米中貿易摩擦が再燃したことで、ドルに対するウォン相場が取引中1430ウォン台を記録し、急速なウォン安傾向を示している。外国為替当局が口頭で介入に乗り出したが、市場ではウォン安の流れがすぐには緩和されないとみられている。これを受け、為替不安が長期化した場合、通貨当局の年内の金利引き下げについても速度の調整が避けられないという見通しも示されている。
13日、ソウル外国為替市場でウォン相場は前日に比べ4.8ウォン安の1ドル当たり1425.8ウォンの終値を記録した。10日に秋夕連休の悪材料が一気に反映されレートが21.0ウォン(1421.0ウォン)下がったが、この日も一時1434.0ウォンまで下落した。5月2日(1440.0ウォン)以来5カ月ぶりの最安値となった。
為替レートが急落したことを受け、韓国外国為替当局は1年半ぶりに口頭介入に乗り出した。企画財政部と韓国銀行はこの日、共同で「外国為替当局は最近の対内外の要因でウォンの変動性が拡大する過程で、市場の偏りの可能性などに警戒感を持って綿密にモニタリングしている」と述べた。市場に介入するというメッセージを発することで為替レートの急騰落幅を減らすということだが、外国為替当局の口頭介入は昨年4月以来1年6カ月ぶりのことだ。口頭介入後、ウォン相場は1320ウォン台半ばへとウォン高ドル安が進んだ。
最近、外国為替市場は対米関税や投資交渉の不確実性が浮き彫りになったうえ、米国の対中報復関税が発表されたことで、衝撃がさらに大きくなった様子だ。ドル指数は下落に転じたが、ウォンの劣勢が続いている。主要6通貨に対するドルの価値を示すドルインデックスは9日に最高値(99.54)を記録してから、取引日基準で2日連続下落傾向(13日正午基準98.89)にある。一般的にドルインデックスが下がればウォン高があらわれるのとは逆の流れだ。
市場では為替レートが大幅に下落するとみられている。iM証券のパク・サンヒョン研究員は「対米投資の不確実性と米中貿易摩擦という対内外のリスクが同時にウォンの価値を引き下げている」とし、「1450ウォンまでのウォン安を考えておかなければならない」と見通した。DB証券のムン・ホンチョル研究委員も「韓米投資交渉妥結が遅れれば、前の最安値である1450ウォンが更新されるだろう」と予想した。今年に入って為替レートはドナルド・トランプ米大統領が相互関税施行を発表した直後の4月9日に年間最安値の1484.1ウォンまで下がった。
為替不安が継続すれば、通貨当局はウォン安の要因である金利引き下げの負担が大きくならざるを得ない。韓国銀行は今年7・8月、ソウルと首都圏の住宅価格と家計負債が動揺したことを受け、金利を凍結し速度を調整したが、今回は為替不安という変数が加わった局面だ。韓国銀行は昨年12月の戒厳事態以降1400ウォン台で動いていた為替レートが1470ウォン台に落ちたことを受け、「外国為替市場の変動性への懸念」があるとして、翌年1月金利を凍結した。
当初、市場では米連邦準備制度理事会(FRB)が政策金利を下げたため、韓銀も23日または11月27日に開かれる金融通貨委員会で基準金利を下げるという見通しが多かったが、ソウルの住宅価格の上昇傾向が続く中、為替不安が重なったことで、年内の利下げが難しい可能性もあるとみられている。ハンファ投資証券のキム・ソンス研究員は「今は金融安定にさらに長い間焦点を合わせる時期」だとし、「年内の利下げをめぐり、韓銀の悩みが深まるだろう」と予想した。