日本政府が、日帝強占期に山口県の長生炭鉱の水没事故で死亡した136人の朝鮮人らの遺骨発掘について、専門家からの意見聴取を開始した。
日本の市民団体「長生炭鉱の水非常(水没事故)を歴史に刻む会(刻む会)」は21日、ハンギョレに「厚生労働省が今月20日の社会民主党の大椿裕子参議院議員との面談で、長生炭鉱の遺骨発掘について3分野で専門家と議論していることを明らかにした」と語った。刻む会と日本のメディアなどによると、日本政府は現在、潜水、炭鉱、土木の3分野の専門家に長生炭鉱の内部の状況についての見解を聞いている。
福岡資麿厚生労働大臣はその一日前、国会で「先の石破総理の発言の趣旨を反映し、専門的知識が必要な事案の特性を考慮した対応を検討中」だと述べている。福岡厚労相は「潜水して長生炭鉱の中に入っていって調査と発掘を行うことは安全性に懸念があり、現在は難しいと判断している」としながらも、「炭鉱内部の安全を確保したうえで潜水を実施する可能性を確認するため、専門家の意見を聞いている段階」だと説明した。石破首相は先月7日の参議院決算委員会で、「(政府関係者が)現場に赴くということも私は選択肢としてあるのだと思っております」とし、「国としてどういう支援を行うべきか、さらに政府の中で検討は致したい」と述べている。ただし福岡厚労相は「坑道が閉鎖されてから長い時間がたっているうえ、炭鉱の構造や内部の構造物の強度などがまだ正確に把握されていない」と付け加えた。
長生炭鉱は山口県宇部市の床波海岸にあった海底炭鉱。長生炭鉱水没事件は1942年2月3日に発生。海岸から海底の地下に2キロ近く伸びる炭鉱が水漏れによって水没し、働いていた183人の労働者が亡くなり、遺体は海に沈んだままになっている。犠牲者は朝鮮人が136人を占める。事故直後、長生炭鉱を経営していた企業が坑口を埋めてしまったため、80年あまり真相が分からなかったが、刻む会が昨年10月に過去の資料をたよりに坑口を確認した。その後、炭鉱内部に専門のダイバーを投入して遺骨の捜索を行いつつ、日本政府にかかわるよう要求してきた。
現在、刻む会は遺骨発掘作業への財政支援も政府に要求している。厚生労働省の人道調査室には現在、日帝強占期の朝鮮人労働者の遺骨返還のための予算が1千万円(9070万ウォン)以上確保されており、それが長生炭鉱に使えるだろうというわけだ。対して厚生労働省は、その予算は朝鮮人労働者の遺骨返還の際の「遺骨保管や交通費」などに使われるものであるため、転用は難しいとの立場に固執している。ただし福岡厚労相はこの日、「様々な意見を聞いた後には、(人道調査室の予算を長生炭鉱の遺骨発掘に使うという)選択肢はあり得ると思う」と述べて可能性を残した。