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「韓国版インフレ抑制法」導入検討…AI、エネルギー等への補助金推進

登録:2025-07-01 07:24 修正:2025-07-01 09:51
李在明大統領が20日、蔚山展示コンベンションセンターで開かれた人工知能(AI)グローバル協力企業懇談会で発言している。左からSKグループのチェ・テウォン会長、李大統領、蔚山広域市のキム・ドゥギョム市長/聯合ニュース

 韓国政府は全世界の技術覇権競争で勝機をつかむため、人工知能(AI)などの先端・主力産業に大規模な補助金・政策金融などを支援する「韓国版インフレ抑制法(IRA)」の導入を推進する。民間の電気自動車(EV)・バッテリー産業に補助金を支給する米国のIRAのように、積極的な産業復興策にエンジンをかけるというわけだ。

 6月30日の経済省庁などに対する取材によると、産業通商資源部は先日、韓国版IRAの導入に向けた内部検討に着手した。産業部の重要関係者は「米国、中国などの主要国は強力な産業政策を実施して全力疾走しているが、韓国はその必要性の検討すらなされていない状況」だとして、「現在の先端産業に対する税制支援程度でグローバル競争に対処するのは難しいと思う」と話した。

 政府は、「民間主導成長」を掲げた尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権が具体的な産業および経済安保戦略を樹立することもなく、一部業種に対する税の減免ばかりに焦点を当ててきたことは「政策的に時機を逸した」ものと判断している。今後の地政学的対立や競争の激化などに対応し、政府主導の産業政策を積極的に推進するということだ。国策研究機関の産業研究院は昨年、中国の半導体・二次電池などの戦略性新興産業の育成策を分析し、「国際社会は産業政策の復興期を迎えている」、「補助金の規模よりも、いつ、誰に、どれだけ適切な時期に投入されるかが重要だ」と指摘している(報告書「戦略競争時代の中国の新産業政策の示唆点」)。

 最優先の政策支援対象としては、李在明(イ・ジェミョン)政権の「技術主導成長」を導く2つの軸であるAIとエネルギー分野があげられる。これに加えてバイオ、文化、防衛産業などの未来戦略産業と半導体、造船などの既存の主力産業についても、支援策を具体化する方針だ。支援手段としては、企業の投資額に比例して税を減免するこれまでのやり方にとどまらず、主要国が実施中の補助金、政府による融資・保証、政策金融などへと拡大することが検討される。

 李在明大統領も就任の第一声で、「AI、半導体などの先端技術産業に対する大々的な投資と支援によって、未来を主導する産業強国へと跳躍する」と強調している。キム・ジョングァン産業部長官候補も指名の感想を述べた声明で、「強力な産業政策で成長を導く」と述べている。

 韓国版IRAの具体的な内容は、企画財政部の主導で準備を進めている「新政権の経済政策の方向性」の確定後、別途発表される可能性が高い。産業政策に焦点を当てたものであるため、民生経済対策とは別に扱われるということだ。1960年代に国家レベルの輸出主導政策によって「産業政策」の成功例と評価された韓国が、先端産業の競争力優位を支えるために「産業政策」復活にエンジンをかけている形だ。

パク・チョンオ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/1205573.html韓国語原文入力:2025-07-01 05:00
訳D.K

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