韓米は有事の際に朝鮮半島を防衛するための定例合同演習「乙支(ウルチ)フリーダム・シールド(自由の盾)」を今月18~28日に実施し、これとは別に準備していた40件余りの個別訓練のうち半分程度を来月に先送りすることにした。この程度の対応で、行き詰まった南北間の疎通の突破口が一気に開かれるのを期待するのは難しい。ドナルド・トランプ米大統領が望んでいる朝米対話の再開や、韓米同盟のいわゆる「現代化」作業を円滑に進めるためには、朝鮮半島情勢の安定が何より重要だ。韓国政府はこのような点を米国によく説明し、北朝鮮の反応を引き出すためのより果敢な措置を用意しなければならない。
韓米は7日、国防部で合同ブリーフィングを開き、今月予定されていたコンピューター・シミュレーション方式の指揮所演習は「正常に施行」する一方、「今月に計画していた個別訓練20件余りを9月に調整して実施する予定」だと述べた。日程を遅らせることにしたのは「飛行場の防護訓練や被害復旧訓練など、ほとんどは大隊級以下の訓練」などだ。チョン・ドンヨン統一部長官の積極的な建議により、8月に予定された練習と訓練の中で「乙支フリーダム・シールド」は例年の規模でそのまま実施する一方、一部の訓練を来月に先送りする「折衷案」を選んだものとみられる。
これまで失敗を繰り返してきた南北と朝米対話の経験を振り返ると、韓米が3月と8月に行う大規模な合同演習と訓練が情勢の変化に常に決定的な影響を及ぼしてきた。朝鮮半島に戦争の暗雲をもたらせた「炎と怒り」の2017年を過ぎ、2018〜2019年に行われた3回の朝米首脳会談を一気に終わらせたのは、2019年8月に行われた軍事演習だった。当時、政府は戦時作戦統制権の移管を名目にして演習を強行したが、結果は良くなかった。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が8月初めにトランプ大統領に送った「怒りの親書」で、「朝鮮半島南部で実施される合同軍事訓練は一体誰に対するものなのか」と問い詰めた後、対話が閉じられたのはよく知られたことだ。
北朝鮮はその後、事実上の核保有国になり、南北は「敵対的な二つの国家」に変わるなど、安保環境は大きく悪化した。返り咲いたトランプ政権は、在韓米軍の主要任務を「韓国防衛」から「中国牽制」に変えようとしている。このような根本的な変化の時期に北朝鮮が再び挑発すれば、韓米ともに大きな困難に直面せざるを得ない。目前の訓練にこだわっていては困る。北朝鮮を対話の場に引き入れる明確な措置が必要だ。