SKハイニックスのクァク・ノジョン代表取締役社長は、人工知能(AI)の普及にともなうメモリ半導体の供給不足は2030年末まで続くとの見通しを示した。米国政府が韓国の半導体企業に現地での前工程生産施設の投資を要求するなか、米国内への追加投資の可能性も示唆した。ただし、具体的な候補地の選定や確定済みの投資計画はないと強調した。
2030年以降のメモリ業界の状況についても、楽観的な見通しを示した。クァク社長は「次回のダウンターン(低迷期)は過去のダウンターンとは違うだろう」と述べた。かつてのメモリは製造企業が同じ市場で競争する汎用商品としての性格が強く、需要を正確に予測して生産量を調整することは難しかったが、高帯域幅メモリ(HBM)をはじめとするAIメモリは、顧客と製品開発の初期段階から協業するオーダーメード型製品へと性格を変えつつあるという。
クァク社長は「HBMの場合、顧客のシステムで性能を最大化するためには、顧客とより緊密に協力する必要がある」と述べ、このため市場の需要を過去よりも早く把握できると説明した。さらに、今後はダウンターンが来たとしても、需要が急激に減少するというよりは「増加傾向が鈍化あるいは停滞するかたち」になる可能性が高いとして、「2030年以降についても心配はしていない」と述べた。
米国内への追加投資の可能性も示唆した。米国の投資候補地はすでに選定したのかという質問に、クァク社長は「ショートリスト(有力候補地)はない」と述べ、「現時点では決まっていることはない」と答えた。クァク社長は、チェ・テウォン会長が先月明らかにした海外投資の原則を改めて取り上げ、「韓国外に投資する場合、用水や電力、人材、補助金など、十分な資源を提供できるかどうかが重要だ」とし、「そのような条件を備えた場所であれば、どこに対してもオープンだ」と述べた。
最近、米国政府がウェハーを生産する前工程施設の米国内への投資を強く要求していることについて、クァク社長は「SKハイニックスは、世界のどこであれ、その地域が新たなビジネスチャンスと顧客との協力の機会を提供してくれるのであれば可能性を開いている」とし、「条件が満たされるのであれば、今日のような良い知らせを米国のAI産業に再び届けられることを願っている」と述べた。
ソリダイムの株式公開(IPO)やキオクシアの持ち株活用など、他の事業上の懸案については、現段階では決定しているものはないという立場を表明した。クァク社長はソリダイムの株式公開について「確定しているものはない」との趣旨で述べ、議論・検討を続けていると説明した。キオクシアの持ち株活用についても、具体的な計画や方向性は決まっていないとしながらも、日本のNANDフラッシュメモリ産業の発展や現地の産業・地域社会に貢献するという基本原則のもとで、活用策を検討していると明らかにした。
米国に設立したAI法人を通じたスタートアップ投資の構想も紹介した。クァク社長は「次世代の事業を準備するために重要なスタートアップや企業に投資する一種の手段」だと説明した。SKハイニックスの既存のメモリ事業とシナジーを生み出せるAI関連のスタートアップや企業が主な投資対象だ。
クァク社長は特に、HBM4以降、ベースダイにロジック回路が組み込まれることを「メモリとロジック半導体の結合の最初の兆候」だと評価した。今後は顧客の需要に応じ、メモリやロジック、先端パッケージング、さらにはAIシステムの間の融合と共同開発がさらに重要になるという説明だ。これにともない、デジタル信号処理(DSP)やネットワーク、インターコネクトなど、既存のメモリ事業とシナジーを生み出せる技術分野のAIスタートアップを投資候補として検討していると明らかにした。