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プーチン大統領「ウクライナでの西側軍隊駐留を容認」の意向…平和協定の重大な変数に

登録:2025-08-18 07:18 修正:2025-08-18 09:52
米国のドナルド・トランプ大統領とロシアのウラジーミル・プーチン大統領が15日、アラスカのアンカレッジにあるエルメンドルフ・リチャードソン統合基地で首脳会談と共同記者会見を終えた後、話をしている/AP・聯合ニュース

 米国によるウクライナの安全保障、休戦を経ずに平和協定に直行、ドンバスからのウクライナ軍撤収と引き換えに戦線を凍結。

 これが、米国のドナルド・トランプ大統領とロシアのウラジーミル・プーチン大統領による15日(現地時間)のアラスカ会談で取り上げられた合意の中心だ。この合意がウクライナの終戦につながるかどうかについては、まず18日のホワイトハウスでのトランプ大統領とウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領の会談で試されることになる。

 今回の会談でのウクライナと欧州の最優先課題は即時休戦だった。これは、それだけウクライナ戦争が持続可能ではないことを示している。ウクライナでは街頭で徴集に抵抗する男性の様子がSNSに投稿されるなど、戦力補充がますます困難になっている。欧州とウクライナは、まず即時休戦を行い、その後に終戦交渉に入るべきだと主張してきた。

 しかしロシアは、ウクライナ東部のドネツクからウクライナ軍が完全に撤退することを代価として要求した。ロシアは2022年2月のウクライナ侵攻から、ドンバス地方と呼ばれるルハンスク州とドネツク州に猛攻撃をかけてきた。ルハンスク州は全土を占領したが、ドネツク州は70%ほどの占領にとどまる。ウクライナ軍がドネツク州から軍を撤収してドンバス全域をロシアに渡せば、すべての戦線を凍結するという提案だ。これをウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が拒否すると、トランプ大統領とプーチン大統領は休戦を飛び越して平和協定に直行する交渉に合意した。

 この懸案は領土問題とも関連する。会談前にトランプ大統領は「双方をより良くする領土交換があるだろう」と述べた。トランプ大統領が言及した「領土交換」について、ロシアは、ウクライナ東北部のスムイとハルキウ地域の占領地を返還する準備ができたと、ロイター通信が消息筋の話を引用して報じた。ウクライナがドネツクからの軍撤収でドンバス全域をロシアに渡せば、ロシアはスムイやハルキウなどの東北部地域の占領地をウクライナに返還するということだ。また、ロシアはこれまで自分たちの領土だと公式に宣言して割譲を主張していたザポリージャとヘルソン地域の未占領地は放棄する可能性があることを示唆した。

 トランプ大統領とプーチン大統領は、平和交渉を進展させるために、欧州とウクライナが要求した戦後安全保障の問題で譲歩した。これまでトランプ政権は、終戦後にウクライナは欧州の責任だとして、米国が参加する安全保障に反対してきた。ロシアも同様に、ウクライナに西側の軍隊が駐留するいかなる形態の安全保障についても頑強に拒否していた。

 しかし、今回の会談でトランプ大統領は、米国が戦後安全保障に参加できると態度を変え、プーチン大統領は西側の軍隊のウクライナ駐留を容認する意向を表明した。安全保障はウクライナの存続を左右する未来の問題だ。カナダのマーク・カーニー首相は安全保障問題に対するトランプの開放的姿勢を歓迎するとして、これは「公正かつ永続的ないかなる平和にも必須」だと評価した点によく表れている。

 アラスカ会談の後、トランプ大統領と電話会談を行ったドイツやフランス、英国などの欧州の指導者は16日、声明を発表し、「われわれは、米国が安全保障を提供する準備ができたというトランプ大統領の言明を歓迎する」として、「ウクライナは主権と領土の保全を守るために鉄壁の安全保障を持つべきだと、われわれは明確に表明する」と明らかにした。

 特に欧州の指導者たちは、トランプ大統領が安全保障について、NATO憲章5条と類似の方式を提示したことに鼓舞された。NATO憲章5条は、NATO加盟国に対する侵略は全加盟国に対する侵略とみなし、共同で対応するという集団防衛条項だ。ウクライナはNATOに加盟することはできないが、ウクライナの戦後安全保障に参加するすべての国家の集団防衛保障を考慮するというものだ。

 トランプ大統領とプーチン大統領は、当初提案されたドンバスからの軍撤収と休戦を交換する提案が拒否されると、戦後安全保障を提示し、その方向に進む直接的な平和交渉案を出した。ウクライナと欧州に圧力をかけて誘引したということだ。

 現時点では、ウクライナと欧州には、いくつかの選択肢が残されている。

 一つ目は、トランプ大統領とプーチン大統領が求めるとおり、ドネツクからの軍撤収を条件に休戦し、平和交渉を進める道だ。この場合、戦後安全保障についての米国の参加が予想される。二つ目は、ドネツクから軍撤収をせず、戦闘が続くもとで平和交渉が進められる道だ。ロシアにウクライナの領土がさらに蚕食されるリスクを受け入れなければならない。ロシアも同様に出血と負担が予想される。三つ目は、休戦も交渉もなく戦闘が続く膠着状態の継続だ。

 トランプ大統領はゼレンスキー大統領に最大限の圧力をかけた。トランプ大統領は16日、FOXニュースのインタビューで、プーチン大統領と領土交換や安全保障について議論し「大部分で合意した。われわれは妥結に非常に近づいたと考えている」として、ウクライナに「合意せよ」と圧力をかけた。トランプ大統領は「ロシアは非常に大きな国であり、彼ら(ウクライナ)はそうではない」と述べた。

 ゼレンスキー大統領はホワイトハウスでの会談に応じ、欧州は戦後安全保障を評価し、トランプ大統領は先手を打って22日の3者会談を公表した。

チョン・ウィギル先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1213647.html韓国語原文入力:2025-08-17 15:00
訳M.S

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