒に、寒い冬の暖房費を節約するために一つしかない部屋でガスストーブをつけて寝ていて火事になり命を失った。 いつも優しく明るかったという息子、しばし家を空けていた父親にとってはどんなに胸のつぶれるようなことであったか。 もう一つの心が痛む死だ。


  エネルギー購入費が所得の10%を越えるいわゆるエネルギー貧困層が120万世帯を越え、お金がないばかりに凍てつくような部屋で真冬を持ちこたえる隣人たちが数えきれない程多い。 昨年は漸増する社会的批判の中で、充分とはとても言えないがそれでも世帯当り17万ウォンの低所得層エネルギー福祉法案がつくられた。 しかしこの法案は、あの大騒ぎをして韓-米自由貿易協定(FTA)を可決した国会で1年以上漂流中だというのだから、もどかしいばかりだ。


  シン・ヨンボク先生(訳注:申栄福 聖公会大学教授)は、皆が真っ直ぐに寝られないで横に寝なければならないすし詰めの狭い監獄では、それでも他の収監者の体温で寒さに耐えていく冬の方が夏よりむしろマシだと書いた。 慈善と温情は、かろうじて越冬するこの地の多くの人々にとって、暖かい体温ほどに有難く大切なものに違いない。 だが、それと共に私たちに必ず必要なものは、その暖かい心を政策と社会構造の変化につなげようとする努力であろう。


立命館大教授(経済学)


原文: https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/510700.html 訳A.K