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「歴史的な好況にふさわしい想像力」、まず若者の雇用から【コラム】

登録:2026-07-02 09:09 修正:2026-07-02 09:35
ソウル市内のある大学の雇用プラスセンターの採用掲示板/聯合ニュース

 今年5月、米国のアリゾナ大学の卒業式では、学生たちの野次が飛び交った。グーグルのエリック・シュミット元最高経営責任者(CEO)が「人工知能(AI)の台頭」について演説していた時だった。シュミット氏は「仕事が失われるという若者世代の不安は理解している」と語ったが、学生たちの怒りは収まらなかった。大手レコード会社「ビッグ・マシン・レコード」のCEOは、AIと音楽産業の変化について演説した際、ミドルテネシー州立大学の卒業生から野次を浴びた。ハーバード大学ケネディスクール政治研究所の昨年の調査によると、大学生の70%が就職を脅かす要因としてAIを認識していた。企業のCEOたちは「AIを受け入れ、それを用いて革新せよ」と言うが、学生たちにとっては自分たちが直面している状況をまったく分かっていない「空気の読めない話」にしか聞こえない。

 韓国の若者たちも状況に違いはない。韓国労働研究院の「AIと労働の共存」と題する報告書には、意味深長なことが記されている。AIの導入が職場内の不平等に及ぼす影響を分析したもので、部長級以上の管理職や50代の社員はAIについて「楽しさと革新の道具」という認識が強い一方で、中間管理職以下や20代はそのような認識が相対的に弱かった。「裁量権の大きなベテランや管理職にとっては、AIは退屈な反復業務を取り除き、創造的な課題に集中させてくれるものだが、業務掌握力が低く自律性を発揮する余地が小さい若手にとっては、自身の未熟練に取って代わるかもしれない要因」になっていると研究チームは分析している。

 このように、AIをみつめる若者たちの気持ちは穏やかではない。若手社員がおこなってきた「定型化された」業務は、AIが代替しはじめている。一部からは「新人を採用してもやらせる仕事がない」という声すらあがっている。今年5月の時点で若年層の就業者は前年に比べて25万5000人も減少しており、特に若者に好まれる情報通信業と専門科学技術業で減少が顕著だった。サムスン電子は最近、1人の社員がAIを用いて何人分の業務を処理しているかを評価すると発表し、「人員削減に向けた手続きなのではないか」という懸念の声があがった。すでにグローバル・ビッグテックは、AIへの投資を天文学的な規模で拡大しつつ、人員は削減している。

 半導体メーカーの超好況で株価が高騰し、経済指標は好転しつつあるが、それを実感している若者はごく少数だ。サムスン電子とSKハイニックスの社員が年6億~7億ウォンの成果給が保証された超高年収集団に昇格する一方で、大多数の若者は中東戦争の影響でさらに狭まった採用の門戸の前で孤軍奮闘している。「4755兆ウォン(約497兆円)」というサムスンとハイニックスの投資計画の発表も、若者たちに安心感を与えると考えるのは早い。具体的な実行計画が示される必要があるが、全羅道への半導体工場の建設計画がすぐに良質の雇用を生み出すわけではない。業種の特性上、他の製造業よりも雇用創出効果が大きいとも言えない。当面、増えるのは工場建設に必要な土木・建設の雇用だろう。

 政府も問題意識は抱いている。大統領府のキム・ヨンボム政策室長は先月20日、「半導体が稼いだ国富が不動産不労所得へと吸収され、成長の果実が少数のみに集中してしまうと、今回の好況は長続きしないだろう」として、「歴史的な好況はそれにふさわしい想像力を求めている」と語った。半導体の好況による企業の利益と財政の余力が若者やぜい弱階層に均等に行き渡るよう、政策的な想像力を高めていくという趣旨の発言だ。

 ここで言う想像力とは、既存の枠を超えた新たな試みであるはずだが、具体的な青写真は見えない。社会的な公論化が必要な半導体メーカーの超過利潤の分配議論以外にも、政府にできることは少なくない。若者たちが望んでいるのは安定した雇用と所得だ。政府は若者の仕事経験やAI教育などを支援する「青年ニューディール」政策を展開しているが、それだけでは不十分だ。教育訓練プログラムをいくら開設しても、就職につながらなければ政策の効果は実感できない。

 例えば、政府によって良質な公共ケアを構築しようという提案(東国大学行政学科のイ・ジュハ教授)のような新たな雇用戦略が必要だ。人の身体と感情を扱うケアの分野は、AIがなかなか追いつけない。利益を追求する民間に委ねられているケアの公共性を高めるとともに、劣悪なケア労働者の待遇を改善すれば、良質の雇用へと生まれ変わりうる。そうなれば若者層も流入する可能性がある。すべての若者を「ハイニックス入社試験」ばかりにしがみつかせるわけにはいかないではないか。超過税収と超過利潤が財源として利用できたら申し分ないだろう。

//ハンギョレ新聞社

ファンボ・ヨン|企画・映像部局長 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1266302.html韓国語原文入力:2026-07-01 19:21
訳D.K

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