先月の衆議院選で圧勝した高市早苗首相が描く「普通の国」日本は、韓国にとって脅威なのか、それともチャンスなのか。専門家は、米中対立やドナルド・トランプ米大統領による関税圧力、イラン戦争の局面において韓日協力は不可欠である一方、両国の安全保障戦略の違いや歴史問題などの対立要因を管理するためには、二重のアプローチが必要だと指摘した。
国立外交院と韓国外交協会が24日、コン・ロミョン元外務部長官を追悼するために、ソウル瑞草区(ソチョグ)の「外交タウン」で開いた韓日関係セミナーで、総選挙後の日本の政局と韓日関係の見通しをめぐる議論が行われた。
イ・ヒョンジュ元駐大阪総領事は「韓国は日本と歴史問題の論争を続ける一方で、戦略的協力を行うべきだ」とし、現在の米中対立の局面で日本は「米国の安全保障戦略に乗じて大国的な行動を取ろうとしている。米中対立が深まるほど、日本の戦略的価値が高まる」と指摘した。
米国は、昨年末に発表した安全保障戦略にあるように、日本に第一列島線を防衛する重要な任務を課す一方で、中国に対する日本の過度な挑発はけん制している。韓国に対しては、北朝鮮の常規的な脅威を韓国が自ら防御しつつ、中国に対するけん制に参加するよう圧力をかけている。ここへサプライチェーンの安全や人工知能(AI)産業などの主導権争い、トランプ大統領の攻撃的な関税政策などが加わり、韓日両国の協力は一層重要になるとイ元総領事はみている。
しかし、高市首相の任期内に日本の「非核三原則」の修正や核兵器の持ち込みを念頭に置いた憲法改正を行う可能性は、韓国の安全保障にも脅威となる。国民大学のチェ・ヒシク教授は「韓国と日本の国家戦略が(一方向へと)集約されるとは考えていない」と述べた。チェ教授は「高市内閣は国際的なパワーゲームに積極的に取り組むと宣言し、米国にさらに密着しているが、戒厳令後に発足した(李在明政権下の)韓国は平和という価値に重点を置く可能性が高い」とし、「これは韓日の積極的な協力を可能にする構造ではないが、両国関係は市民社会と市場が主導し、対立を管理しなければならない」と語った。
「普通の国」を目指し新たな秩序を構想する日本が、歴史問題を直視すべきだという声もあがった。
ソウル大学日本研究所のナム・ギジョン教授は「最近の日本は『大戦略』を打ち出し、新たな国際秩序を作ろうとしている」とし、「韓国やグローバルサウス諸国と新しい秩序を築くには、日本が信頼を与える必要があるが、そのためには日本も歴史問題に対し前向きに取り組む必要がある。そのため、安全保障と産業分野で協力しつつ、歴史問題を提起して日本の前向きな姿勢を引き出すことは共に進められる」と語った。オ・スンヒ国立外交院助教授は「『過去をどう記憶するか』の問題から『どのような記憶を共に未来へと導くか』という問題へと(切り替えて)平和を模索すべきだ」と指摘した。
専門家たちは、高市内閣で緊張が高まっている中日対立は当面続くと見通した。
慶南大学極東問題研究所のチョ・ジング教授は「高市政権に対する中国の不信感が強い中、自民党や日本政府内部に中国とのパイプもなく、改善の糸口を見つけるのが困難な状況だ」とし、「今年改訂される国家安全保障戦略で中国を日本の安全保障上の『脅威』と位置付ければ、中日関係は取り返しのつかない事態に陥る可能性がある」と語った。
ユン・ソクチョン国立外交院研究教授は「安倍首相時代の中日の軋轢(あつれき)は尖閣の国有化問題に起因したが、現在の対立は高市首相自身が引き起こしたものでもあり、妥協点を見つけるのは難しい」としつつ、「総選挙で勝利したことで高市内閣の安定性が高まっており、中国も方針を変える可能性がある」と予想した。