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高騰するメモリ価格に苦しむスマホ、PC、家電市場…「チップフレーションの逆襲」

登録:2026-07-16 06:12 修正:2026-07-16 09:14
クリップアートコリアより//ハンギョレ新聞社

 家庭や企業で使用されるインターネットルーターを製造するD社は、最近メモリチップの確保に奔走している。ルーターには汎用DRAM(DDR3、DDR4)が主に使用されているが、価格が急騰し、品薄状態も続いているためだ。やむを得ず中国製に目を向けているが、状況は変わらないというのがD社の説明だ。同社の関係者は「中国の工場でメモリチップ10万個を製造すると、企業が20万個を買いたいと列をなす状況だ」とし、「親交のある企業に優先的に割り当てたり、ブローカーを介しても確保できない場合は、別の市場で割増価格でチップを購入しなければならない」と語った。

 人工知能(AI)ブームに起因するメモリ供給不足が長期化する中、市場への影響が本格的に現れている。メモリ価格の急騰は、サムスン電子やSKハイニックスなど国内のメモリ企業に史上最高の業績をもたらす好材料だが、これを使用する関連産業にとっては、原価負担と供給難を助長する要因となっている。実際、低価格帯のタブレット、TV、セットトップボックスなどを生産する中小企業はメモリの需給難で苦境に立たされており、スマートフォンなどの電子製品の価格が全面的に高騰し、消費者の負担も増大している状況だ。

 14日、市場調査機関であるカウンターポイント・リサーチの資料によると、今年第2四半期(4〜6月)の世界のスマートフォン出荷台数は、前年同期に比べ11%急減した。第2四半期ベースでは、2013年以来13年ぶりの最低水準。同機関のシルピ・ザイン主任研究員は、「世界的なメモリ供給難が、消費者の需要を萎縮させる段階にまで拡大した」と分析した。メモリ供給不足による価格急騰の余波で、メーカーが膨らんだコストをスマートフォンの価格に転嫁し、販売不振が本格化しているという意味だ。

 主要部品であるメモリの供給難が原因で製品価格が跳ね上がり、需要が萎縮しているのはスマートフォンだけではない。年初からパソコン(PC)やノートパソコン、タブレット、ゲーム機などの電子製品の価格が全面的に上昇しており、メモリの「大口顧客」であるビッグテック(巨大テクノロジー企業)でさえ、コスト負担を感じているほどだ。一方で、メモリ価格の急騰により企業や消費者が関連製品の購入を控える、いわゆる「需要破壊」現象がブーメランとなり、メモリメーカーの収益などにも悪影響を及ぼす可能性があるという見通しも示されている。

 米投資銀行のモルガン・スタンレーは最近、「メモリ・ピークアウト」(ピーク後の下落)に関する議論を招いた報告書で 、「チップフレーション(半導体を意味する「チップ」と物価上昇を意味する「インフレーション」を組み合わせた言葉)により、ハイパースケーラー(超大型データセンターを基盤とするクラウドサービス提供企業)も、最先端のAI競争から後れを取る恐れがある」と指摘した。高騰したメモリ価格をまかなえず、ビッグテック各社もAIデータセンターの構築に困難をきたす可能性があるという。

 メモリ供給不足が長期化する兆しを見せていることから、市場の価格決定権を握る巨大メモリ企業による「独寡占」問題に発展する可能性も指摘されている。最近、英フィナンシャル・タイムズは「今日のDRAM市場は『メモリ業界のOPEC』(石油輸出国機構)と非常に類似している」とし、サムスン電子、SKハイニックス、米マイクロンなど少数の企業への市場集中度が極めて高いと分析した。

 米国内の消費者や企業は先月25日、現地の裁判所にメモリ大手3社を相手取り、独占禁止法違反(談合)訴訟を提起している。これに対し、サムスン電子側は「これは根拠のない主張であり、当社は公正な競争の原則および関連法令を遵守して事業を行っている」とし、「法的手続きに従い誠実に対応する」と述べた。米国政府がグローバル市場の主導権を握る韓国企業に対し、米国での現地投資を強く迫り始めたのも、こうした現地の雰囲気と無関係ではないという見方もある。

 メモリ供給難により半導体の自立を加速させている中国が最大の恩恵を受けているという指摘も多い。米アップルが中国の長信メモリテクノロジーズ(CXMT)のDRAMの導入を検討しているのが代表的な事例だ。国際金融センターによると、今年1〜5月の中国の半導体輸出額は1393億ドル(約22兆6000億円)で、前年同期に比べ90%急増した。半導体全体の中で、汎用製品を中心としたメモリの輸出が205%も増加し、輸出の伸びを牽引したのだ。

 世界のDRAM市場シェアで4位を占めるCXMTは、今月中に証券市場への上場を通じて295億人民元(約7000億円)を調達する計画だ。市場から資金を調達し、これを基にサムスン電子やSKハイニックスなどメモリ市場の先行企業を追撃するための半導体技術の高度化や、生産能力の拡大に向けた投資資金を確保している。

 産業研究院のキム・ヤンペン専門研究員は、「米国現地に半導体工場を建設するよう求める米政府の圧力は、今後さらに強まる可能性が高い」とし、「旧型(レガシー)メモリの場合、韓国企業も中国製品の導入を拡大せざるを得ず、これは中国のメモリメーカーの市場シェアと影響力を高める結果につながる可能性がある」と見通した。

パク・チョンオ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/1268296.html韓国語原文入力:2026-07-15 06:54
訳H.J

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