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イスラエル、「中東唯一の民主主義国家」という虚像【コラム】

登録:2026-11-06 07:15 修正:2026-11-06 08:23
1日、イスラエルのハイファでネタニヤフ首相を支持する右派の市民たちが再選挙を求める街頭デモを行っている/EPA・聯合ニュース

 先月27日に実施されたイスラエル総選挙から10日が経過したが、政局は依然として不透明なままだ。予想外のことではない。ネタニヤフ首相が率いる与党連合(53議席)、反ネタニヤフを掲げる野党のユダヤ人政党連合「変化ブロック」(48議席)、そしてアラブ系政党(19議席)が120議席の議会を三分する結果となり、新政権の発足までに数百日かかるという見通しも出ている。反ネタニヤフ派が67議席で過半数(61議席)を超えたにもかかわらず、なぜネタニヤフ首相を退陣させて新政権を樹立できないのだろうか。これには、イスラエルが抱える根本的な矛盾が潜んでいる。

 イスラエルには、人口の21%を占める最大の少数民族であるアラブ人210万人が住んでいる。イスラエルは1948年、パレスチナ人が住んでいた土地を占領し、その集団の80%に相当する約75万人を故郷から追い出した。イスラエルは、ユダヤ人が多数を占める人口構成になって初めて、残ったパレスチナ住民に市民権を与えた。この措置には、自国を「中東で唯一の民主主義国家」だと国外に宣伝する狙いがあった。多数を占める黒人に選挙権を与えなかった南アフリカ共和国とは異なり、自分たちはアパルトヘイト(人種分離・差別)国家ではないというのだ。しかし、実態はアパルトヘイトそのものだった。イスラエル領土のわずか3%に押し込められて生活せざるを得なかったアラブ系住民は、数十年にわたり就職差別や移動・居住の制限などを受け、事実上、二等市民として生きてきた。

 しかし、今回の総選挙では、2023年のガザ戦争以降に起きた事態に憤慨したアラブ系有権者が、大挙して投票所に足を運んだ。ネタニヤフ政権がガザ地区の同胞であるパレスチナ人に対して集団虐殺を行い、ヨルダン川西岸地区では、ユダヤ人入植者たちがパレスチナ人に対して広範囲にわたって暴力を振るうのを放置していることに、生存の危機を感じたからだった。前回の総選挙に比べ約25%増加したアラブ系住民の投票参加は、アラブ系政党による過去最多の議席獲得という小さな勝利をもたらした。

 しかし、野党のユダヤ人政党連合は、アラブ系政党と連帯するという単純な方法を選ぶことができない。反ネタニヤフを掲げているものの、民主党(8議席)を除く残りの3政党が人種差別的なシオニズムに基づいているという点では、ネタニヤフ首相と大差ないからだ。変化ブロックに所属する「ベヤハド(共に)」(12議席)と「イスラエル・ベイテイヌ(イスラエル我が家)」(7議席)は、アラブ系政党に依存せざるを得ない政権が発足するのであれば、変化ブロックから離脱すると脅している。

 通算19年間、首相を務めてきた「政治の達人」ネタニヤフ首相は、野党陣営の内部対立によって、自分にチャンスが巡ってくるのを待っている。ネタニヤフ首相は選挙後、「アラブ系政党が不正選挙を行った」という虚偽の宣伝戦を繰り広げ、イランとの戦争を再開するよう米国を説得することに注力している。アラブ系政党を悪魔化して野党間の連携を阻み、再選挙が実施された場合に自分に有利な安全保障情勢を作り出すためだ。そうなれば、2023年のハマスによる侵攻についての警告を無視し、汚職で在任中に裁判にかけられ、ガザ虐殺によってイスラエルを国際的な孤立状態に追い込んだネタニヤフ首相は、再び権力を握る可能性を切り開くことができるだろう。野党は人種差別にとらわれてネタニヤフ首相一人を審判することすらできず、ネタニヤフ首相は政権再奪取のために再び中東を戦火の中に突き落とそうとしている現実。これこそが、イスラエルが誇る民主主義の実情だ。

//ハンギョレ新聞社

キム・ジフン | 国際ニュースチーム長 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1286008.html韓国語原文入力:2026-11-05 19:19
訳M.S

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