米国のドナルド・トランプ政権が7月8日までと宣言していた相互関税の猶予期限の延長をめぐり態度が定まらない中、韓国政府は交渉期限が延長されるとの見通しを示した。韓国政府は米国が品目別関税にも交渉の余地をほのめかしたと明らかにし、自動車や鉄鋼に対する関税をめぐっても激しい駆け引きがなされる可能性が浮かび上がっている。
韓国政府の高官は先月30日、記者団に対し、24~26日の韓米第3次技術協議およびヨ・ハング通商交渉本部長の訪米について、「米国がどの部分を重要視しており、どの部分はランディングゾーン(着地点)を見つけることができるのか、そのような部分がかなり明確になった」と述べた。同関係者は、米国通商代表部(USTR)の「国別貿易障壁報告書」で韓国について指摘しされたことが「ほぼテーブルに上がっていると考えれば良い」とし、「(韓国交渉団は)説明することは説明し、共に考えなければならないことは一緒に考えてみようと言ってきた」と述べた。
これは「貿易障壁報告書」で農畜産物の輸入拡大、デジタル貿易障壁除去、自動車規制緩和などさまざまな要求を突き付けた米国側が、優先すべき考慮事項を提示しているという意味と読み取れる。同関係者は「われわれが受容できる部分を受け入れながらも創意的に代案を出しながら協議する」として、韓国政府が譲歩事項をまとめていっていることをほのめかした。また、妥結時点については「7月8日を過ぎても実質的な交渉は続けなければならないとみられる」とし「ディール(合意)は遠いと考えられる」と述べた。本格的な交渉の初期段階であるため、時間はかかるということだ。
同関係者は「どれだけうまく交渉したとしても、関税前の現状維持に戻れる可能性はほとんどないというのが現実」だと話した。基本関税10%を世界的に適用し、品目別関税も相次いで発表した米国が、大きく後退することはないとの見通しだ。その一方で「米国側の立場は(韓国に対しては25%のうち基本関税10%を除く)相互関税15%の部分だけが交渉可能だという立場だったが、今回行った時は、韓国が提供できる約束の範囲によって品目別関税も交渉する余地があるというインディケーション(暗示)を受けた」と話した。自動車25%、鉄鋼・アルミニウム50%などの品目別関税も、韓国が相当な譲歩をすれば米国側が調整を考慮できると示唆したということだ。
一方、この日産業通商資源部が開催した公聴会で、対外経済政策研究院は協議がうまく妥結すれば国内総生産(GDP)の減少を0.427~0.751ポイント減らすことができるという内容の経済的妥当性の検討結果を発表した。ただし、これは米国が韓国だけに低率関税を適用する場合を想定したものだ。
公聴会の会場内外では、農畜産物市場の追加開放要求に対して「収奪をやめろ」などの声が上がった。討論者として立ったGS&Jインスティテュートのソ・ジンギョ院長は「少なくとも米国が自由貿易協定(FTA)に違反しているという点を(交渉で)指摘しなければならない」とし「韓国の農業部門はむしろ貿易赤字を負っているのだから、(対米)関税を引き上げるべきではないか」と述べた。