尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権が、チェコ原発の受注のために米国のウェスティングハウスと不平等な契約を結んだという疑惑が提起された。この契約には、今後50年間、韓国企業が原発1基を輸出するたびにウェスティングハウスへの技術使用料や主要機器・資材の購入を名目に、少なくとも1兆ウォン(約1100億円)以上を支払い、次世代原発技術を開発してもウェスティングハウスの事前検証を受けなければならないなどの毒素条項も含まれているという。政府はただちに契約の詳細な内容に関する実態調査に着手しなければならない。
ソウル経済新聞が「韓国水力原子力・韓国電力公社とウェスティングハウス間の妥協協定書」を入手して報道した内容によると、韓国企業は原発を輸出する場合、原発1基あたり6億5000万ドル分の物品とサービスを購入し、韓国型原発に用いられる燃料の供給権も相当部分をウェスティングハウスに提供しなければならない。購入物品の一覧には、原子力計測制御システムなどの重要な部品や設備が多く含まれている。また、1億7500万ドルの技術使用料を支払うことになっているが、これは過去に締結した契約よりはるかに後退している。1997年には、技術使用料として10年間約3000万ドルのみ支払うことで合意したが、今回は期間が50年にも及び、原発1基を輸出するたびに支払わなければならない。さらに、小型モジュール原発(SMR)などの次世代原発の技術を開発して輸出するためには、ウェスティングハウスの技術自立検証も通過する必要がある。未来の原発技術すらも技術従属の鎖に縛られる恐れがある。
契約の締結過程を考えると、当時、政治的危機に陥っていた尹錫悦政権が、政治功績をアピールするために無理な譲歩をしたと疑わざるをえない。昨年7月に韓国水力原子力(韓水原)と韓国電力公社(韓電)が優先交渉対象者に選ばれ、大統領室は「15年ぶりの快挙」として成果を宣伝した。その直後にウェスティングハウスが、知的財産権が盗用されたとしてチェコ政府に異議を申し立てたため、最終契約が延期された。しかし、昨年11月に韓水原と韓電は取締役会を開き、ウェスティングハウスとの協力原則を承認し、今年1月に紛争終結を最終宣言した。韓水原と韓電が政権の本契約締結への圧力で不平等な契約を受け入れたのではないか、真相究明が必要だ。さらに、原発輸出の収益性も確認しなければならない。韓国型原発の輸出事例であるアラブ首長国連邦のバラカ原発の場合、工事の遅延や費用増加などにより、すでに赤字に転落している。チェコ原発の事業の場合、韓国側に不利な条項まで含まれており、原発を輸出しても「採算の合わない事業」になる恐れがあるだけに、再協議も検討しなければならない。