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ヒジャブでなでる娘の顔…梨泰院惨事の追悼館にかけられた7人の外国人犠牲者の写真

登録:2025-10-27 09:10 修正:2025-10-27 10:11
ソウル鍾路区「星たちの家」で、イラン人犠牲者アパク・ラストマネシさんの母親が、娘の写真をヒジャブでなでている=パク・チャンヒ記者//ハンギョレ新聞社

 2022年10月29日に起きた梨泰院(イテウォン)惨事のイラン人犠牲者、アパク・ラストマネシさんの写真を159人の犠牲者の間にかけ、母親はヒジャブで繰り返し額縁のガラスをさすった。娘の顔をなでているようだった。中国人犠牲者ヤン・スンダルさんの家族は、生前にヤンさんが好きだった人形とバイクの模型を額の下に置き、他の犠牲者の姿をじっと見つめていた。

 26日、ソウル鍾路区(チョンノグ)の「星たちの家」の壁の追悼スペースに、これまではなかった7人の外国人犠牲者の写真が家族の手で掲げられた。「星たちの家」は、梨泰院惨事の犠牲者と家族、追悼する市民のための空間だ。外国人犠牲者の遺族は、惨事から3年目を前にしてようやく、同じ痛みを抱える人々が集う場所で、家族の死を共に哀悼できるようになった。スリランカ人犠牲者のモハマド・ジナトさんの2歳の息子も、ジュースを手に遺族の間を走り回っていた。ジナトさんの友人が父親に代わって子どもを抱き上げた。

 この日、家族の写真を壁にかけた外国人遺族は、韓国人家族との懇談会をおこなった。梨泰院惨事遺族協議会のソン・ヘジン運営委員長は、「遺族として、なぜ自分にこのようなことが起きたのかについて、誰にも共感が得られないというのが苦しかった」として、「外国人遺族はよりいっそう苦しかったと思う」と慰めの言葉をかけた。イラン人犠牲者アリ・パラカンドさんの叔母は、「SNSで韓国の遺族の努力を見守ってきた。剃髪(ていはつ)して、寒い時も暑い時も自分の存在を示すためにどれほど努力したかを目撃してきた」、「今日、私たちが共にここに集ったのは、その方々の努力のおかげ」だと述べ、感謝の意を伝えた。

10・29梨泰院惨事の外国人犠牲者の遺族が26日午後、ソウル鍾路区の「星たちの家」を訪れ、犠牲者の写真を見て涙を流している=キム・ヨンウォン記者//ハンギョレ新聞社

 梨泰院惨事の159人の犠牲者のうち、外国国籍の犠牲者は26人(14カ国)で、犠牲者全体の約16%を占める。外国人遺族は惨事の情報の確保、真相調査への参加、支援などのあらゆる過程で疎外されてきた。今回、10・29梨泰院惨事3年を前に初めて政府に公式に招かれ、ほとんどの遺族が初めて、家族を失った国である韓国を訪問した。

 外国人遺族たちは27日、10・29梨泰院惨事特別調査委員会を訪問し、被害者認定申請書を作成したうえで、真相究明調査に参加する。惨事から3年目となる29日には、市民社会団体と政府が共催する公式追悼行事「記憶式」に出席する。

パク・チャンヒ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1225504.html韓国語原文入力:2025-10-26 17:08
訳D.K

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