ドナルド・トランプ米大統領は18日(現地時間)、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領をホワイトハウスに迎え、今後の国際秩序に大きな影響を及ぼすことになる「歴史的会談」に乗り出した。トランプ大統領は3日前にアラスカで行われた米ロ首脳会談の結果を説明し、ウクライナ東部のドンバス地域をロシアに譲る見返りとして、米国と欧州が安全保障を提供する「妥協案」を受け入れるよう求めたという。旧ミュンヘン会談(1938)やヤルタ会談(1945)のように、大国間の「取り引き」(ディール)によって弱小国の運命が決まる多極体制が、80年ぶりに復活しようとしている。米中という2大国の間に挟まれた朝鮮半島が次の犠牲にならないように、韓国独自の「自強能力」を育てなければならない。
トランプ大統領は17日、ソーシャルメディアへの投稿で、「ゼレンスキー大統領は、彼が望むならばほぼ即時に戦争を終わらせることができるが、そうでないなら戦い続けることになるだろう」とし、「オバマ(元米国大統領)が渡したクリミア半島を取り返すことも、ウクライナのNATO加盟もできなくなる」と綴った。会談当日の15日には、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領との会談がうまく行われたとし、「戦争を終わらせる最善の方法は、単なる『休戦合意』ではなく、直ちに『平和協定』を締結することだ」と述べた。
ニューヨーク・タイムズなど主要海外メディアの報道によると、プーチン大統領はトランプ大統領に、ドンバス地域からウクライナ軍が撤退しこの地域をロシアに渡せば、戦争を中止し「これ以上の再侵攻はない」と書面で約束するとの意向を明らかにしたという。ドンバスはプーチン大統領が開戦を決意した名目になった地域で、現在ロシアが全体の88%を占領している。
領土を放棄する見返りとしてトランプ大統領が提示したのは「安全保障」だった。スティーブ・ウィトコフ特使は17日、CNNに出演し、「米国と欧州諸国が実質的にNATO第5条(集団防衛条項)を提供できる」と述べた。約70年前、「分断」を受け入れる見返りとして、米国と相互防衛条約(1953)を締結した韓国の姿と様々な面で重なる。
南北分断という困難な現実に直面した民世・安在鴻(アン・ジェホン、1891~1965)は、1948年7月に雑誌「新天地」への寄稿で「民共(民族主義-共産主義)双方があまりにも国際情勢に迂遠な方であり、また事大主義的だった」と嘆いた。ウクライナと朝鮮半島、台湾は新冷戦の最前線だ。2度目の悲劇を避けるためには、国際秩序を分析する韓国独自の観点をしっかり持ち、米国に対する過度な依存から抜け出さなければならない。