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外国人270万人時代、李在明政権にはなぜ移民政策がないのか【寄稿】

登録:2025-08-19 01:36 修正:2025-08-19 07:17
今年4月、ソウル市内のある大学のキャンパス内を移動する留学生たち/聯合ニュース

 今年6月現在で韓国に在留している外国人は約270万人で、人口の5.3%を占めている。100人に5人が外国人だというわけだ。しかし、李在明(イ・ジェミョン)政権の国政企画委員会が発表した国政運営5カ年計画や123の国政課題には、この270万人をいかに管理し、どの方向へと移民政策を推進していくのかについての具体的な青写真がどこにも見当たらない。少子高齢化の波高が国の存立を脅かす中、これは重大な政策の空白だ。

 統計庁によると、2072年に韓国の人口は3600万人にまで減少し、65歳以上の割合は48%に達すると予想される。2024年の合計特殊出生率は0.75で、世界最低の水準だ。これは生産年齢人口の急激な減少、学齢人口の減少、兵力資源の枯渇、廃校、地域の消滅に直結する。すでに農村は季節労働者なしには営農が難しく、製造業や中小企業も外国人労働者なしには生産が不可能になっている。地方大学も、外国人留学生が減ると存立そのものが危うくなる。

 少子化はすべての先進国が直面する構造的問題だ。出生率を向上させる努力は必要だが、効果が表れるまでには少なくとも数十年はかかる。人口の絶壁を緩和するためには、人口政策と移民政策を戦略的に並行しなければならない。1980年代以降、主要先進国はすでに移民を人口政策の一軸としてきた。韓国も優秀な外国人材を誘致し、長期定着を促進する戦略的な移民政策を国の人口政策と結び付けるべきだ。

 地方消滅への対応は、国の生存にとって必要不可欠な課題だ。韓国でも地域特化型ビザ制度が成果をあげており、今年から広域型ビザのモデル事業が開始されている。しかし、モデル事業にとどまってはならない。制度化や自治体の専門組織の拡充などによって、持続可能な運営システムを構築しなければならない。

 外国人留学生政策も全面的な再設計が必要だ。現在、国内にいる留学生は約20万人で、米国、カナダ、オーストラリアなどの主要国に比べて規模が小さく、政策の水準も低い。政府が打ち出しているのはせいぜい「留学生30万人誘致」目標程度で、具体的な誘致戦略や定着支援策は不十分だ。留学生を短期滞在者ではなく高級人材かつ長期定着可能な人材と考えて、誘致、教育、就職、定着を有機的につなげる統合政策を講じなければならない。そのためには地方自治体、大学、産業界の協力の強化と、地域定着を支援する精巧な政策という裏付けがなければならない。

 これらすべての政策は、省庁間の壁を取りはらい、統合的に推進しなければならない。現在の法務部の一部署(出入国・外国人政策本部)だけでは人口、労働、教育、福祉、地域を統合する総合的な移民政策の設計と執行を担うのは難しい。このような限界を克服するために、前政権は法務部の下に移民庁を新設する法案を提出したが、社会的、政治的に関心を引くことはできなかった。韓国移民政策学会、韓国移民法学会、韓国移民行政学会の移民分野3大学会は今年5月、国会に対し、首相室の下に移民処を設置するよう公式に要求した。国会には現在、与党「共に民主党」のイ・ガンイル議員が代表となり、移民処を新設する政府組織法改正案が提出されている。中長期戦略の樹立と省庁間の調整を総括する「移民処」の新設は選択ではなく必要不可欠なものであり、単なる組織改編にとどまらず、国の生存戦略の最重要基盤となるだろう。

 今、韓国は絶体絶命の岐路に立っている。少子高齢化、労働力不足、地方大学の崩壊、地域消滅が相まって悪循環が加速している。政府はこれ以上移民問題に背を向けてはならない。人口政策と移民政策の戦略的並行、地方分権型の移民政策、外国人留学生の活用、専門機関の設立は、選択ではなく生存の条件だ。今が最後のゴールデンタイムなのである。

//ハンギョレ新聞社

イム・ドンジン|韓国移民政策学会会長、順天郷大学教授 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/because/1213899.html韓国語原文入力:2025-08-18 19:00
訳D.K

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