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なぜ労働者階級の若者は極右に惹かれるのか【朴露子の韓国、内と外】

登録:2026-01-07 19:53 修正:2026-01-07 23:48
イラストレーション:キム・デジュン//ハンギョレ新聞社

 新年を控え、私はしばらくフィンランドに行った。戦争中により故郷であるサンクトペテルブルクに行くことは容易でなく、そこに住む母とはフィンランドというノルウェーとロシアの中間地点でしばしば会ったりする。フィンランドで偶然、ある平凡な20代の青年と対話を交わしたが、彼の話は多少衝撃的だった。

 見た目はとてもおとなしい彼は、極右的信念の持ち主だった。彼は非西欧圏の移民の入国に強く反対し、彼らを「潜在的犯罪者」と認識していた。かつてマルクス主義者たちがこのような類の排他的民族主義をよく「小ブルジョア的」と呼んだが、この青年は小ブルジョアとは何の関係もなかった。彼は高卒出身の労働者だった。彼とはまた別の多くのフィンランドの若い男性労働者が支持する極右政党であるフィン人党は、前回の総選挙で20%の得票を記録した。

 私はこの青年と話をしながら、多くの考えが思い浮かんだ。米国の大統領選挙で白人の高卒労働者の66%、すなわち彼らの圧倒的支持を受けたドナルド・トランプも頭をよぎった。近いところでは、就職難で貧しい若い男性の一部が参加するソウルの極右的な「嫌中」集会が思い浮かんだ。遠いところでは、韓国史上最悪のポグロム(帝政ロシアのユダヤ人など迫害)と呼ばれる1931年の「万宝山事件」について読んだ本や論文が思い浮かんだ。そのときも中国人虐殺に繰り出した朝鮮人の多数は「小ブルジョア」というよりは無職者や転々と仕事場をさまよう「自由労働者」たちだった。ポグロムという言葉が連想されると、母から聞いた祖父の話を思い出した。かなり前に亡くなった祖父は、1917年の革命以前の幼い頃に暮らしていた、現在はウクライナ東部のルハンスクと呼ばれる地で、ユダヤ人のポグロムをじかに目撃したという。ユダヤ人マイノリティの虐殺に走ったスラブ人マジョリティたちもやはり平凡で貧しい労働者たちだった。

 ユダヤ人を殺したからといって帝政ロシアの民衆のひどい貧困がよくなるはずはなかった。むしろ、資本と専門的技術を持ったユダヤ人たちがポグロムを逃れて米国などに発ち、ロシア経済はさらに大きな損失を被った。大恐慌で直撃弾を受けた1931年の朝鮮労働者たちにとっても、虐殺によって中国人が朝鮮を離れ人口が減ることは大きな利益にはならなかった。しばらくは就職が容易になったかもしれないが、当時朝鮮に居住していた中国人は約7万人に過ぎず、大きな影響を及ぼすには少なすぎた。最近の「嫌中」集会で中国人観光客数が大きく減れば、小売業や宿泊業、観光業の雇用が減少するだけで、韓国経済や社会の弱者に得になることは一つもないだろう。トランプに票を入れた白人の高卒労働者たちは、高率関税が呼び起こした物価インフレですでに苦しんでいる。フィンランドの低賃金サービス業に従事する非西欧圏の移民たちもやはり、冒頭に話したその極右青年を含むフィンランド人が享受する豊かさと福祉に実質的に貢献している。階級的な利害関係の次元で純粋に損失だけを招く極右的排他主義に、特に客観的に労働者階級に属する一部の若い男性たちが夢中になるのは一体なぜなのだろうか。

 歴史的に見れば、労働者を含む大衆の間で排他主義が蔓延する条件は次の三つだ。第一に、社会的危機と不安が実質的に体感されなければならない。革命を控えた帝政ロシアと新自由主義の危機の中の現在の欧米圏や韓国、そして大恐慌以後の朝鮮は、いずれも極度に不安な社会だった。

 第二に、大衆の中で特定集団が実質的に社会・経済的な身分の降格を経験する時、その集団の構成員が排他主義に傾く危険性が大きい。米国人の白人高卒男性労働者のケースが代表的だ。この60年間、米国の製造業に就いた高卒労働者の実質賃金はほとんど上がっていない。加えて主要大都市の住居価格は数倍も暴騰した。脱産業化で過去の大工場が廃業し、過去の製造業労働者とその次世代は、条件がはるかに悪いサービス業に移った。彼らが白人男性である場合、非白人ないし女性の高賃金大卒労働者たちにサービングし、過去の社会的地位を喪失したという事実を骨身にしみて感じる。そうしてこの集団がトランプの堅固な支持層になったのだ。いわゆる「イデナム(韓国の20代男性)」たちの場合も、結局は親世代よりも貧しく暮らさなければならない韓国現代史で最初の世代という点で、相対的剥奪感をより大きく感じる。女性たちの学歴と地位が相対的に高くなり、過去に甘く見ていた中国人が今や「金を使いに来る」観光客の身分になるのを見て、彼らは自らを落伍者だと認識するようになったのだ。

 では、集団的な身分降格を経験する若い男性たちは、なぜその不満を社会的上位者でもない種族的他者を相手に表出するのか。ここにまさに排他主義が蔓延する第三の条件が作用する。その社会の公式な言説で「国家」や「国民」のストーリーが優位を占め、メディアが排他主義を暗黙的ないし明示的に煽るとき、極右主義はたやすく拡散される。創刊以後から東亜日報などが在朝鮮中国人を「朝鮮人の競争者」とか「阿片密売人」など「潜在的犯罪者」の烙印を押さなかったとしたら、「万宝山事件」は発生しなかったかもしれない。同様に、今日の保守メディアが中国を「協業パートナー」ではなく「競争国」や「脅威」と規定する言説は、「嫌中」の氾濫と決して無関係ではない。

 つらい真実を直視しなければならない。学校で人権関連の内容を着実に学習するEUの福祉国家でも、人種的排他主義を基盤にした極右政党は平均的に25%の支持を得ている。福祉ネットワークが粗末で、特に若い男性の絶望がはるかに強い韓国では、その数値が潜在的にさらに高くなる可能性もある。2025年の大統領選挙で20代男性の74%が強硬右派候補を支持したのは決して偶然ではなく、対策を立てなければこの現象は「嫌中」感情に乗って今後ますます深刻化する憂慮が相当にある。民主主義と多民族社会を目指す世論主導層は、現状況でとうてい未来が見えない人々には、人権と寛容の話を伝えることにとどまらず、新自由主義の闇を克服できる道を共に提示しなければならない。そうでなければ「嫌中」のような社会的病理現象ははるかに大きく成長するだろう。

/ハンギョレ新聞社
朴露子(パク・ノジャ、Vladimir Tikhonov)オスロ国立大教授・韓国学 (お問い合わせ (お問い合わせ japan@hani.co.kr ) )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1238381.html韓国語原文入力:2026-01-07 08:15
訳J.S

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