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大企業、障害者助ける“社会的企業”の領域も蚕食

登録:2011-12-15 09:20

原文入力:2011/12/13 22:20(1819字)


ファン・イェラン記者


聴覚障害者用通信事業に
テグァン産業系列企業が進出し
無料機械で加入者誘惑
「社会的企業を脅かす」と反発
中小企業庁は事業調整申請差し戻し

←韓国聾唖者協会と業務提携を結び聴覚障害者用画像通信サービスを提供してきた種トークコミュニケーション職員が13日午後、ソウル市、衿川区(クムチョング)始興洞(シフンドン)の事務室で画像カメラがついた電話機を利用して遠隔点検サービス業務を行なっている。 リュ・ウジョン記者 wjryu@hani.co.kr


  聴覚障害者は“言葉”ではなく“手ぶり”で電話通話をする。彼らを世の中と連結する“ひも”の役割をする聴覚障害者用画像電話機は、家庭や官公庁など8000カ所余りに設置されている。この市場規模は年間7億~8億ウォン程度だ。ところが、このように掌ほどの小さな市場を巡って大企業と社会的企業の間に争いが起こっている。

  2007年から社団法人韓国聾唖者協会と手を結び聴覚障害者用画像通信サービスを事実上独占供給してきた(株)種トークコミュニケーションの職員10人は、この頃はらわたが真っ黒に焦げそうな思いだ。 大企業の系列会社である(株)韓国ケーブルテレコム(KCT)がこの事業に手を伸ばしてきた結果、加入者400人余りを奪われたためだ。種トークは2009年に労働部の認証を受けた社会的企業だ。 加入者から受け取る月3000~5000ウォンの通信料金の中から10%は月々聾唖者協会に寄付される。 種トーク関係者は「大企業が中小企業だけでなく社会的企業の事業領域まで脅かしている」と主張した。


  KCTはテグァン産業が91.64%の持分を持っているテグァングループの系列会社だ。 国際電話00777サービスをはじめインターネット電話、仮想移動通信網事業(MVNO)等を行なっている。 そして最近、聴覚障害者用画像通話サービスに目を転じ、月5000ウォンの通信料金を5年約定すれば画像電話機を無料提供する方式で去る6月頃から加入者を引き込んでいる。 聾唖者協会の一部支部もホームページ公示を通じて「今後、種トーク映像電話は解約される予定であり全面的にKCT映像電話機に変わる」と口添えした。 種トークと2016年まで業務協約を結んだ聾唖者協会中央会関係者は「市・道支部や個人が数十万ウォンの映像電話機無償供給に惹かれて乗り換えることまで阻むわけにはいかない」と言う。


  種トーク側ではKCTがひとまず聾唖者団体を通じて加入者を容易に増やした後、金融・医療機関、官公庁などに事業を拡張しようとしていると疑っている。 これに対してKCT関係者は「収益性よりは聴覚障害者のための社会貢献活動次元から始まった事業だ」と明らかにした。 しかし種トーク関係者は「需要が制限された市場に大企業が飛び込んだのは、社会貢献という名分を掲げて公共機関市場を掌握しようとするもの」と反論した。


  結局、種トークは「大企業進出で会社の存立基盤が揺らいでいる」としてKCTを相手に中小企業庁に事業調整を申請した。 大・中小企業共生協力促進に関する法律により仲裁することを要請したのだ。 社会的企業が事業調整申請を出したのは初めてだ。 だが、中小企業庁は先月申請を差し戻した。 イム・ビョンジェ中小企業庁事業調整チーム長は「種トークという中小企業1ヶ所だけが事業中であるため“相当数の中小企業が被害を被った場合”という申請要件を満たせなかったため」と説明した。 代わりに中小企業中央会はKCT側に「種トークと話し合って共生方法を探してほしい」という協力公文書を送った。


  社会的企業の全国ネットワークである韓国社会的企業中央協議会のイ・インギョン事務局長は「種トークのように進入障壁が高くない市場にある社会的企業は、大企業との競争に露出される危険がいくらでもある」として「協会次元で対応方案について悩んでいるところ」と話した。 大企業が社会的企業の持分までも奪って行きはしないだろうかと憂慮するからだ。


ファン・イェラン記者 yrcomm@hani.co.kr


原文: https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/509961.html 訳A.K