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[時論] 国家と市民がチョン・ヨンジンに答えなさい/チョ・グク

登録:2010-09-27 10:32

原文入力:2010-09-26午後08:24:13(1893字)

←チョ・グク ソウル大法学専門大学院教授

ツイッター上で‘イーマート ピザ’論争が話題だ。イーマートが市中のピザより大きさは大きく価格は安い即席ピザを販売し爆発的売り上げを上げているという。ネチズンたちがこういう行為は中小ピザ店の没落を招くと、チョン・ヨンジン新世界副会長に批判を提起するや、この‘市場強者’は冷静に反論した。すなわち「消費を理念的にするのか? 多くの方々が既存の市場を利用すればその問題は簡単に解決されることであり、いずれにしろ顧客の選択だ。」「あなたが心配するほど在来の市場はあなたを心配するのでしょうか?」という嘲笑とともに。

こういう対応から推察したところ、中小商人の生態系を生かす倫理経営をしろという呼び掛けはチョン副会長には受け入れられないようだ。米国ブラウン大経済学課を出た彼が‘大企業フレンドリー’が制度的に固定化された現在の経済秩序の中で、大企業と中小商人の間に公正競争が成り立ちにくく、この時、消費者の選択は市場強者によって操縦されるという点を知らないはずがない。彼が現行法上で許される利潤追求を止めるはずもない。もうボールは国家と市民にわたっている。

チョン副会長が‘理念’を話すなら憲法の経済理念から見よう。憲法第119条は 「市場の支配と経済力の乱用を防止し、経済主体間の調和を通じた経済の民主化のために経済に関する規制と調整ができる」と規定している。憲法は自由競争の名の下に市場弱者を没落させる経済秩序を想定していない。かつて英国の詩人ウィリアム ブレイクは「獅子と牛のための一つの法は抑圧だ」と明らかにした。獅子と牛を一つの垣に入れておき自由に競争しろというのは獅子に向かって牛を食べろということと同じだ。ここで仕切りを作る国家の役割が緊要だ。

ところで李明博政権は仕切りを作るふりだけをしている。例えば企業型スーパーマーケット(SSM)は全国的に急増しているが、中小企業庁を通じた事業調停勧告は1年間に5件程度のみなされている。6・2地方選挙を控えた去る4月、在来市場の境界から500m以内は企業型スーパーマーケットの出店を制限する流通産業発展法改正案と、大企業直営企業型スーパーマーケットとフランチャイズ型チェーン店舗を事業調整対象に含ませる大中小企業共生促進法改正案が国会知識経済委員会を通過した。しかし選挙後、ハンナラ党は態度を変え大中小企業共生促進法改正案処理に反対している。党内から企業型スーパーマーケットを規制すれば世界貿易機構(WTO)提訴が憂慮され、または自由貿易協定(FTA)締結に支障を与えるなどの主張が出ている。いったいいかなる法的根拠でそのような主張をするのか理解に苦しむ。すでに経済協力開発機構(OECD)の多数国家は地方自治体条例を通じ中小商人の売り上げ影響評価、地域住民の同意を大型商店店舗新設の条件として作っているではないか。思うに憲法経済条項の理念が具現されるためには国家を圧迫する主権者市民の役割が必要だ。

市民はチョン副会長があざ笑う‘理念的消費’をこれ見よがしに実践しなければならない。市民は自身が従事する分野に大企業が‘タコ足’を伸ばせば怒りながらも、他の分野に進出した大企業の商品とサービスは "安くて質が良い" などとして愛用する矛盾をたびたび現す。事実、先端技術製品でもないピザ、かまぼこ、トッポッキ、スンデ、天ぷらまで大企業のものを消費する必要性がどこにあるのか。

市民が在来市場、町内商店、町内カフェ、地域生産者組合が作った‘ローカル フード’等を無視し大企業デパート、企業型スーパーマーケット、大企業所有フランチャイズ カフェ、大企業生産食品などに向かってのみ走って行く場合、その結果はどうだろうか。大企業は領域拡張のための‘無限挑戦’を継続するだろうし、資本力と流通網が脆弱な中小商人はひたすら没落するだろう。市民は涙を呑んで門を閉める隣人の姿がまさに自身の未来でもありうることを悟らなければならない。チョン副会長は嘲笑したが、市民は羽振りをきかせる利益と力の論理の前でお互いに心を配り、配慮し連帯しなければならない。 価格と便利さを唯一の定規としない‘優しい消費’が必要な時だ。

チョ・グク ソウル大法学専門大学院教授

原文: https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/440976.html 訳J.S